寝る時間を削って大量の文書を読む外務官僚~外交文書の一般公開の裏側

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月27日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。外務省による外交文書の一般公開について解説した。

寝る時間を削って大量の文書を読む外務官僚~外交文書の一般公開の裏側

公開された外交文書 =2017年01月05日午後、東京・霞が関の外務省 写真提供:産経新聞社

国際答弁の作成の後など深夜2時から読む

外務省は今月12月25日作成から30年以上経過した外交文書の一部を公開した。そのなかには1988年の中曽根康弘元総理と当時のソビエト連邦のゴルバチョフ書記長との会談や1955年8月にアメリカを訪れた重光葵外務大臣とダレス国務長官の会話の内容が記されているということだ。

飯田)26日の新聞には特集記事などもありましたが、この文書の公開。

宮家)みなさんご存じないと思いますが、文書公開は私も(外務省時代に)やったことがあります。30年はあっという間に過ぎますよ。当時から外交にはいろいろな秘密があり外に出せないこともあります。だけど30年経ったら原則公開するというルールができてからは大変でした。何でも出すというわけにはいかないので、結局文書を全部読んで大丈夫なものを出します。読むといっても文書は1枚2枚ではなく、何十巻もあります。それを国際答弁作成作業のあととか、夜中の2時くらいから読んだりします。私はなんだかんだ日米安保を4年やりました。2回、日米安全保障条約課で仕事しましたから。とにかく、文書を公開するにはまず読まなければなりません。もちろん外交文書を公表するための特別なグループはあって、その人たちが別途読んではいますが、最後は担当課が結局全部自分たちでやらなければなりません。そうすると作業が大変で、実は毎年憂鬱でした。

飯田)そうすると宮家さんがその安保課で現役となると。

宮家)80年代の終わりと90年代の終わりと2回勤務しました。

飯田)30年ルールが適用される文書は、50年代から60年代、アジアの周り、それこそベトナム戦争が絡んで。

宮家)今回も1988年のものが出たり、1955年のものが出ていますね。

飯田)1955年のものは、集団的自衛権の行使、グアムを守るときにどうするかなどの話ですよね。

宮家)これはきっと30年後、すなわち1985年の段階で、そのときは「ちょっと早いかな」ということだったのかもしれません。

飯田)それこそ集団的自衛権、安全保障法制に絡む問題だからあれが成立してようやく出せるということですか。

宮家)かもしれませんね。恐らくそういう判断があったのでしょう、とにかくできるだけ多く公開しようとしていることだけは間違いありません。

宮家)しかし公開するためにすべての文章に目を通さなければなりません。それも普通の仕事に加えて、です。毎年30年ルールがあるわけですから、意外と大変です。本当に寝る時間を削って読んでましたね。

飯田)防衛相、自衛隊の人に聞くと担当部署にまで出していいかというのがくるから1個1個「文書としてはいいけど名前は消してください」とかは、担当判断ですよね。

宮家)そうするとやっぱり読まなければなりません。適当に線を引けばいいってものではありませんからね。

飯田)全部黒塗りして出したら納得してもらえなくてもう少し出すと返されたりするそうですね。

宮家)もちろんそうです。その攻防で時間がかかります。

飯田)「飯田さんオフレコですよ」と言いながら「官僚を殺すには情報公開請求をどんどんやればいい」と泣きながら言っていました。

宮家)過労で死ぬのだけはどうしようもないですが。

飯田)人の手当てが必要になりますね。

宮家)仕事はどんどん増えていきますが、人は増えません。どうします? どこかで線を引かないと体が持ちませんよ。

飯田)27日の日経新聞の経済欄にありました。働き方改革。

宮家)働き方改革ではいつも言いますが、一番の問題は国会答弁作成作業ですよ。

飯田)「月100時間残業、活力奪う」これは官僚の方々の話ですが。「長い国会待機 溜まる疲労」。

宮家)100時間なんて全然平気ですよ。私は若い頃、月に300時間やったことがあります。しかも入省当時、土曜日がまだ半ドンだったころにね。

飯田)半ドンで帰れたためしはないと。

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