黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」（ニッポン放送）に、庭園デザイナーの石原和幸が出演。毎年ロンドンで開催されているチェルシー・フラワー・ショーについて語った。

「源（みなもと）」（作：石原和幸）

黒木）今週のゲストは、庭園デザイナーの石原和幸さんです。よろしくお願いします。
世界的に有名な庭園デザイナーでいらっしゃいます。ロンドンで毎年開催されている英国チェルシー・フラワー・ショーについてお伺いしたいのですが、どのようなショーですか？

石原）王立園芸協会、エリザベス女王が会長を務めている組織でして、全部で600の出展作品があります。カテゴリー別になっていて全世界から庭を作るのですが、例えば私のよく出るものは、スモールガーデン。小さい8mの幅、奥行き6mの庭です。これを約120時間で仕上げる。5月22日の7時半にジャッジがあります。5月22日の7時半までにピシっと仕上げないといけないのです。初日のパーティーの入場料が約10万円します。通常の日は1万円くらいで、15万人の方がいらっしゃいます。BBCで朝から晩までチェルシー・フラワー・ショーのことを放送しています。

黒木）参加しようと思ったきっかけは何ですか？

石原）日本は、江戸時代では最も庭師が多い国だったのですが、イギリスから比べたらいまは少ないのです。日本の僕たちの技をイギリスで評価していただいて、そして日本で仕事がしたい。世界チャンピオンになって、エリザベス女王から「あなたは世界一よ」と言っていただきたいと思ったのです。その為には、もの凄く勉強しないといけない。

黒木）とても費用が掛かるわけですよね？

石原）約40名のスタッフが、1ヵ月～1ヵ月半生活します。交通費、宿泊費、そして庭を作って解体する費用は全部こちらの負担です。料理人まで連れて行きますので、5千万～1億円くらいの間のお金は毎回かかります。

黒木）出場1回目にしてシルバーギルドをお獲りになった。そのときはゴールドの方がいらっしゃらなかった。それでコケで勝負しようと思われたわけですよね？

石原）イギリスの庭は、花を沢山使います。あえて花を1本も使わない庭を作ろうと。

黒木）逆を行ったわけですね。

石原）はい。源（みなもと）というテーマなのですが、もともと長崎の出島からヨーロッパに植物が行って、それで庭が広まったということが1つです。

黒木）そうですか、長崎なのですか。

石原）もう1つは雨が降って、森が水をキープして、そして川に流れて海からまた蒸発する。この循環のイメージを庭に表現したい。長崎のグラバー邸では洋風の石畳に松があります。何とも言えないエキゾチックな感じで、それを表現したかったのです。僕が「何でゴールドを取れなかったのですか」と審査員に聞いたら、「石原さんの庭にはもう少しラブリーさが欲しいわ」と言われました。「ラブリーさって何だろう？」と思ったときに、派手な花じゃなくて、菖蒲の花、紫の花をここにちょっと咲かせることができたら喜ばれるかなと思ったのですね。
家も売って行ったので、お金がない。仕事も無かったので2005年はとにかく仕事をして、庭も沢山作りました。
2006年にもう1度チャレンジしましたが、スポンサーがついて2,500万円ほど出していただきました。そこで初めてゴールドメダルを獲ることができました。

石原和幸／ 庭園デザイナー

■株式会社石原和幸デザイン研究所代表。
■1958年･長崎県生まれ。60歳。
■22歳で生け花本流『池坊』に入門。以来、花と緑に魅了され、路上販売から店舗、そして35歳頃から庭造りをスタート。
■その後、苔を使った庭で独自の世界観が国際ガーニングショーの最高峰である「英国チェルシーフラワーショー」で高く評価され、2006年から3年連続で金メダルを受賞。
2012年からは7年連続でアーティザンガーデン部門の金メダルを受賞。さらに部門内1位に贈られるベストガーデン賞と併せてのW受賞は5度。
また主催者が最も好きな庭として選ばれるプレジデント賞を2016年の作品、「ガレージガーデン」で受賞。
※チェルシーフラワーショーは、英国王立園芸協会が主催し、毎年5月にチェルシーで開催される伝統行事。1913年以来続く、世界最古にして最も権威のあるガーデニング&フラワーショー。600もの出展者がそれぞれのジャンルに分かれた庭園などを出展する。
■エリザベス女王とも接見し、「緑の魔術師」と称される。
■現在は商業施設や病院、学校、個人邸などのガーデニングを行うなかで、全国で庭と壁面緑化事業を独自に展開。環境保護（＝美化）に貢献すべく活動。
■著書に「世界一の庭師の仕事術」「緑のアイデア」写真集「庭」など。

ENEOSプレゼンツ　あさナビ
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