「身の丈」「雨男」……全体的な閣僚の言葉の軽さが問題
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月31日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。萩生田文部科学大臣の所謂「身の丈発言」について解説した。
政策というよりは言葉の軽さが問題
大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験をめぐり萩生田文部科学大臣は30日、国会の衆議院文部科学委員会で「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と発言した自身の言葉について、「改めてこの場を借りて国民の皆さま、特に受験生の皆さまにお詫び申し上げる」と改めて謝罪した。
飯田)「どのような環境にいる受験生でも、力を最大限発揮できるよう、全力で頑張ってもらいたいとの思いだった」と。「結果として不安や誤解を与え、私の不徳の致すところ」と釈明をしています。地方と都心部とで違いがあるだとか、お金を持っている、持っていないなどの家庭環境でも違いがあるのではないかと、つっこみをされたところでの発言だったのですが。
鈴木)そうですね。地域やお金によって教育に格差があるというのは、絶対にあってはいけないことです。教育立国という言葉がありますが、やはり国を作って行く基本は人であり、その人を作る基本は教育だと。教育というものは常にいろいろと考えて、しっかりと平等にやって行こうという精神、これは誰も否定できない当然のことです。なので、そういうものに対して「身の丈に合った」という言葉は、限定されたり差別的なのではないかという印象を与えますよね。もちろんこの発言はまずいですし、意図的に信念を持って「身の丈に差があってもいいのだ」というように発言をした感じでもないのですよね。文脈の流れから、僕は萩生田さんを弁護するわけでも擁護するわけでもなく、こういった言葉を使ったのはボキャブラリーの問題として、大臣として絶対に駄目だと思います。そういった意味では言葉の信念だとか、政策というよりは弾みや言葉の軽さが見られますね。この後に、河野防衛大臣の「雨男」発言もありました。これもパーティーであいさつをしたときに、別に「雨男だから台風が来ましたよ」と言って笑っているわけではないのですが、やはり言葉のTPOと言うのでしょうか。ここで大臣が、さすがにそれは使用しないでしょうと。もう少し意識があるなら、そのような言葉は出て来ないでしょうと、それは非難されることです。全体的な閣僚の言葉の軽さを、1度引き締めろよということだと思いますね。
民間検定試験の導入をもう1回議論すべき
鈴木)それともう1つ、これをきっかけに英語の民間検定試験の導入を行うのか行わないのか、延ばした方がよいのではないかと議論になって来ています。僕はこれをもう1回、ここで考えるということはありだと思います。なかなか日本の教育制度というのは、政治課題としては正面から議論されて来ていませんよね。例えば大学の試験にしても、飯田さんはセンター試験世代ですよね。
飯田)はい。
鈴木)僕はその前の国立一期校、二期校の世代ですから。
飯田)なるほど、共通一次よりもかなり前。
鈴木)前です。大学の試験の形式も、どんどん変わって来ている。でも、なぜ変えなければならないのかという議論が大事だと思うのです。1つだけ僕が提起したいのは、消費税の使い道である幼保の無償化について。幼保の無償化は、社会保障の話のように聞こえますが、僕は文科省が予算を持ってもいいと思います。つまり、幼保の教育として教育問題、人づくりとして考える。親の負担を減らす社会保障、子どもを育てる社会保障ではなくて、あれは教育問題なのではないか。教育とは何かという議論が、僕は弱いと思います。
飯田)現在、幼稚園は文科省ですけれども、保育園の方は厚労省。労働政策の一環というようになっていますね。
鈴木)しかし、これは教育立国の教育の問題ではないのか。そのように、教育とは何かという議論のきっかけにすべきです。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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