ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月13日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。東京オリンピックを延期すべきだとしたトランプ大統領の発言について解説した。
トランプ大統領が東京オリンピックは1年延期すべきと発言
アメリカのトランプ大統領は12日、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、「東京オリンピックは1年延期すべきかもしれない」と述べた。また、無観客での開催も望ましくないと発言。
宮家)何を考えているのですかね、この人は。
飯田)トランプさんですか?
宮家)東京オリンピックを主催するのは日本なのだから、アメリカ大統領は関係ないでしょう。この人は質問されたら、何も考えずに思いつきで言ってしまうのです。最近のトランプさんの言動を見ていると、どう考えても危機管理ができる大統領とは思えない。英語のコラムを毎週書いているのですが、先週書いたのは「いま、アメリカには2人の共同大統領がいる」というものです。どういう意味かと言うと、1人は選挙キャンペーンしかやらない、再選のことしか考えない大統領。もう1人は統治をやる大統領。統治をやる大統領は、マイク・ペンス氏です。彼がホワイトハウスのタスクフォースを率いて説明するときには、少なくとも何がどうなっているかはわかっている。ところがトランプさんが話していると、何を言っているのかわからない。「コロナにかかって職場に行っても治る」などと言ってしまう。CDCが仕事には行くなと言っているのに、そういうことを平気で言います。オリンピックについても同じです。トランプさんが「延期するべきだ」と言っても、誰が決めるのかという話です。
飯田)新型コロナウイルスについては各国が対策を取っていて、現地では11日になりますが、トランプ大統領がテレビ演説でヨーロッパからの渡航について制限しました。
宮家)トランプさんは他にもいくつか経済パッケージを発表したのですが、これが空振りでした。
飯田)ニューヨークダウは2352ドル下がった。
宮家)暴落です。残念だけれど、トランプさんは「何か大きいことをやりたい」ということしか考えない。結果的にヨーロッパからの渡航制限も、アメリカ人やイギリスを除くなどと正確に言わなかったから総スカンになっているわけです。それでも彼はアドリブではなく、書かれた文章を読んだ。つまり、周りの側近も十分詰めていなかったということです。トランプ政権がいかにパニックになっているかがよくわかります。
トランプ大統領の演説よりも効いた“NBA全試合中止”
飯田)日本でもプロ野球などがいろいろと影響を受けていますけれども、アメリカのプロスポーツもメジャーリーグが開幕を延期するようです。
宮家)バスケットボールが中止になって、みんな驚いています。すごいことが起きているのだと、ショック療法としては効果的ですね。トランプさんが何かを言うよりも、バスケットボールのシーズン中断の方がはるかにインパクトがあったとCNNが言っていました。その通りだと思います。
飯田)それだけアメリカ人の心には、プロスポーツが根付いている。
宮家)日本の場合は一斉休校でしたが、この種のショック療法が必要なときはあるのかも知れないです。
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