RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の役割とは?
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月1日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)について解説した。
RCEPが年内妥結に向けて方針確認、明日カンボジアで閣僚会合開催へ
RCEPとは、ASEAN(東南アジア諸国連合)など16ヵ国が参加する東アジア地域包括的経済連携のことを言う。インドネシアで開かれていた、日本、中国、韓国、インド、ASEANなど16ヵ国が参加するRCEP首席交渉官会合が28日に閉幕した。明日3月2日にカンボジアで閣僚会合を開き、さらに協議を詰める方針。
飯田)包括的経済連携協定と言うとTPPなども思い浮かびますが、このRCEPとは?
TPPが1軍ならば中国の入るRCEPは2軍
宮家)
宮家)TPPが1軍だったらこれは2軍です。中国が入っているわけですから。中国が自由化ができるはずはない。保護主義反対とか自由貿易推進とか言うけど、中国の実態はまだまだ保護主義の途上国です。ですからRCEPというのは、TPPほど進んだものではない。
一時、TPP全盛期にはRCEPの優先順位は低かったのだけど、アメリカが抜けちゃってね、TPP11になっちゃったから。やはり中国をちゃんとルール作りのなかに取り込まなければいけないということで、RCEPの重要性がまた脚光を浴びてきたんだと思います。
中国は確かに強い経済ではあるのだけれども、内容的には非常に問題を抱えています。日本も含めて、中国に投資を考えている、もしくは既にしている国や企業はたくさんありますが、これから中国経済がスローダウンしていくに従って、進出していくのも地獄、撤退も地獄みたいなことになるかもしれない。
RCEPの役割
宮家)そういうときにTPPほどではないけれど、中国が国際的な経済の、投資の、もしくは知的財産権の分野で最低限の、日本や外国の企業にとって有利な約束事を作ることは意味のあることだと思います。昔はRCEPと言うと「うーん」という感じだったけれど、いまは中国を少しでも国際社会に、国際貿易システムのなかに取り込んで、意味のある約束をさせるということが大事だと僕は思っています。
飯田)約束をさせてそれを守らせなければいけない。
宮家)これが難しいのですがね。
飯田)宮家さん常々おっしゃっていましたけれども、WTOに中国が入った、入ったけれども約束守らないじゃないか、と。
宮家)多数決ならいいのだけれども、WTOはコンセンサス主義だから中国が反対したら一つも合意ができないですよね。以前はインドやブラジルも文句を言っていたのだけれど、中国ほど効果的にWTOを使っている国はないです。その意味ではWTOは機能しなくなってしまった、ということはWTOの外で貿易に関する約束を作って行かないといけないということだと思います。
飯田)これがRCEPの役割だと。
宮家)ただ、これがTPPほどレベルの高いものではないことは十分周知の上でやるべきだと思います。
飯田)どうですかこれ。先程2軍だとおっしゃっていましたけれど、通商の協定のレベルは低いと。これを日本としてはせめて1.5軍ぐらいまでは引き上げようという交渉をするのか、とりあえずは2軍でも良いからまずは団結させることをするのか。
宮家)方向性として最後は1.5軍まで上げて、そして中国にもっと自由化、規制緩和を求めないといけない。ただ中国は今のままでは1軍にはなれないです。そもそもTPPというのは中国に単なる経済政策だけじゃなくて政治的な改革を求めているものですから。そこまでの譲歩は中国もできないと思う。でも1.5軍でもいいから頑張ってねということですよ。
飯田)まあ国営企業とかがあるなかで、TPPみたいなものというのは難しいですよね。よくベトナムは入りましたね。
宮家)ベトナムは上手く入れたわけです。ああいう形で国営企業の改革をしないとTPPに入れないようにしてしまったことがいちばん大切なポイントです。中国が改革をしないと入れないようなものを作る。RCEPはそうではない。むしろ中国が主導してきたわけですから。その意味では2軍だけれども、2軍だって頑張ればいいものできますから。決して卑下するつもりはありません。
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