ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月11日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。緊急事態宣言が発令される状況について解説した。
新型コロナウイルスに向けた特措法が衆議院で可決
新型コロナウイルスの感染拡大に備えるため、政府による「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が、衆議院の内閣委員会で自民・公明の与党の他、共産党を除く野党の賛成多数で可決した。13日に成立する見通し。
春の選抜高校野球が中止に~イベント、スポーツも自粛続く
森田耕次解説委員)新型コロナウイルスの感染拡大を受け、選抜高校野球大会の中止が決定しました。日本高野連が11日、大阪市で開いた臨時運営委員会で決定したもので、予定されていた大会が中止となるのは選抜大会では初めてです。日本高野連は選抜大会について、4日の運営委員会と臨時理事会で、19日から無観客での開催を前提として準備を進める方針を示していました。しかし、開催するかどうかについては、今回の臨時理事会で最終判断するとしていました。スポーツ界ではプロ野球の開幕や、サッカーJリーグの公式戦の再開がいずれも延期ということで、自粛の動きが広がっています。
河合)残念なニュースですね。高校野球は外でやるスポーツなので、できればと思っていたのですが。
森田)当初は無観客でということも考えていたようですが、プロ野球も20日からの開幕を延期しているため、その影響もあったのかもしれません。また、オリエンタルランドは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーの休園期間を延長すると発表しています。こちらの再開は4月上旬を予定しており、イベントや施設も休園です。
河合)政府の方針がなかなか定められないのもやむを得ないのですが、事業者たちも迷っていますよね。今度はいつ、どういうタイミングで再開できるのか、誰にも決められなくなって来ています。
森田)4月上旬とはいっても、いつからという判断が難しくなっています。
河合)売り上げにも影響しますので、経営が心配です。
緊急事態宣言が出される状況とは~東京オリンピックでの再流行が懸念対象か
森田)衆議院の内閣委員会は11日、感染の更なる拡大に備えて「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案を、与党や国民民主党、立憲民主党などの賛成多数で可決しました。12日の衆議院本会議で可決して参議院に送り、13日の参議院本会議でただちに成立させる見通しです。与野党は、緊急事態宣言が発令されると私権制限につながりかねないということから、「やむを得ない場合を除いて国会へ事前に報告する」ということを盛り込んだ付帯決議も可決され、粛々と進んでいます。
河合)現行法と何も変わらないような法律なので、揉めることなく進むと思います。できれば「伝家の宝刀」のままでいて、宣言が出ない状況がいちばん望ましいと思います。ここから先、緊急事態を宣言せざるを得ない状況がどのようなタイミングなのか、いろいろと考えてしまいますね。
森田)どういうタイミングで出せるのでしょうか。
河合)現在、新型コロナウイルスの封じ込めはできないわけですが、医療機関の崩壊にならないようにいろいろなことを自粛してほしいということで、国民は協力しています。これが失敗して、患者が激増したときが1つ目として考えられます。また可能性として大きいのは、オリンピックを開催したときなのだろうと思います。このままそれなりに日本の感染がおさまって、世界的にも落ち着いて東京オリンピック・パラリンピックが開催できたとします。そのときには相当な人数が来日して、感染が再拡大することは十二分に考えられます。穿った見方かもしれませんが、それを睨んでの動きなのかなと見ています。
森田)緊急事態宣言を出すのであれば、そういったことしか考えられないわけですね。
河合)10日辺りに専門家が、感染は年を越すぐらいまでおさまらないのではないか、という見解を示していました。
森田)いまは抑えているけれど、再流行の可能性も捨てきれないと言っていましたね。
河合)現在は東京オリンピック・パラリンピックのために我慢する雰囲気になっていますが、東京オリンピック・パラリンピックをやったら再流行して、また1から日常生活を自粛せざるを得ないという話になりかねません。オリンピックこそうまく行くかもしれませんが、いろいろな国からたくさんの人がいらっしゃることを考えると、秋ごろにまた日本国内で患者が増え、自粛要請の話が出て来て、緊急事態を宣言せざるを得なくなるかもしれません。
森田)そうなったら大変ですね。
河合)ワクチンができていないということは、そういう状況も考えなければならないということです。夏になっておさまるとは限らないという話を、WHOがしていますしね。
森田)暖かい気候の国でも感染が拡がっています。
河合)秋以降の再流行まで考えて、オリンピック・パラリンピックをやる、やらないという判断をしなければいけません。そういう事態とワンセットで、この法案を考えなければならないのだと思います。
森田)まず日本では、クラスターを抑え込もうという話になっています。ただ、北海道は11日にも感染者が新たに3人確認され、これで北海道内の感染者は118人となります。
河合)新型コロナウイルスはクラスターを見つけて、集中的に封じ込めて行くということを繰り返すしかないと思います。
森田)そこをうまく抑えて、オリンピックが開けるかどうか。また、オリンピックを開いたとして感染者が拡がったらどうなるのか、そこまで考えなければいけないのかもしれませんね。長期戦を覚悟する必要があります。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。