島崎藤村も愛した宿「中棚荘」の歴史ある部屋に泊まろう!

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ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」(10月20日放送)では、「長野県小諸市、島崎藤村の愛した宿で、初恋に想いを馳せる!?」というトピックスを紹介した。

島崎藤村も愛した宿「中棚荘」の歴史ある部屋に泊まろう!

10月30日は「初恋の日」とされている。明治29年(1896年)、詩人で小説家の島崎藤村が、「こひぐさ」の一編として「初恋」の詩を発表したことに由来して制定されたそうだ。

「初恋の日」を制定したのは、長野県小諸市にある島崎藤村ゆかりの宿「中棚荘」。中棚荘の女将、富岡洋子さんに、立川晴の輔が話を伺った。

 

晴の輔:「中棚荘」は、島崎藤村ゆかりの宿とのことですが。

富岡:私どもの創業は、明治31年です。島崎藤村は当時、『小諸義塾』校長の木村熊二先生に誘われて、英語と国語の教師として小諸に足かけ7年間赴任していました。

私どもの敷地内に木村熊二先生の書斎があり、そこに藤村が足しげく通っているうちに、木村熊二先生の「ここの土地も掘れば温泉が出るのでは?」とのアドバイスで先代が掘ったところ、思っていた以上の湯量がありました。

当初は「大衆浴場」という形で始めたのですが、非常に効能があるのがわかり、遠方からいらっしゃる方も大勢いて、翌年に許可を得て旅館を始めました。そのときは島崎藤村も、生徒と一緒に鍬を持って鉱泉開発に携わったということです。

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千曲川旅情の歌

晴の輔:一緒になって掘ってくれたのですか?

富岡:そうなのです。私どもの宿にも何十回と泊まられて、『小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ』という、有名な『千曲川旅情の歌』もこちらで作りました。

晴の輔:藤村が使っていた部屋などもあるのですか?

富岡:「藤村の間」というものがございます。お部屋指定のお客様がいらっしゃる、評判のよいお部屋です。

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「藤村の間」

晴の輔:なるほど。ところで、10月30日は「初恋の日」とのことですが、制定されたのはいつごろなのですか?

富岡:ちょうど20年前になります。

晴の輔:何か、それに関するものはありますか?

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中棚荘入口にある「初恋ポスト」

富岡:「初恋ポスト」というものがありまして、そこに投函すると初恋が実る、と勝手に言っています(笑)。他にも、『まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき』という藤村の『初恋』の詩にちなんで、「初恋りんご風呂」を10月ぐらいから、翌年5月ぐらいまで毎日やっております。女湯、男湯に100個のリンゴを入れ替えながら行っています。

晴の輔:そんなに浮かんでいるのですね。

富岡:また、『初恋はがき大賞』も募集しています。川柳、エッセイ、写真や俳句、短歌など何でも結構ですので、『初恋の思い』を投函していただきます。

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晴の輔:どういったはがきが届きますか?

富岡:過去の例からですと、80代ぐらいの戦争を体験されたご年配の方が、つれあいを亡くされたいまだから思う存分にと、初恋の思いをしたためられていました。『防空壕で隣り合わせた、みよちゃんの白い手』とか、『回覧板を持って来た〇〇ちゃんの、赤い頬』など。

晴の輔:一文を聞いただけで、胸にグッと来るものがあります。

富岡:あとは小学生ですね。これが本当の初恋だと思うのですけれど、『好きだからいじめちゃってごめんね』とか。年代によって、さまざまな初恋に対する思いが込められたはがきが来ますので、私たちも楽しみです。

晴の輔:藤村は、お部屋で執筆活動もされたのですか?

富岡:こちらに来られた翌年に結婚されて、小諸市内に居を構えたそうですが、それまでの1年間は、ほとんど旅館に間借りしていたと聞いております。

晴の輔:「藤村の間」に泊まれば、藤村が見ていた風景が見られるのですね。

富岡:大きなプラタナスやヒマラヤ杉、また梅の季節などは、お部屋にいながらにしてお花見ができる、とても素敵なお部屋です。

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客室「千曲」

晴の輔:それを見ながら、浮かんだことを書いたりしていたのでしょうね。新しいお部屋もあるのですか?

富岡:はい。「藤村の間」は明治・大正のころの木造りで、トイレも付いていない、昔ながらのお部屋です。そこをご指定される方もいらっしゃいますが、トイレが付いていた方がいい、温泉付きがいいなど、ご希望される方には平成5年にリニューアルした「平成館」の、現代風設備が整ったお部屋のご用意がございます。そちらには温泉付きでベッドが2つの洋室と、8畳、4.5畳の和室が2間付いた『和洋室』タイプのお部屋もございます。

晴の輔:大正浪漫の雰囲気から、平成の新しい空気まで。

富岡:皆さんのご予算に合わせて、3タイプございます。ラウンジには藤村の直筆原稿や、貴重な初版本、藤村が愛用した煙草盆や火鉢などが、当時のまま残っております。

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ラウンジ

富岡:私どもの温泉は、飲用できる、とても泉質がいいものです。お料理すべてにも温泉水を使用しております。是非ともいらっしゃってください、お待ちしております。

 

■先日の台風19号で、「中棚荘」も倒木などの被害に遭われたそうです。しかし、お話にあったように明るく営業されています。ぜひ初恋と藤村を感じに、そして女将さんに会いに行ってください。その際は、鉄道や道路の状況をご確認の上、お出かけください。

週刊なるほど!ニッポン
FM93AM1242ニッポン放送 日曜24:50-25:00

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