はしか感染 ワクチン接種を風評被害で否定するのは非科学的
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。成田空港ではしかに感染した従業員が出たというニュースを受けて、ワクチン接種は必要、風評被害に乗らないようにと言及した。
千葉県は昨日、成田空港で働く従業員二人がはしかに感染したと発表しました。感染した従業員は第2旅客ターミナルで勤務。今月22日以降空港を利用したひとと接触する機会があったことから、千葉県などが注意を呼び掛けております。
飯田)国内外の人の出入りが激しい成田ではしかへの感染が確認されました。折しもゴールデンウィークのさなかということもあって、本当であったらかなり大きなニュースになります。はしかは、高熱や全身に発疹が出るウィルス性の感染症で、感染力は極めて高く、重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れもあるというものであります。
佐々木)あまりマスコミで言わないですが、反ワクチン運動が背景にある。WHO世界保健機構が2019年世界の10大リスクのひとつに、反ワクチン運動を入れています。アメリカでもあちこちではしかが発生していますが、それは反ワクチン運動のホットゾーンと言われているところ、ニューヨークなど反ワクチン運動が盛り上がっているところでドバーンと増えているんです。
ワクチン接種を受けない受けるは個人の自由ですが、結局感染してしまう。すると既にワクチン接種を受けているひと、反ワクチンではないひとにまで反ワクチン運動の悪いところが広まってしまうっていうことになる。そこを考慮しないで反ワクチン運動に傾倒しているひとがいる。それは世界的に広がりを見せていますが、21世紀の2019年にもなって、未だに疑似科学が広がってしまう。
飯田)科学が風評に負けるというようなことですよね。実はこの番組、今日の6時台のコーナーで東京都医師会の感染症の専門家の先生に話を聞いたんですが、反ワクチンとかも含めて、ワクチンを打っていない穴があると、そこから感染が蔓延してしまう。ワクチンを打っていても、確かに100%感染を防げるわけではないけれども、感染を防ぐことが出来るのと、感染をしても症状が軽くて済むということもあるから、打っておいた方がいいそうです。
佐々木)はしかにかぎらず、いろんな感染症が世の中に存在します。20世紀は天然痘撲滅といった、ひとつひとつじっくり潰してきた時代でした。多分ワクチンが出てきた時代にはありがたい気持ちがあったのに、その状態に慣れてきてしまうと、ありがたさが薄れて、逆ブレの効果、当たり前過ぎるからこそ、それに対するアンチテーゼみたいな感覚が出てくるということがあるのではないでしょうか。
飯田)ひとによっては副反応が出てしまって体調が辛くなってしまうと、やっぱりワクチンは身体にいいものじゃないかもしれないぞとなってしまう。
佐々木)これにはメディアの責任もあります。それこそインフルエンザの場合、タミフルが異常な行動を引き起こすと報じられましたが、あれはインフルエンザの異常な行動だったと、後で明らかになってきました。当時はタミフルのせいにされてしまい、タミフルを打たないで、インフルエンザが悪化して亡くなる人まで出てきてしまうという状況があったわけです。医療の問題をメディアが扱う場合、本当にきちんと医療の知識をもったひとがやらなければダメだよねということです。軽々しく風評に乗らないことが、我々の仕事では大事です。
飯田)欧米各国のスタンダードなメディアだとお医者さん出身のひとがいたり、あるいは医師の資格をもった記者がいるとか、なかなかそこまでの余裕が今のメディアにはない。
佐々木)そうなんです。各新聞社にメディカル担当はちゃんといるんです。そういうひとが書いている記事はまっとうなんだけど、それが地方支局が書いている地方の記事だと軽々しく風評に乗っかっている場合があるんです。きちんとした社内教育も大事だなと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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