3姉妹が経営する「三益酒店」~新たに始めた“角打ち”の魅力とは
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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
いま、お酒好きの間で人気を集めているのが「角打ち」。酒屋さんの一角を仕切り、買ったお酒を立ち飲みできる場所のことで、最近は女性が立ち寄りやすい角打ちも増えています。
きょうは、お父さんの後を継いで酒屋さんの3代目になり、お店の隣で、妹2人と一緒に角打ちも経営する女性店主のストーリーをご紹介します。なぜ3姉妹は、角打ちを始めることにしたのでしょうか?
JR赤羽駅から歩いて20分ほど、古いマンモス団地が建ち並ぶ、東京・北区桐ヶ丘。団地に囲まれた桐ヶ丘中央商店街の一角に、「三益酒店」があります。
このお店、普通の酒店とちょっと違うのは、2つの扉があること。右側の扉を開けると酒屋さん。左側の扉を開けると「三益の隣」という、カウンター付きの角打ちスペースになっています。
戦後間もなく初代店主が開いた店を地酒専門店にした2代目が、東海林孝生さん。美味しいお酒を造っている全国の蔵元を訪ね、卸してもらえるよう交渉。品揃えは都内でも屈指の店に。
3年前にその後を継いだのが、長女で3代目の東海林美保さんです。次女・由美さんと三女・美香さんとともに、三益酒店と角打ちの両方を経営。3姉妹が接客するお店は話題になり、たくさんのファンを集めています。
「私は大学を出て、大阪の会社に勤めていたんですが、うちは男のきょうだいがいないので、いつかは自分がお店を継ぐことになるんだろうな、と思っていました」と言う美保さん。小さい頃からお店にあるお酒のラベルを眺めるのが好きで、大学生のときからお父さんの孝生さんと一緒に、地方の蔵元にも足を運んでいましたが、最初にお店に入ったのは次女の由美さんでした。
孝生さんと夫婦でお店に立っていた母親の博子さんが体調不良になり、料理の専門学校を卒業したばかりの由美さんが、代わりにお店に入るようになったのです。しかし、厳しい孝生さんと何かと意見が衝突。
「由美が泣きながら『お姉ちゃん、帰って来て!』と何度も電話をくれて、これは実家に戻るときなのかなと、会社を辞める決心をしたんです」
10年前に実家へ戻り、お店を手伝い始めた美保さん。常連客はお酒に詳しい人が多いので、ときに知識不足や経験不足を痛感し、落ち込むことも。美保さんはお酒の知識を高めるため勉強し、由美さんとともに唎酒師(ききざけし)の資格を取り、お店のスタイルを変えて行くことを孝生さんに提案しました。
「父は気が多いところがあって、もともとは角打ちスペースも父が作ったんですが、数ヵ月でやめて物置になっちゃって。何とか有効に使えないかな、と思っていたんです」
2010年、美保さんは新しいお客さんを開拓するために由美さんと話し合い、赤羽にある知り合いのカフェを借りて、金曜日限定で「三益バー」を開店。美保さんが厳選した地酒の一升瓶を自転車に積んでカフェまで移動し、調理師免許を持つ由美さん手作りのおつまみを出したのです。
これが評判になり、「いま物置になっている角打ちスペースを使って、お店の隣で、私たちのお店をやろう!」と、現在の「三益の隣」に発展して行きました。お店の入口も、新規のお客さんが入りやすいように改装。デザイナーに頼んで、三角形が3つ重なった三益酒店のロゴも製作し、のれんに入れました。
さらに、SNSやブログなども使って、こまめに情報を発信。「ブランドイメージが大切だと思って……これは、会社勤めの経験が大いに役立ちました」。
その効果で、若いお客さんや女性客も増えただけでなく、品揃えのよさを知って、遠くからわざわざやって来るお酒好きの人たちも増えました。
「三益の隣」では週末に随時、イベントも開催。地方の蔵元を招き、お客さんと直接話しながら飲むイベントは大好評で、お店の壁にはここを訪れた蔵元のサインがビッシリと書かれています。
美保さんは3年前にお店を継いで、3代目社長に就任。いまは三女の美香さんを「三益の隣」の責任者にし、ロゴマークのように、3姉妹のトライアングルがお店を支えています。
美保さんは言います。「お客さん同士や蔵元の方が、美味しいお酒を飲みながら語り合い、いろいろなつながりができる……そんな、来ていただいた方の心に残る酒屋を目指して行きたいですね」。
<三益酒店>
住所:東京都北区桐ヶ丘1丁目9-1-7
営業時間:午前10時〜午後8時(月曜定休)<角打ち 三益の隣>
営業時間:
■水・金 午後4時半~8時
■土・日 午後1時~6時
八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50
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