「報道部畑中デスクの独り言」(第156回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、10月25日から開幕した「東京モーターショー2019」について---
2年に1度の自動車の祭典、東京モーターショーが、東京・江東区の東京ビッグサイトなどで今年(2019年)も開幕しました。先の小欄でもお伝えしたように、今回のキャッチフレーズは「OPEN FUTURE」。これまでの展示中心のショーから転換し、多様な業界と協力して未来の乗り物を体感できる内容になるということです。
会場は「青海エリア」と「有明エリア」に分かれ、トヨタ自動車のショールーム「MEGA WEB」も活用されます。これは東京ビッグサイトが東京オリンピックへの対応のため、一部が閉鎖されていることも影響しています。
各自動車メーカーのブースは軒並みスペースが縮小され、主役から脇役に追いやられたような印象がありました。ただ、そのなかでも出展されたコンセプトカーからは、新しい時代の香りを感じることはできました。
「電気自動車の新しいカタチ」
これは日産自動車の小型乗用車「ノートe-POWER」のCMコピーですが、今回の東京モーターショーはまさにこれこそがキーワードではないかと言えるほど、EV=電気自動車、あるいは電動化技術を各社前面に押し出したものでした。
「キーとなるのが電動化とエネルギー」(ホンダ・八郷隆弘社長)
「新しい電気自動車、非常に近い将来の日産が向かう方向を明確に示している」(日産自動車・中畔邦雄副社長)
「マツダ初の電気自動車、内燃機関の商品と同様に人馬一体感を実現している」(マツダ・丸本明社長)
もはや、モーターショーの「モーター」は電気のモーターのことかと思ってしまいます。
日産自動車は軽自動車とSUV(スポーツ多目的車)タイプのEV、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」のEVはガルウィングと呼ばれる、上に開くドアが特徴です。最近はSUVタイプのクルマが世界的に人気ですが、この車型には四輪駆動も多く、これがEVになると制御も高度になって来ます。そのあたりは各メーカーの腕の見せ所でしょう。
マツダもSUVタイプのEVを発表しました。欧州ですでに予約を開始、2020年末に発売予定で、日本にもいずれ導入されるということです。インテリアにはコルク材を使用。マツダはその前身が「東洋コルク工業」でした。原点回帰の意味合いもあるかもしれません。
何よりもエンジンにこだわって来たマツダが、自社開発のEV発売に踏み切ることで、EV、電動化の流れもここまで来たという印象です。
そしてトヨタ自動車も…2020年発売予定の超小型EVがお目見えしました。車内にも乗り込むことができましたが、2人乗りということもあってか意外に広々しており、街乗りコミュータとして必要十分なものです。
一方、自動車らしくない「車両」も。スズキは自動追従機能、歩くスピードに合わせて歩行者について来るロボットを参考出品。鈴木俊宏社長が「頼むぞ、緊張してるな。俺も緊張しているけど」と、ぎこちなく歩きながらデモをする姿には笑いもこぼれました。
思えば、バッテリー、モーター、インバーターなどからなる電動化技術は、すべてではありませんが「バイ・ワイヤ」と呼ばれる電線で接続されています。エンジンとトランスミッションなどがギアやシャフトで機械的につながる、内燃機関の自動車に比べてレイアウトが自由です。
上記の部品はどこに置いても成立しますし(バッテリーなどは床下に収納しているケースが多い)、極端に言えばハンドルさえもどこにあってもいいのです。電動キックボードのような「車両」もありました。そういったなかで今後も、さまざまな形の電動車両が生まれることでしょう。
電気自動車はどんなカタチであるべきか? そんなステージに入ったと思わせます。(次回に続く)