ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。トランプ大統領が検討している新型コロナウイルス感染拡大に対する景気対策について解説した。
トランプ大統領が給与税の減税など景気対策を検討
アメリカのトランプ大統領は9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気対策として給与税の減税などを検討していると明らかにした。議会と調整し、近く大規模な経済対策を発表する考えを示している。
飯田)新型コロナウイルスの影響が、さまざまなところに及んでいます。ニューヨークダウ平均株価は終値2万5018ドル16セント、プラス1167ドル14セントです。昨日(10日)下げた分、きょう(11日)上げたというところですが。ジェットコースターのようになっていますね。
高橋)乱高下ですね。市場のボラティリティーと言って、価格が上下に振れるという話です。恐怖指数で現れるのですが、いまはリーマンショックに匹敵するような恐怖がありますね。
恐怖指数が60ポイントを超えるタイミングも~リーマンショックでは90ポイント
飯田)恐怖指数が20ポイントを超えると不安心理が高まると言われていますが、昨日(10日)は60を超えたタイミングがありました。
高橋)リーマンショックでは90くらい行ったので、その次くらいです。通常、50はめったに超えません。ですから動揺しているのはわかりますね。
飯田)これを受けて金融当局、財政当局は手を打たなければとなり、トランプさんも「大きなものをやる」という姿勢は示しましたけれども。まだ発表には至っていません。
高橋)とりあえず何か言うことが大切で、その期待によって、きょうは上がったのでしょう。逆に、言わないと疑心暗鬼になって大変なことになります。先ほど私が言いましたが、「先進国でテレワークサミットをやる」などということを、安倍総理が言えばいいのだと思います。そのように強調して言わないと対応できません。各国がまとまってやればいいし、そういうことをいま言っておいて、議会は後で調整すればいいのです。
今回のようなときこそ大きく方向を示すのが政治家の仕事
飯田)リーダーとして、まず大方針を示すことが大事なのですね。
高橋)政治家が活躍する場面は、このようなときです。
飯田)ある意味で有事のとき。
高橋)普段は官僚に任せておけばいいので、こういうときこそ「ドン」と方向を示すのが政治家の役割です。
飯田)そこへ行くと日本の財政当局の方々、金融の方もそうですが、注視すると言いながらじっと見ているだけのような気がしますが、どうですか?
高橋)見透かされてしまうのですよ。中央銀行が注視する、一方では利下げして金融緩和しているわけですよね。そうすると必ずドルの方が大きくなるので、円に希少性が出て円高になってしまうというパターンで、リーマンショックの後でもあったことです。
飯田)あのときは日銀が大幅に出遅れましたよね。
高橋)80円くらいの円高になってしまいました。そういう経験があるのに、日本銀行はETFの買い入れの話しかしない。数字の桁が違います。
日本銀行がやるべきこと
飯田)数字を見ると、日銀の金融緩和にしても年間80兆を目処と言いながら、20兆もやっていない。逆に余力があるのかなと、素人は思ってしまいますが。
高橋)それはありますよ。80兆を目処と言って、20~30兆では話になりません。イールドカーブコントロール(YCC)のあとは、コンスタントに20~30兆です。YCCを元に戻すということをやればいいだけです。
飯田)そうすると国債が足りないなどと言いますが、そこは財政の出番ですか?
高橋)足りなくはないですよね。1000兆円以上が出ていて、日本銀行が買っているのは500兆くらいなので、まだ600兆は市中に残っています。
飯田)足りなければ、新しく出せばいい話だと。
高橋)それで足りないというのは理解不能です。政府が新しく出してもいいのですが、日本銀行としてやることはあると思いますよ。
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