今国会での2つの大きな議題~「説明責任」と「社会保障」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月23日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。22日に行われた国会での各党の代表質問のニュースについて解説した。
国会で代表質問~立憲・枝野代表が総理に辞任を要求
22日、国会では安倍総理大臣の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。立憲民主党の枝野代表は「桜を見る会」の私物化疑惑について冒頭で取り上げ、疑惑を隠蔽しているとして総理に辞任を要求している。
飯田)22日の国会での、やり取りの一部をお聴きいただきます。まずは立憲民主党の枝野代表の代表質問です。
枝野代表)「桜を見る会」の前夜祭は会費が5000円。提供された飲食等の出席者1人当たりの額は、都心の一流ホテルであることから、これを大幅に上回ると見るのが常識です。この差額を後援会などで補填をしていれば、その分が買収となり公職選挙法違反であります。
飯田)これに対しての、安倍総理の答弁です。
安倍総理)会場費も含め800人規模、1人あたり5000円とするのはホテル側が設定したものであり、ホテル側において当該会費設定通りのサービスが提供されたものと承知しております。私の事務所の職員が1人5000円を集金し、集金したすべての現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされたものと承知しております。
飯田)答弁の様子もお聞きいただきましたが、これについてメールやツイッターも来ています。“朝からハイボール”さん、「国会延長もできず、時間が限られているので、今国会の後ろにオリンピックが控えているということもあるのでしょう。早く委員会で議論した方がよいと思います。代表質問に限らず、国会は儀式が多すぎるのではないでしょうか。国会改革についてもどうお考えでしょうか?」。また、野次について言及されている方もいらっしゃいます。座間市の“たかし”さんから、「こんなものかと。セレモニーみたいなものだと思いましたが、国民民主党の玉木代表の夫婦別姓の質問に対して、自民党の女性議員から『だったら結婚しなくていい』と2回野次が飛んだのはいただけない。がっかりです」というご意見もいただきました。
鈴木)言い方は変なのですが、レベルの高い野次を行ってほしいものですよね。
飯田)話している人が立ち往生してしまうような。
鈴木)「核心をつかれた」という野次が昔はありましたよね。「だったら結婚しなくていい」という野次は違うかなと思います。国会はいよいよ始まりました。先ほど音声で聴いた部分は、「桜を見る会」の前夜祭についての話でした。この話も総理が説明しきれていない部分がたくさんあります。
今国会の2つのポイント~「説明責任」「社会保障の議論」
鈴木)今度の国会は、私は大きく2つあると思います。1つは、説明責任国会。桜や事件になっているIR、閣僚の辞任問題を含め、その辺の説明が十分に臨時国会ではなされていない。ここはきちんと政府、安倍総理が説明をするという説明責任国会です。2番目に大事なのは、社会保障を議論する国会。私は以前から社会保障と言って来ています。やっと安倍さんが全世代型社会保障を…中身についてはいろいろと言いたいことがありますが、取り組み始めました。これほどの長期政権ならば、予想をしてじっくりと行えたにもかかわらず、いまになって出て来た。この2つが議論だと思っていました。
危機管理の問題
鈴木)さらにそこに加わっているのが、危機管理でしょう。例えば、自衛隊の中東への派遣の問題。派遣の意味やその中身も含めての問題。また、新型コロナウイルスの問題。これも国民の生命、財産を守る安全保障です。敵がウイルスだということです。こういう緊急の問題を合わせた3つだと思います。説明責任については、来週からの予算委員会が舞台になると思いますが、安倍さんの所信表明のなかでこれは果たせていません。社会保障に関しては、野党が対案を持って臨めるのか。現在は政府が全世代型社会保障と言って、民間のメンバーで議論をしたりしながら、高齢者に対しての年金の支給時期の問題など、厳しい内容が出て来ています。働き方などもセットです。
飯田)結局、そこも絡んで来るのですよね。70歳まで働く。そうすると保険料を払う側になるという。
全世代型の社会保障に対して野党は対案を持てるのか
鈴木)そうです。厚生年金を納めなさいということですから。そうやって高齢者に偏っていた社会保障のバランスを、少し削って現役世代へと。現役世代はお金が回って、いまはいいかもしれませんが、現役世代もいずれ年を取る。そのときに70歳まで働き、年金もいつもらえるのかがわからない。全世代型と言うと聞こえはいいのですが、将来を見据えると少子高齢化のなかで、どのような仕組みがいいのか。私がいつも言っていることですが、財源の問題は若い人が負担をしているので、若い世代が少なくなると社会保障の予算自体が減って行く。そう考えると財源として、消費税の議論も出て来ると思います。消費税というのは議論したくはありませんが、逃げずに行わなければいけない。そういう大変な時期に到達しているのに、その議論が十分ではない。それに対して安倍政権は、やっと全世代型といった策を練り始めている。ならば、そうではない社会保障とは何なのだろうか。社会保障問題は、これからの国の根幹なのです。これに野党は対案を持ってぶつけられるのか。その対案が、いまのところは見られませんよね。
飯田)そうですね。
鈴木)そういった意味では、私が設定している根幹の2大テーマに対して、安倍総理、野党側も共に準備ができていないなかで開幕した。そんな印象を私は持ちます。
飯田)社会保障の話というのは、うまく議論をしなければいろいろな分断が起こってしまいます。所得の格差や世代間。しかし、ご指摘のように必ず人は老いるので、全体としてどうするのかをみんなで議論しなければならないはずです。
鈴木)そこに行くには、やはり先ほど述べた説明責任国会です。総理がもう少し桜の問題について説明する。私は「桜を見る会」に誰を呼んだかという点ではなくて、公文書の問題だと思います。
飯田)公文書の管理について。
鈴木)そうです。ここの問題です。そういうことをきちんと話して、社会保障の問題に入って行く。補正は災害に関することですので、与野党が一緒になって素早く通せばいい話です。
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