【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第621回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、5月17日に公開された『コレット』を掘り起こします。
キーラ・ナイトレイ主演最新作! 時代のアイコン、シドニー=ガブリエル・コレットを見事に体現する
フランスの田舎町サン・ソヴールで生まれ育ったコレットは、14歳年上の人気作家ウィリーと出会い、結婚。パリに移り住むことに。1890年代のパリは、ベル・エポック真っ只中の活気にあふれていた。芸術家たちが集うサロンへ足繁く通い、華やかな生活を送るなか、ウィリーはコレットの文才に気づき、自身のゴーストライターとして小説を書かせる。そうして彼女が執筆した「クロディーヌ」シリーズはたちまちベストセラーとなり、一大ブームを巻き起こす。しかし、次第に自分が作者であることを世間に認められない葛藤に苦しむようになるコレットはやがて、ありのままの自分を貫き、自らの歩むべき未来を追い求め始める…。
フランス文学会でもっとも知られている女性作家、シドニー=ガブリエル・コレット。稀代のファッションデザイナーであるココ・シャネルをはじめ、ジャン・コクトー、ジャン=ポール・サルトル、アンドレ・ジッド、シモーヌ・ド・ボーヴォワールなど多くの著名人と親交があり、愛された存在です。また自著「ジジ」の舞台化にあたって、当時無名だった新人女優のオードリー・ヘプバーンを主役に大抜擢し、オードリーを一躍スターにした立役者としても知られています。
そんなコレットがいかにしてフランス屈指のベストセラー作家と呼ばれるようになったのか。近代の幕開けという時代の変革期において、数々の功績を残した彼女の波乱と情熱に満ちた人生が、映画となりました。
コレットを演じるのは、イギリスが誇る人気女優キーラ・ナイトレイ。19歳から34歳までを瑞々しく演じきる、その美貌には見惚れんばかり。現代にコレットが存在したならば、やはりこのように美しく快活で魅力的な女性なのだろうかと、観る者の想像力を掻き立ててくれます。
昨今の#MeToo運動をはじめ、女性の自立や自由が叫ばれる現代において、その先駆け的存在とも呼べるシドニー・=ガブリエル・コレットの半生は、決して“過去の物語”ではなく、現代に生きる女性のバイブルと言っても過言ではないほど鮮烈。その刺激的な生き様に、是非、触れてみて。
コレット
2019年5月17日(金)からTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:ウォッシュ・ウェストモアランド
脚本:リチャード・グラッツァー、ウォッシュ・ウェストモアランド、レベッカ・レンキェヴィチ
出演:キーラ・ナイトレイ、ドミニク・ウェスト、デニース・ゴフ、フィオナ・ショウ、エレノア・トムリンソン、ロバート・ピュー、レイ・パンサキ ほか
© 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.
公式サイト https://colette-movie.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/