産業革新機構取締役9人辞任~経済省が過干渉か

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月11日放送)にジャーナリストの有本香が出演。JIC(産業革新投資機構)の取締役9人が辞任した問題について解説した。

JIC 産業革新投資機構 民間 官民ファンド 9人 辞任 対立 経済産業省 田中社長

会見する産業革新投資機構の田中正明社長=2018年12月10日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

JIC(産業革新投資機構)

経済産業省と対立を深めていた官民ファンドJIC(産業革新投資機構)は昨日、民間出身の取締役9人全員が辞任すると発表した。

飯田)今年9月に発足したばかりのJICですが、95%は国の出資、2兆円規模の官民ファンド。民間が投資しないような案件であるとか、もっと長期的なところに投資をするという触れ込みではありました。ただその社長を含めた幹部の方々の、報酬についてもめていたことが報道されています。

有本)私もこれは主旨としては非常に良いなと、以前、ニュースで扱ったとき思いました。そういう機構は必要です。だけど、今回のことは、まだ分かりにくいところがあります。もっぱら報酬に対して、役員側が不満というか不信感を持ったという報道ですが、一方ではこの田中社長が「そうじゃない」と言っていますよね。1円でも引き受けましたよ、と。

飯田)報酬の問題ではないのだと。1円でも引き受けるつもりでいたと言っています。

有本)誰1人お金のためにやっているわけではない、国の将来のために自分たちの知賢を差し出すつもりでいた。仮にその報酬が1円でも引き受けたとおっしゃっている。非常に深い不信感がありますよね。

飯田)その報酬に関しては、約束したことを守らずに、という点に怒っているということです。

有本)そのようです。筋が通っていないという部分の摩擦でしょうね。官民ファンドと言っていても、ほとんど国の資金じゃないですか。経済産業省が過干渉だったのでしょうか。

飯田)そう言われているところもあります。「これに投資した方が良い」とかそういうことでしょうね。事前の約束ではあまり口を出さなかったはずなのに、けっこう出して来るじゃないかというところですかね。

有本)お金を出して、外側の枠組みに関しては口を出すけれども、実際の投資行為や、業務執行については経営陣に任せると、そういうつもりで引き受けたのが、過干渉だったのではないかと想像するのですけれどね。

成果の捉え方の違いか

飯田)成果の部分の捉え方の違いで、田中社長たちはとにかく稼いで、国に貢献する。

有本)民間の人ですからね。そういう感覚はあると思います。

飯田)ところが経産省側からすると、産業を…。

有本)育てるということですよね。

飯田)その根本的なズレがあったのかもしれないですね。

有本)簡単には言えないのですが、長期的視野に立って育てるのだとして、例えばどういう産業を長期的視野で育成して行くのか国家戦略が明確でないと、当然この引き受けた民間出身の取締役方というのは、ずっとそういう風に生きていますから。利益を上げることをメインテーマとして考えるのは普通ですよ。そうではなくて、国としては例えばこの分野とこの分野というのは、国家戦略上そこを選択して、そこに傾注して行くのだという点をはっきり方針だけさせて、その上でやっていただくということが必要なのでしょうけれど。ことに当たる度、あれは違う、それは違うと言われたら、仕事ができませんよね。

飯田)国家戦略として、「たとえ赤字が出てもこれはやろう」という分野をね。前身だった産業機構は、それに注力してやった分だけ赤字が出て、それをメディアも含めて批判されたという。だけどスタンスが定まらないままここまで来たのですよね。

有本)特に、短期、中期的な意味での利益にどこまで目を瞑れるのか。そしてこの分野に関しては、利益より国としてどうしても続けて応援して行きたいところをはっきりさせて、その上で仕事はお任せしますよという、最初の線引きがそもそもはっきりしなかったのではないかなと。

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