大阪維新の会と公明党大阪府本部の「駆け引き」の先にあるもの
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月30日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。大阪都構想を巡る公明党大阪府本部と大阪維新の会のそれぞれの駆け引きについて解説した。
大阪都構想を巡って公明党が賛成で最終合意、その理由は
先週5月25日、大阪都構想の是非を問う2度目の住民投票を実施することで最終合意をした大阪維新の会と公明党大阪府本部。この先1年を目処に都構想案をまとめ、来年(2020年)の秋から冬に住民投票を実施する見込みとなった。
飯田)前回の住民投票では、その是非は置いておいて住民投票には賛成という形。
鈴木)そうですね。
飯田)今回は住民投票だけでなく、大阪都構想そのものも入れた案を作って行く。これは実質賛成だということになったのですか?
ここまでの大阪維新の会と公明党大阪府本部の駆け引き
鈴木)実質賛成とはまだ言い切らない方が良いかもしれませんね。もちろん賛成という、大阪都構想を進める前提のもとで公明党は案作りに入って行きましょう、ということになっているけれども。これから案を作って行くので、また何で揉めるかはわかりませんし、意見が食い違うかもしれません。
これは国政と絡んでいるのです。維新と公明党の関係で言うと、維新は大阪都構想は何としてでもやりたいと思ってやって来た。どちらかと言えば公明党はそれに対して慎重姿勢、反対だったのですが、そこに国政が絡んで来る。大阪は公明党にとって小選挙区で勝っている人も多いし、力を示す大事な場所なのです。そこに維新が、大阪都構想に協力してくれないなら、公明党の選挙区に候補を立てるよと。大阪で維新は強いですから、候補を立てられてしまうと落ちる可能性がある。公明党としては、それはまずい、牙城を崩されてしまうということになる。そういう駆け引きがずっとあったのです。
脅しと言ったらきつい言い方かもしれませんが、維新にしてみれば公明党に対して「候補を立てて欲しくなければ大阪都構想に協力してくれ」と。そんなせめぎ合いがずっと続いていた。それで春の統一地方選挙では知事選や市長選、全部維新が圧勝したわけです。公明党としては、このせめぎ合いは敵わない、かと言って候補を立てられるようなことがあっても困る、ということで歩み寄ったのです。
飯田)再三言われていることですが、公明党は比例との重複立候補を認めていないから、小選挙区で落ちてしまえば本当にただの人になってしまう。
鈴木)そうなのですよね。ポイントはやはり総選挙になって来るのです。ダブル選挙の可能性と言われているけれども、もしいま総選挙を行ったら、維新が候補を立てて来るかもしれない。脅しだけではなく徹底的にと、橋下徹さんなどは言っていたくらいですから。
飯田)そうですね。
総選挙があるかないかでまた変わって来る公明党の出方
鈴木)そうすると選挙があったら大変なことになるので、公明党も割と早いタイミングでこの辺の話をまとめておかないといけない。ところが逆に、もしダブル選挙、総選挙がなかったらどうなのか。また猶予ができるので、その間に次の総選挙がどのタイミングであるのか、世論がどういった政権、国政に反応しているのか。いろいろなことを考えたら、公明党はもう1度原点に帰って…ということだってあるかもしれない。
つまり、総選挙で影響を受けないということであれば、公明党もどんなことを考えるかまだわからない。そういう意味では単純に「ごめんなさい。これから従います」ではなくて、それぞれしたたかですから、この話は総選挙がいつあるかによって…。
飯田)まったく変わって来る。
鈴木)あるいは近づき方も変わると見ておいた方がいいですね。
飯田)それで、言い切らない方が良いという言葉なのですね。
鈴木)まだわからないです。
飯田)ここから1年かけて、都構想の中身と協定書を作る。その作業を公明党と維新が一緒にやる。自民党もこれに乗るという話はあるのですか?
鈴木)自民党は難しいかな、大阪では少し割れていますから。維新に与するのかと言っている人たちもいますので。方向としてはまとまりつつありますが、まだ予断を許さないと言って良いと思います。
維新の会の勢いは参院選にまで影響
飯田)維新の会は大阪では旋風を起こしましたけれども、他の地域ではどうなのですか?
鈴木)東京の統一地方選挙の第2弾がありましたよね。そのときに東京維新の幹部から選挙後に僕にメールが来て、当選が倍増ですよと。
飯田)そうなのですか。
鈴木)少し前まで維新は勢いがなくて、東京は維新から出て行く人も多かった。けれど一連の大阪の知事選、市長選が報道されて、それが全国に伝わっている。参議院選挙にできる限り、選挙区に維新が候補を擁立するという話もあります。とにかく比例票につながって議席が取れればと。
飯田)なるほどね。
鈴木)大阪だけの問題ではなく、いまの維新の勢いは全国、参議院選挙にも影響して来る可能性があるでしょう。
飯田)それは与野党対決、野党共闘ができたところに、もう一石を投じるような感じですね。
鈴木)そういうことです。保守系で改革。都構想は改革のイメージがあるので、全国の無党派層なども「何だか最近、保守系で改革の色が見えるよね」となったら、維新に票が流れる可能性もあります。自民党の票が食われるのか、もしくは野党の票が食われるのか、これによって選挙情勢にも影響が出て来る。
公明党が東京12区で太田昭宏氏から代替わりすることが示す意味
飯田)公明党の東京12区で太田昭宏さんという大物が、選挙区を持っていたのが代替わりするということですが、これはどういうことでしょうか?
鈴木)そもそも太田さんは定年制の問題があって、どのタイミングで代わろうかと言っていたのです。そんなときに解散総選挙があるかもしれないと言われて、いまのタイミングで代わらないと、解散したらまた太田さんが出ざるを得ないではないですか。
飯田)地盤もきちんと持っているということで。
鈴木)これは太田さんが言っていたのですが、あの地域で自公協力で行うのは1年半かかったと。自分の名前を浸透させて、自民党と一緒に選挙をやるには。今度、新人も1年半かかるのです。つまり公明党としては、「1年半は解散するなよ」というメッセージになりませんか?
飯田)そういうことなのですか。
鈴木)公明党は大阪の事も心配だし、いろいろなことを考えて参議院選挙にも集中したいので、早期解散はいまの公明党としては「ノーだよ」というサインが少し見えますね。
飯田)なるほど。
鈴木)近々、太田・安倍会談があると思います。政局の節目で必ずこの2人はやるのですよ。これが1つポイントだと思います。
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