企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

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ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」(12月8日放送)では、「再開発真っ只中の東京・渋谷! そんな渋谷の街に息づいている伝説とは!?」というトピックスを紹介した。

企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」

東京渋谷駅周辺は、「100年に1度」とも言われる大規模な再開発の最中。先日も「渋谷パルコ」が、3年あまりのリニューアル期間を経てオープンした。

渋谷エリアの新ランドマークとなる地上47階建て、駅直結となる複合施設「渋谷スクランブルスクエア」もオープン。まだ完全な完成ではなく、中央棟と西棟が建つ予定で、全ての完成予定は2027年だという。

また、展望施設「渋谷スカイ」からは東京の景色が一望。スクランブル交差点を見下ろすこともできると話題になっている。

企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

渋谷区郷土博物館・文学館正面

「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館」では、企画展「渋谷に残された伝説」を開催している。今回は「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館」学芸員の田原光泰さんに、立川晴の輔が話を伺った。

 

晴の輔:田原さんのご出身はどちらですか?

田原:渋谷です。

晴の輔:最近、昭和の空気が急激に解体されてしまいましたね。

田原:そうですね。少し前までの渋谷は、昭和30年代後半・東京オリンピックが開催されたころにできたものですが、まさに2020東京オリンピックの前に大きく変わろうとしていて、それに立ち会っている感じかなと思っています。

晴の輔:企画展「渋谷に残された伝説」。個人的に僕の知る伝説は、20年ぐらい前の渋谷で、「ヤマンバ」や厚底ブーツの人たちが出没していました。

企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

金王八幡宮

田原:それは少し新しいかもしれません。こちらは主に中世の時代でして、当時の『鎌倉街道』という古い道ですとか、『渋谷城』と呼ばれる城館があったと言われています。

晴の輔:渋谷に城があったのですか?

田原:天守閣があるような、江戸時代のお城とは違うのですけれど、『館』と呼ばれるようなものが駅近くにありました。

晴の輔:どの辺りなのでしょう?

田原:駅から見て東の『金王八幡宮』がある辺りで、『館』があったと思わせるような地形になっています。城があったという江戸時代の文献もありまして、実在したと思われます。

企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」

田原:他にも、中世の武将に関わるような伝説なども紹介しています。例えば区内の『幡ヶ谷』では、いまでも『旗洗池跡』という石碑が建っています。かつては池があり、『源義家』がそこで旗を洗ったと言われています。

晴の輔:それが幡ヶ谷なのですね!

田原:あとは、みなさまご存知の『道玄坂』。実は『大和田道玄』という、山賊の名前から取ったと言われています。展示では明治時代の山道のような、『道玄坂』の様子を紹介しています。

晴の輔:渋谷ご出身の田原さんが、逆にいまオススメの渋谷はありますか?

田原:渋谷駅前に『渋谷川』が流れていますが、再開発に伴って『渋谷リバーストリート』という遊歩道で散策することができます。先程の『渋谷城』で、お堀の役目をしていたとも言われていますね。

晴の輔:言われてみれば、渋谷城があったであろう『金王八幡宮』から渋谷川を見ると、お堀っぽいです。

田原:また、『渋谷城』を再現した模型も展示しています。渋谷川に囲まれるように城ができている様子がわかります。

企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

渋谷城の再現模型

田原:武将に関わるものとしては、『勢揃坂』ですね。源義家が馬を揃えたところだと言われています。代官山の『猿楽町』には、『猿楽塚』という古墳があります。そこで源頼朝が猿楽を催して、終わった後に道具を埋めた跡であると、江戸時代の文献にあります。

晴の輔:中世のころの出来事で、文献は「江戸時代」。

田原:そうですね。江戸時代の人も『伝説』として書かれています。

晴の輔:僕は渋谷の神泉でバイトをしていたのですが、神泉にも何かありますか?

田原:神泉には『神泉ヶ谷』という谷があり、昔は豊富に水が沸いていたそうです。その泉を使って『法道仙人』あるいは『空鉢仙人』と呼ばれる、インドの伝説のお坊さんが不老不死の薬を練っていたことから、『神泉』となったそうです。

晴の輔:なるほど。

企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」

田原:昭和に入っても、伝説は新しく生まれています。そのなかの1つに『道玄坂の人食い松』という話があります。現在のスクランブル交差点に、かつて松の大木がありました。『その枝を折ったり傷つけたりすると、怪我や病気になる』という伝説があります。その伝説は昭和に入り、道玄坂で区画整理・道路拡張をする際に急に広まったものです。

晴の輔:立派な松だったのでしょうね。

田原:どうしても移転しなければならないということで、作業したところ怪我人が続出したため、一計を案じて『道玄坂出世大黒松』という名前を与え、盛大な行列で移転させました。

晴の輔:その松に神が宿っていたというか、そのぐらいの存在だったのでしょうね。

企画展「渋谷に残された伝説」~かつて渋谷には城があった?

ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」

晴の輔:あの辺りにそんな大きな松があったとは…。昔は野原の時代もあったのでしょうけれど、いまでは想像できないですね。企画展「渋谷に残された伝説」は、2020年1月13日まで。場所は「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館」です。ぜひいらしてくださいね。

週刊なるほど!ニッポン
FM93AM1242ニッポン放送 日曜24:50-25:00

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