それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

レストランバー『STOLAS（ストラス）』外観

JR立川駅北口から歩いて6分ほど、賑やかな大通りからちょっと裏通りに入ったところに、「ストラス」という小粋なレストランバーがあります。飾り窓から店内を覗くと、カウンターが7席、テーブル席が2つ。
カウンターの真ん中の席には……おや？　柴犬がちょこんと座っています。

バーカウンターに愛らしい柴犬の姿が！

この店を営むのは、村岡和寿さんと、奥様の知美さん。お2人はJリーグ・東京ヴェルディの熱狂的なサポーターで、人生が大きく変わるのは2010年、東京ヴェルディが経営難から消滅するかもしれない…。それを知った和寿さんは、「チームがあるうちにサポーターが集うお店を開きたい」と、バーテンダーの経験があったことから、脱サラして2010年7月、レストランバー「ストラス」をオープン。

お酒は和寿さんの担当。料理は知美さんの担当。そして接客が、なんと柴犬の「たまの」の担当です。

「たまの」とは、元・ヴェルディの玉乃淳（たまのじゅん）選手からいただいた名前で、愛称は「たまちゃん」。2006年11月7日、戌年生まれの〝さそり座の女〟です。

接客担当、柴犬の「たまの」　愛称は「たまちゃん」

「当初は犬が苦手な方のご迷惑にならないように、店が終わるまで控え室で待たせていましたが、ありがたいことに『たまの』を可愛がってくださるお客さんが多くて、控え室からテーブル席の椅子に！　そしていまでは、カウンターのいちばんいい席に座っています。これもお客様の理解があってのことなんですよ」

『柴犬店長』と呼ばれて元気に接客していた、たまちゃん。ツイッターや食べログで「柴犬店長」が話題になり、遠くは兵庫や三重、秋田からもお客さんが来店……。

カウンター席に座る「柴犬店長」と、見守る村岡和寿さん

愛犬を亡くし、ペットロスになっていたお客さんの心を癒したり……。小さい頃、犬に噛まれて犬嫌いになった人が、1度も人を噛んだことがない「たまちゃん」と出会い、犬を飼うようになったり……。
お店にいるだけでお客さんの心を和ませてくれる柴犬店長ですが、時は流れて、12歳になったいま……。

「12歳は、人間の歳では還暦を過ぎたあたり。私たちより、いつの間にか年上になってしまったんですよ。歩くスピードが遅くなり、階段を上るのもきつくなって来て、お店では、2つ並べた椅子の上で寝ていることが増えましたね」

寝顔も可愛らしい「たまの」は、人間の歳だと還暦を過ぎる12歳

いままでの労をねぎらって、2017年、『柴犬会長』に昇格。そのうち『柴犬監査役』にしようかな、と和寿さんは笑います。
スースーと寝息を立てる『たまの』に、常連のお客さんはそっと寝顔を覗くだけ、触ろうとはしません。

和寿さんに抱っこされる「たまの」

知美さんが作る、地元の食材を使った自慢の料理がカウンターに出ると、さっきまで寝ていた『たまの』が鼻をクンクンさせて、おやつを欲しがります。このところ食欲が止まらず、体重オーバーが悩みの種だとか。

2019年の抱負は？
「我が家は、ぽっちゃりのメタボ家族なので、健康を気遣ってダイエットが目標ですね」と知美さん。

「お店を続けられたのは『たまの』のおかげ」と語る

お店は夜7時から深夜1時まで。後片付けをして遅い夕食をとり、布団に入るのはいつも明け方。『たまの』を挟んで〝川の字〟になって眠りにつきます。

「お店を続けられたのも、『たまの』のおかげ。いろんな人に出会えたことも『たまの』のおかげ……。それ以上に、犬の素晴らしさを教えてくれた『たまの』に感謝したいですね」

STOLAS（ストラス）
住所：東京都立川市曙町2-30-5-101
アクセス：立川駅北口より徒歩6分
電話：042-527-3435
営業時間：月～土　19:00～翌1:00
定休日：日曜日
※年末年始は31日と元日がお休みで、2日から営業

https://ameblo.jp/tachikawa-stolas

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送　月曜　5:00-6:00　火-金　4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏　森丘ヒロキ