マクロン大統領が欧州参加の新しい核軍縮条約を提案する理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月29日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。マクロン大統領が新たな核軍縮条約を提案する理由について解説した。
マクロン大統領がヨーロッパ参加の新しい核軍縮条約を提案
フランスのマクロン大統領は28日、8月に失効したアメリカとロシアの中距離核戦力(INF)全廃条約をめぐり、ヨーロッパも加わる新核軍縮条約の締結を望む考えを表明し、欧米の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)のなかで協議を始めたいと述べた。
飯田)しかし、そのNATOについては脳死状態という発言もしています。
宮家)マクロンさんは内政的に追い詰められていて、苦しいのではないですか。だからメディアのヘッドラインを取るような大きなことを言いたい、大風呂敷を広げたいということなのかもしれない。しかし、フランスの立場から言わせてもらえば、フランスは腐っても核保有国なのです。米露が交渉してINF条約をつくり、それが切れてしまったわけですから、今度は自分の出番だと、自分も核兵器を持っているのだと言いたいのです。でもフランスの核については、最低限の抑止力にはなるかもしれないけれど、米露を動かすような大きな話ではありません。
日本にとっては中国を入れることが重要
宮家)むしろ日本にとって重要なのは、フランスが入ることよりも、中国を入れることです。中国の中距離弾道ミサイルを考えたら、核が付いているわけですから、ロシアとアメリカと中国の間できちんと削減交渉をやって貰って、そのなかで我々もある程度言わせてもらうということをしなくてはならない。そのときにフランスも一緒に入るのなら、「どうぞ」という話です。戦略的に考えたら、ヨーロッパだけではありません。グローバルに、東アジアのことも含めて考えると、東アジアで中距離弾道ミサイルの核軍縮を、もしくは軍備管理をやるべき時期に来ているのだと思います。
飯田)やはり、その舞台回しができるのはアメリカ。
宮家)そうですね。しかし、いまロシアは乗り気ではないですよね。ロシアはトランプ大統領であれば、アメリカとの関係をもう少し改善できるかと思ったのだけれど、そんなに簡単ではなく、ロシアの思惑は外れた。今のロシアはクリミア問題で生じた経済制裁を、何とか解除したいだけです。マクロンさんがどんなに騒ごうと、この状況では米露核問題が動く可能性は少ないと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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