臨時国会を振りかえって
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ニッポン放送報道部あいばゆうな記者が、臨時国会に関して解説する。
私が、国会を張り付きで取材したのは、今回の臨時国会が初めてのことでした。今国会では、新たな在留資格を設け、外国人労働者の受け入れを拡大する、改正入管難民法などが成立しました。入管法の審議を振り返ってみると、議論が紛糾したというより、質疑応答のやりとりがちぐはぐで、キャッチボールにすらなっていない印象を持ちました。
法案をボールに例えれば、与党から出されたボールに穴がないか、野党が確認・指摘して、ボールがきちんと膨むか、その大きさや柔らかさなどをどうしていくのか、話し合うのが審議だと思うのですが、今回は、空気の入っていないボールに空気を入れるにも至らないまま、空気の入っていないボールをぶつけあっているかのようだったと感じます。
数で勝れば、ここまで強硬にすべてを進められてしまうのか…これが与党なのだろうか。私は取材を始めて日が浅いのですが、今国会の参議院農水委員長の解任決議案の趣旨説明の際、森裕子議員が「今までの自由民主党なら、今回の漁業法やそれから入管法の改正案なんていう、こんなでたらめな法案を自民党が出させませんでしたよ」と声を張り上げたのを聞き、自民党も安倍政権の中で大きく変わってきているのかもしれないという気がしました。
一方、野党も法案の中身がないとして、判断のベースとなるデータの原本を出すよう要求し、断固反対を訴えたわけですが、今の野党は数で不利なだけに、実際に入管法採決引き延ばしのために切られたカードは、結果的に与党に気を遣った形にとどまったようにも思います。
与野党の一連のやり取りを取材していて、与野党の攻防と言えど、政治は、感情、恩、縁、義理、人情…そういったもので動いていることがこんなにも多いのかと驚かされました。“政治は人を人たらしめるものだ”と改めて感じさせられる国会でした。
おしまいに…
入管法が採決・成立したのは、12月8日未明。深夜国会の取材を終えて帰るころはすでに明るかったのですが、夜遅くの国会はライトアップがされており、実は綺麗なので、ご紹介しておきます。