外資規制緩和を発表した中国の本当の狙い

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。6月30日に発表された中国の外資規制緩和について解説した。

外資規制緩和を発表した中国の本当の狙い

20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に出席するため来日した、中国の習近平国家主席(中央)=2019年6月27日午後、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

中国が外資規制を緩和

6月29日に日本で行われたトランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談で、貿易協議を再開することで合意したことを受け、中国政府は外資規制の緩和措置を発表した。中国は外資の参入を制限する分野を定めているが、6月30日、石油や天然ガスの探査・開発など7つの分野で外資規制を緩和すると発表し、市場開放をアピールして協議の進展を狙うものと見られている。

飯田)何だかこれだけを見ると、雪解けの方向に進んでいるのか、という感じに見えますが。

持久戦に持ちこもうとしている中国~徹底的に追い込もうとするアメリカ

須田)まったく進んでいないです。随分小刻みにして来たな、としか思えません。アメリカはほとんど評価していないだろうと思います。これを見る限りでは、習近平体制はこういう方向で米中貿易戦争を戦って行くのだというところが見えて来ました。それが何かと言うと、最近の習近平国家主席は、「新長征」が再び始まったという発言をしています。「長征」とは、国共内戦のときに1934年から2年間続き、圧倒的に強い国民党軍に対して共産党軍が撤退戦を2年間繰り広げた。そのとき、驚くべきことに1万2500キロを敗走し、徒歩で撤退した。これは持久戦なのです。これを戦い抜いたことによって、その間、国民党は日本軍との戦争に入って疲弊し、結果的に体力が低下してしまう。一方で共産党軍は毛沢東体制を確立するという、歴史的偉業と位置付けられている。それが再び始まったのだと習近平さんは位置付けています。持久戦ですから、小出しにして少し抵抗して…。そういうところなのだろうと思います。ただ、アメリカ側から見ると持久戦ではあるけれども、徹底的にこれから中国を追い込んで行くというところが見てとれます。

注目されるペンス副大統領の演説

須田)ですから2回延期になってしまったのですが、ペンス副大統領の激しく中国を批判するのだろうと思われる演説、その内容がどのようなものになるのか、そして近々行われるのかというところが1つの注目点だと思います。

飯田)直前の6月24日にという話もありましたが、結局この米中首脳会談を待ってというように変わったのですよね。

生産体制をアメリカに戻すことがトランプ大統領の最終的な狙い

須田)当初は6月4日。これが延期になって6月24日、それが更に延期になっているということです。やらないことはないでしょうけれども、注目されるのはその内容です。米中貿易協議については再開ということになりましたが、再開されたとしてもトランプ大統領の納得が行くような結果にはなりませんから、いずれにしても演説がされるということです。トランプ大統領の最終的な狙いは何かと言うと、結果的に中国経済が大きく衰退して行くことにもつながるのですが、サプライチェーン、生産体制がいま中国中心に移っているものを、アメリカにもう1回戻すことが大統領の狙いです。あまりメディアは指摘しないのですが、最終的にはそこだと思います。

飯田)そうなると、製造業も回帰させて行く。

須田)そうですね。トランプ政権と言うより、ホワイトハウスのいまの体制を見てみると、2つの系統があります。1つは経済政策をハンドリングしているピーター・ナバロ補佐官のグループ。そして人権宗教・安全保障のペンス副大統領とポンペオ国務長官のグループに分かれている。今後、この問題はもちろん安全保障問題とは裏腹ですけれども、やはりピーター・ナバロ氏の動きを注目してもらいたい。G20で私がずっと見ていたのは、ナバロ氏の行動と表情です。とりあえず米中首脳会談が終わって、問題が先送りで協議再開が決まりました。そのとき、彼は顔をしかめていました。嫌そうな顔をして、「いまに見ていろよ」という表情が見てとれました。ですからこれで問題が解決して行くとは、トランプ政権もホワイトハウスも見ていないのではないかと思います。これから相当激しいやり取り、バトルが行われるのだろうということが、ナバロ氏の表情からは伺えました。

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