ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月17日放送)にジャーナリストの有本香が出演。東京オリンピックの開催時期について解説した。
G7首脳会議~東京オリンピックの完全な形での実施を支持
16日に行われたG7首脳テレビ会議後の記者会見で、安倍総理大臣は東京オリンピック・パラリンピックについて「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として、完全な形で実施することで一致した」と述べた。
飯田)「完全な形」がどういうものか、いつやるのかといったことには、まったく明言されなかったようです。
有本)完全な形というのは規模を縮小しない、中止などもってのほかということでしょう。10日ごろ、日本の組織委員会理事が延期ということに言及しました。この高橋理事は持論として強く主張されているようですが、高橋さんの発言がメディアに載る2~3日前に、「延期も視野に入れて検討しているのではないか」という情報が入って来たのです。私は組織委員会の筋に確認しましたが、その時点では「正式にそういう話はない」とのことでした。ただ、この選択肢は十分にあり得るなという感触でした。その数日後に高橋さんの発言が出たので、ひょっとしたら観測気球をあげているのかと思ったのです。今回の総理の言い方にも含みがあって、「完全な形」ということでしょう。時期はそれに適した時期になる可能性があるとは思います。
飯田)よく言われるのが、放送権料などのビジネス上の話です。ところが、アメリカはプロスポーツ開幕がコロナの影響で後ろに倒れていますよね。
有本)やろうと思えばできる、ということですよね。
飯田)空白の期間も後ろにずれるから、オリンピックができると。
世界に拡大する新型コロナウイルス~時期を検討する段階に
有本)あとは各国の収束状況です。だんだんと状況がわかって来て、完全な収束がなかったとしても、ある程度収まればできるのではないか。東京だけの環境とは言えませんから、世界各国がどうなるのか。気になるのは、南半球がこれから冬だということです。北半球はこれから暖かくなるので、ウイルス対応としてはいい環境になるのですが、そうではない地域があるということです。そういう意味で、もし足並みが揃いにくいのであれば、時期を検討するということはあるのではないでしょうか。
飯田)いまの段階だと、ヨーロッパも不要不急の域外からの流入をかなり制限しています。そうすると、選手たちも移動がなかなか難しいですね。
有本)ヨーロッパもプレミアリーグの選手に感染者が出て、試合ができなくなっていますよね。アスリート側からも延期した方がいいのではないかという声が上がっています。そういう意味では、時期を検討する段階に入ったのでしょう。少し前までは、ロンドンで市長選をやっているときに候補者が「うちでやってもいいんだよ」と余裕を見せていましたが、もうそんなことを言える状況ではないでしょう。
飯田)その辺りを考えると、段々と相場が決まって来るような。開催国や開催地としては、それをこちら側から言い出すのは難しいわけですか?
有本)難しいです。そうは言っても、G7の電話会談ではそこそこ話したのではないでしょうか。
飯田)具体的なことに関しては出席者の説明でも一切触れずに、「総理がこういうことを言って、それに対して各国が賛同した」という説明だけだったようですね。
日本の抑え込みは順調~公衆衛生のレベル高さの勝利
有本)記者から当然こういう質問が出ることは想定していたと思うので、回答も最初から想定があったのでしょう。ある種、日本側としては根回しも必要だっただろうし、この段階に至ると開催国が日本でよかった、という感じではないでしょうか。現状において、日本がいちばん上手くコントロールしているでしょう。
飯田)現在の死者数や感染者比で考えると、かなり抑え込んでいます。医療がしっかりしているのもあるでしょう。
有本)医療崩壊を起こさないばかりか、日本の公衆衛生のレベルの高さの勝利だと思います。
飯田)有本さんはツイッターでも指摘されていましたが、子どものころから手洗いうがいについて、口を酸っぱくして言われましたものね。
有本)ものすごく指導されて来ましたからね。私が小学生のときは50年前ですよ。50年前に、学校の廊下の水道に並んでいる蛇口全部に石けんが括り付けられていたのですから。いまでは、みんなで共有するのはよくないと言われているけれど、こういうことが日本のいまの状況を支えているのだと思います。
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