人生はいつでも走り出すことができる!
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第579回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、3月2日から全国公開された『君がまた走り出すとき』を掘り起こします。
世界6大マラソンを制覇した市民ランナーの実話が導くヒューマンドラマ
2004年に埼玉県川口市で誕生した「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、エンターテインメント性とデジタルの新たな表現の可能性を感じさせる作品を世界中から公募し、次代を担うクリエイターを発掘することにより、新たな映像産業の発展に寄与することを目的に、毎年開催されています。
15周年を迎えた同映画祭で、昨年、オープニング作品として上映された『君がまた走り出すとき』が、映画祭のお膝元・埼玉県川口市での先行上映を経て全国公開となりました。
本作は、川口市やSKIPシティ国際Dシネマ映画祭、SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザの若手支援事業に関わりのある監督から応募があった企画のなかで選出されたもの。人生に行き詰まった人たち、あるいは自分の人生から逃げ続けている人たちが、“ある人物“の存在をきっかけにマラソンを始め、自らの人生と向き合って行く…というヒューマンドラマです。
ところで、この劇中の登場人物たちに影響を与えたという“ある人物”。それは、実在するランナーがモチーフになっています。
その人物とは、川口市在住の市民ランナー、古市武さん。66歳から74歳までの間にフルマラソンを合計16回完走し、日本人男性としては初めて「ワールド・マラソン・メジャーズ」(WMM=世界6大マラソン)すべてを完走した経歴の持ち主なのです。
WMMに数えられるマラソン大会はロンドン(イギリス)、ベルリン(ドイツ)、ボストン、シカゴ、ニューヨークシティ(共にアメリカ)、そして先頃行われた東京マラソンもそのひとつ。
WMM制覇は市民ランナーにとって大きな名誉。そんな古市氏の体験談をラジオ番組で聞いたのをきっかけに、世代も性別も異なる6人がマラソンを通じて出会うところから物語はスタートするのです。
主演には『心が叫びたがってるんだ。』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』など話題作へ立て続けに出演、今後の活躍がますます期待される寛一郎。共演には山下リオ、浅田美代子、長谷川初範、菜葉菜、辻本祐樹等、実力派が脇を固めます。また往年の映画スター松原智恵子も参加し、作品に華を添えています。
メガホンを取った中泉監督は、話題作『カメラを止めるな!』で助監督を務めた人物。人生を模索する人々が、“走る”ことを通じて再生して行く。春の爽やかな風を感じることができる1作です。
君がまた走り出すとき
2019年2月8日(金)MOVIX川口にて先行上映、3月2日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督:中泉裕矢
脚本:岡 芳郎
出演:寛 一 郎、山下リオ、菜 葉 菜、辻本祐樹、綱島恵里香、安居剣一郎、長谷川初範、浅田美代子、松原智恵子 ほか
©2018川口市
公式サイト http://kimimata.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/