ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月20日放送)に、外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。3月19 日に発表された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の状況分析について解説した。
学校の活動を一部地域で容認へ 新型コロナの政府専門家会議が新たな見解を発表
新型コロナウイルスの対策を議論する政府の専門家会議が、3月19日夜行われた。イベントの開催に慎重な対応を求める一方で感染が確認されていない地域では学校での活動を行ってよいとする新たな見解をまとめている。また、国内の現状に関しては一定程度抑えられていると分析しつつも一部地域で感染拡大が継続しており大規模流行につながりかねないとの見解を公表した。
飯田)19日の会議ではかなり遅くまで議論していましたね。まずは専門家会議の尾身茂副座長の会見の模様をお聞きいただきましょう。
尾身茂副座長)クラスターが断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じオーバーシュート。爆発的な患者急増が始まっていたとしても事前にその兆候を察知できず、気が付いたときには制御できなくなってしまうというのがこの感染症対策の難しさであります。もしこのオーバーシュートが起きるとすでにヨーロッパでみられるように数週間の間、都市を封鎖したりするいわゆるロックダウンと呼ばれる強硬な措置を取らざる得なくなる事態となっています。
飯田)ということでオーバーシュート、爆発的な感染拡大の恐れというものはまだありますね。
宮家)この新たな見解というのは少し意地悪な言い方をすると玉虫色といいますか、どういうことなのかなと思います。どちらにも読めますよね。つまり規制を弱めるのか、それとも厳しくいくのか。でも、世界では「これは戦争だ」といっていますよね。
飯田)そうですね、ドイツなどではそう言っています。
宮家)そうなると日本は戦争を放棄していますので戦争をしてはいけません。ですので、戦争という言葉は使えませんし、厳しいこともできません。しかし、この問題を本気で取り組もうと思ったならば、相当なことを日本ができないというわけでもありません。ですが、やはり非常に慎重にバランスを取ろうとしているのはわかります。わかるのですが、本当にこの程度でうまくいくのか。欧米の個人主義とは異なるということなのかもしれませんが、うまくいっている国というのはきちんと事前に準備をして国民が一致団結しているケースが多いです。シンガポールや台湾などがそうですね。しかし、それはただ単に民度だけの問題ではなくて、SARSの経験もあって辛い教訓を学んだうえで厳しい措置をしっかり行っています。ですので今回の日本の専門家会議の提言は、「一体どちらなのだ」と私も思います。やはり感染のない地域では学校の再開を許してもよいということなのでしょうが、感染がないということは、これからあるかもしれないということですよね。
飯田)そういうことになりますね。
今は持ちこたえているが、甘く見てはいけない
宮家)中国でも新規患者が0と言っていますが、あんなに大きな国でゼロなんて、そんなわけはないと思います。こういったことを考えるとやはり気を緩めるとまた元に戻る、力で抑えているものは緩めると元に戻るということです。たしかに現在は持ちこたえているということなのかもしれませんが、甘く見てはいけないのではないかと思います。私は、玉虫色ですが、どちらかというと厳しめに読んで、まだまだ安心してはいけない、辛くて不便ですが、もう少し我慢しなければいけないのではないか、というように読みました。
飯田)各国の対応を見ているとやはり経済などの面を犠牲にしてもこれは抑えこまなければいけないという感じですよね。
宮家)これは戦争ですからね。戦争のときは経済効率のことなど言っていられません。ですが、日本にとっては「戦争」ではないので、そういう状態にはなりません。自衛隊も使わない、アメリカは州兵を使いますけどね。
飯田)そうですね。さきほど速報で入ってきましたが州兵2000人が27の州でということでした。
宮家)アメリカの国防総省がこの問題について記者会見を行っています。という面で日米では意識の違いが見られますが、私はそれが悪いとは言っていません。それだけ日本はうまくいっている幸せな証拠なのですが、日本にだって言うことを聞かない人はいますので、「ウイルスばらまく」という人もいましたし、気を許してはいけないのだろうと思います。おそらく大多数の人は大丈夫だと思いますが。
飯田)アメリカの場合はCDC、疾病予防管理センターというものもあり、それとは別に軍隊という話で行きますと陸軍の感染症医学研究所という施設があるそうですね。
宮家)日本の自衛隊にだって生物兵器専門の特殊部隊はもちろんあるはずです。ただ世界の状況を見ていてすごいなと思うのは、イタリアなど、今はどこでも医療崩壊が起きています。日本だって一つ間違えたらそうなるということは覚悟しなければならないと思います。ですので、私たちも緊張感はまだ持続した方がよいと思っています。
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