G7の総括文書が1枚に簡略化された理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。G7総括文書について解説した。

G7の総括文書が1枚に簡略化された理由

記者会見し、紙を手にするマクロン大統領(フランス・ビアリッツ)=2019年8月26日 写真提供:時事通信

G7総括文書~5つの項目を1枚に

フランスで26日まで開催されていた先進7ヵ国(G7)の首脳会議では、各国が一致した5つの項目をまとめた1枚の総括文書が発表された。サミットの成果を示す文書としては異例となる簡素な形式となった。

飯田)トランプさんが出させなかったと書いているところもありますが、日経新聞がその裏舞台のようなものを書いています。マクロンさんはかつてオランド政権のときに、大統領の個人的代表「シェルパ」というものをやって、首脳宣言の成果文書の取りまとめをしたときに、あまりにも長過ぎて首脳の出すものではないと強く思ったそうです。それで今回、1枚の文書になったという話もあったようですね。

高橋)普通そうでしょうね。長く書いても、首脳の人たちは「俺たちこんなことを話したっけ?」と言うくらいでしょう。

飯田)そういうものなのですか?

高橋)シェルパの人がやっているから、「いろいろやっているのだな」と思いますが、トップに立つ人が「やめてくれ」とも言えないから黙っているのですよ。みんな長いと思っているでしょう。

飯田)こんなに分厚いものが出て来て、「俺たちはこんなものをやったのか?」と。

高橋)そのときに読んで、「ああ、こういうものをやったのか」とわかるような感じですよ。

飯田)いままではそれが続いて来たわけですね。

高橋)官僚機構がやっていますからね。私も経済財政諮問会議の書類を書くのですが、「1枚半にしてくれ、それ以上読めないのだから」とはっきり言われましたよ。だから大きな文字で1枚半と決めていました。分厚いものを出したって、議論もできないし、読めないし、わからないと言われてしまいました。たぶんこれも一緒です。これまでG7の文書はたくさん書いているでしょう。でも、議論はしていませんよ。

G7の総括文書が1枚に簡略化された理由

討議を前に写真撮影に応じる各国首脳。(右端から時計回りに)安倍首相、トランプ米大統領、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相、カナダのトルドー首相、ジョンソン英首相、EUのトゥスク大統領、イタリアのコンテ首相=2019年8月25日、フランス南西部ビアリッツ(代表撮影・共同) 写真提供:共同通信社

G7先進国の関心が出る総括文書

飯田)だから今回は、本質的に議論した部分について、出せるものは出したということですね。

高橋)G7は西側の自由、資本主義、法の支配、人権、このくらいのキーワードで括れるところなのです。そこだけで話をすると、イランやウクライナ、香港の話が中心になるはずです。それだけを出したかったのではないでしょうか。議論するのはそのくらいだから、G7の先進国の関心ははっきりしていると思いました。

飯田)出したいメッセージをまず出したと。

高橋)さすがに1枚の紙くらいだと議論できるのですよ。

G7の総括文書が1枚に簡略化された理由

香港国際空港の出発ロビーを占拠した逃亡犯条例の改正反対派(中国・香港)=2019年8月13日 写真提供:時事通信

香港問題~中英共同宣言で中国をけん制

飯田)今回、香港については、中国が不満を表明するというところがありました。

高橋)でも、このときによかったのは、1984年の中英共同宣言というものがあって、これを中国はなかったものだと言いたいわけです。なぜならそこには50年間、一国二制度をやると書いてあるからです。これは中国からしたら、なかったものです。はっきりと言えば嘘をついたのがばれるから、なかったものにしたいのですよ。

飯田)痛いところを突かれたからこそ、すぐに反応したのですね。

高橋)こんなものは知らないと言わなければ、すぐに言われてしまうではないですか。

飯田)香港のデモについてのメッセージも、明確に出したわけですか。

高橋)84年の文書を読み返せば、嘘をついたのが誰かすぐにわかる、ということです。

飯田)しかも、あまり名指しをせずにやっているのですからね。

高橋)読め、と言っているだけですね。

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