【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第678回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、8月30日から公開の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を掘り起こします。
クエンティン・タランティーノが、1960年代ハリウッドとエンタテインメント業界の明暗を描き出す
第72回カンヌ国際映画祭で、上映後、約6分にわたるスタンディングオベーションを浴びたクエンティン・タランティーノ9作目の監督作となる『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
これまでも「(監督作を)10本撮ったら引退する」と公言して来た彼ですが、「本作が好評だったら、10本目は撮らなくてもいいかな」なんて発言も飛び出しているとかいないとか。…というコトは、この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が、最後のタランティーノ作品となってしまう可能性もある?!
テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すもうまく行かず、焦りを感じているリック・ダルトン。彼の支えは、付き人兼スタントマンのクリフ・ブースだった。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、彼とは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフは、固い友情で結ばれていた。
ある日、リック家の隣に、時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と、その妻で新進女優のシャロン・テートが引っ越して来る。いまをときめく夫婦の輝きを目の当たりにしたリックは、イタリアでマカロニ・ウェスタン映画に出演し、もう一花咲かせようと決意する。
やがて1969年8月9日、それぞれの人生を巻き込み、映画史を塗り替える事件が発生する…。
本作でダブル主演を務めるのは、世紀の映画スター、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット。映画界騒然の初共演に、胸が高鳴る映画ファンも多いのではないでしょうか。2人が醸し出すバディ感が何とも味わい深く、彼らの姿がひとつのスクリーンに収まっているというだけで、とにかく楽しめること請け合いです。
そんなレオ&ブラピの脇を固めるのは、美貌と演技力を兼ね備えたマーゴット・ロビー、大御所アル・パチーノ、タランティーノ作品常連のカート・ラッセルやブルース・ダーン、マイケル・マドセン、ゾーイ・ベルなど、“タランティーノ・ファミリー”が集結。1960年代ハリウッドとエンタテインメント業界の明暗を浮き彫りにしたドラマが展開されます。
クエンティン・タランティーノ監督は、5年の歳月を費やして脚本を執筆。実際に起こったチャールズ・マンソンによるシャロン・テート殺害事件を題材に、巧みなストーリーテリングで激動のハリウッドを描き出しました。
彼が幼少期を過ごした当時のハリウッドの街並み・音楽・ファッションが細部に至るまで細密に再現され、どこを切り取ってもハリウッドへの郷愁とリスペクトがあふれんばかり。
…とは言え、ノスタルジーに浸っているだけでないのがタランティーノ監督。お得意のバイオレンス描写も切れ味鋭く、実に痛快。あなたもクエンティン・タランティーノが仕掛けた“映画のマジック”に、かかってみてはいかが。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
2019年8月30日(金)から全国ロードショー
製作・脚本・監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノ、マーゴット・ロビー、ブルース・ダーン、ダコタ・ファニング、ジェームズ・マースデン、ルーク・ペリー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、カート・ラッセル、エミール・ハーシュ、マーガレット・クアリー、オースティン・バトラー、ティモシー・オリファント、ダミアン・ルイス
公式サイト http://www.onceinhollywood.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/