他国に構っていられない~新型コロナ爆発的拡大で「鎖国状態」のEU

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月18日放送)に産経新聞客員論説委員・国際医療福祉大学の山本秀也が出演。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各国の措置について解説した。

欧州首脳「握手やめよう」  EU本部を訪問したトルコのエルドアン大統領(左)とミシェルEU大統領。両首脳は握手せず、エルドアン氏は胸に右手を当てた=2020年3月9日、ブリュッセル(共同) 写真提供:共同通信社

EUへの渡航を30日間制限

EU(ヨーロッパ連合)は、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、世界各国からEUなどへの渡航を30日間禁止することになった。またEU内でも、ドイツやフランスで国境管理が復活するなど、ヨーロッパは外にも内にも封鎖状態が拡大していく見込み。

森田耕次解説委員)新型コロナウイルス感染拡大で、アメリカやヨーロッパ各地で外出制限、外出禁止の動きが一気に拡大しています。フランス政府は17日、少なくとも15日間の外出制限を全土で開始しました。シャンゼリゼ通りもガラガラという状況です。それから、アメリカ最大の都市ニューヨーク市のデブラシオ市長は外出禁止令の施行を検討しており、「48時間以内に決断する見通しだ」と述べており、市民に準備を勧めています。EUは非EU市民の不要不急の入域を30日間原則禁止とするという欧州委員会の提案を承認しています。オーストラリアもモリソン首相が18日、感染拡大を受けて非常事態を宣言し、全国民の出国を禁じています。イタリアでは感染者が3万1500人以上ということで、中国全土での感染者数3万人を超えてしまったということですね。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

EU発足の柱の1つ“移動の自由”が制限~もはや他国の心配をしている場合ではない

山本)イタリアの広がり方には驚きです。それにしても、ヨーロッパですね。EU域内、域外ともに制限ということで、事実上の鎖国状態ですよね。こうなると、そもそもEU発足の2本柱は共通の通貨と域内の移動の自由ですが、これが半分止まってしまうということですよね。

森田)国境で検査しないで自由に往来できるというのがEUの原則ですからね。

山本)それを止めてまで対策をしなければいけないというのは、由々しき事態です。

森田)特にイタリアでは北部に感染者が多いのですが、医師や看護師らが不足して、医療崩壊の状態のようです。

山本)本当は個室で、他の方との接触がないように対応しなければいけない患者さんが、病院以外のホールのようなところでベッドに寝かされていますよね。これは本当に非常事態です。

森田)本来、ヨーロッパは協力し合ってイタリアを助けなければいけないのでしょうけれども。ただ、医薬品や食料の輸送車に関しては、優先順位をつくろうという提案がEU内であるようですね。

山本)これはあるようですが、もうよそに構っていられない状態ですね。軒伝いに火が延焼しているような状態でしょう。

森田)ベルギーも18日から4月5日まで、全土で外出を制限すると発表しました。食品の買い出しや通勤は認めるということなのですが、在宅勤務を基本とするということで、職員同士の距離が保てない企業には罰金を科す方向になっています。スーパーなどは客の数を制限する、散歩やジョギングはいいようですが、3人以上での散歩は禁止など、かなり厳しい規則のようです。

山本)欧米の注意がとにかく人と接触するな、手を洗えとの2点の繰り返しですからね。

新型肺炎/テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言=2020年3月11日 写真提供:時事通信

アメリカ全土で感染者が確認~集会などを自粛要請へ

森田)アメリカも感染者が5000人を超えたということです。デブラシオニューヨーク市長によると、ニューヨーク市では814人の感染者を確認していますが、ニューヨーク・タイムズの独自集計だと死者が100人を超えているとのことです。アメリカは50州すべてと首都のワシントンで患者が確認されています。

山本)ニューヨークはもう人通りが絶えている状況です。タイムズスクエアを見ても、ほとんど人は歩いていない状態です。ミュージカルは当然やっていませんし。やむを得ないですが、ニューヨークほどの大都市で人が止まるという光景、SF映画ではよく見たような気がしますが、実際にこうなると驚きですね。

森田)トランプ大統領は国民に対して、10人を超える集会や外食などの自粛要請を決断したようですね。

山本)これはやむを得ないでしょう。進行している大統領選の予備選、党員集会も延期になりました。こういった動きが出てくるのだろうと思います。

森田)アメリカのトランプ大統領の決断の背景にあるのは、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンのチームがこの新型コロナウイルスの対策を取らないと、アメリカ国内で220万人が死亡するという推計があったとのことなのですね。

山本)アメリカは特に医者にかかれない、無保険の方が多いですからね。

森田)3ヵ月間感染者や接触者を隔離して、高齢者などのもっとも弱い人たちが他人と接するのをなくせば、死者の数は半減するという推計が出たので、トランプさんも外出自粛要請をしたようです。

山本)医療崩壊を起こしてはならないということが頭にあったのでしょうね。

森田)首都のワシントンも地下鉄やバスの運行を18日から大幅に削減すると。それからニューヨーク州のクオモ知事は、予想される感染のピークはおよそ45日後で、4月いっぱいは感染拡大が続く見通しをしているようです。

山本)とにかく感染のピークをなんとかしのいでいきたいというところでしょう。

2019-nCoVの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所 提供)

新型コロナウイルスは最大3時間空気中を漂う

森田)アメリカの国立衛生研究所などのチームの発表によると、この新型コロナウイルスがエアロゾルと呼ばれる微粒子の状態で、最大3時間空中に残るという研究結果を発表しています。このエアロゾルというのは粒子が小さく、咳やくしゃみの飛沫と比べて粒子が小さい分長く空気中を浮遊するようです。そこにウイルスが含まれていると、感染の恐れがあるということのようですね。

山本)これは日本でも注意喚起されている、密閉空間で飛沫などがたくさん飛ぶようなところ。ライブハウスや、換気されていないスポーツジムも注意がなされていましたが、これは我々が考えていることに沿った話ですから、注意の幅を変える必要はないと思います。

森田)なかなかワクチンの開発も進まない状況ですものね。先日、G7がこのデータなどを集めて対策を取ろうということを決めました。

山本)言っていましたが、ワクチンの開発は言うほど容易ではないと思いますよ。それよりも、効く薬と治療法を早く見つけて欲しいです。

森田)中国ではその後、ワクチンの開発は進んでいるのでしょうか。

山本)研究はやっているし、治療薬についても外国の開発した薬を含めていろいろ試しています。それが部分的には効くという判断で、インフルエンザの薬などで治験効果があったという発表もしています。とにかく決定的に効く薬はまだ出ていませんから、少しでもベターな薬を見つけて欲しいところです。

番組情報

ザ・フォーカス

火曜〜木曜 18:00-21:20

番組HP

錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。

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