佐藤正久議員に訊く~緊急事態宣言の詳細と“与党がするべきこと”
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。電話ゲストに参議院議員の佐藤正久を招き、緊急事態宣言の可能性と内容について解説した。
状況緊迫~安倍総理、緊急事態宣言を近く判断か
安倍総理大臣は5日、加藤勝信厚生労働大臣、西村康稔経済再生担当大臣らと会談し、新型コロナウイルスへの対応を協議した。5日に東京都で新たに143人の感染が確認されるなど状況が厳しさを増すなか、政府内では改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令は避けられないとの声が上がっており、近く総理が判断するとの見方が出ている。
飯田)緊急事態宣言について、NHKの『日曜討論』で加藤厚労大臣は「経済や社会への影響を最小限に抑えることも考慮すべきだ」と指摘しています。一方で東京都の小池知事は、より踏み込んだ対策が必要ということで、国の早急な決断を求めています。
小池知事)政府によります緊急事態宣言によって、法的な裏付けをもって感染症拡大防止の政策が実施できるようになります。政府には迅速で適切な判断を下されることと確信しています。
飯田)都としては、都だけで動くことはできないということで、早急な判断を求めているということでしょうね。
須田)東京都からこれだけ強い要請があったのですから、いよいよ国も動くことになるでしょう。
緊急事態宣言の内容について佐藤正久議員が解説
飯田)緊急事態宣言を発令する中身について伺います。参議院議員で「ヒゲの隊長」としてもお馴染みの、自民党の佐藤正久さんです。よろしくお願いします。
佐藤)よろしくお願いします。
飯田)佐藤さんはツイッターでも再三訴えられていましたが、緊急事態宣言がいよいよ出るという段階まで来ましたか?
佐藤)流れは先ほど言われていた通りだと思いますが、個人的には遅いと思います。やっとここまで来たかという感じです。緊急事態宣言を出しても、実際に動くのは地方自治体の部分が多いのです。地方自治体は重いですから、政府が宣言を出したらすぐに現場が動くかというと、東京都であれば都の下には区や市町村があります。いろいろな系列の病院もあります。簡単に地域ごとの現場が動いたり、物資を集中させることはできませんので、早め早めの対応が原則だと思います。
緊急事態宣言が出されることによって発生するメリット
飯田)緊急事態宣言が出されると、それぞれにどのようなメリットがありますか?
佐藤)いちばんは医療現場です。自衛隊でもそうですが、いちばん大事なのは第一線です。第一線である地域医療の現場では、医療関係者が疲弊して、人や物資が少ない状況です。でも、第一線の医療現場に「撤退」という言葉はありませんから、そこに人と物を集中させなければいけません。この宣言が出せれば、病院関係や土地の収用を含めてかなりのことができますから、まずは法的な裏付けと国の予算付けをして、医療現場に資源を集中させる。これができると思います。
飯田)都道府県知事の判断で、物資も収用できたりするのですよね。
佐藤)はい。例えば病院施設が足りないならば、どこかのイベント会場や公園などでも野外病院をつくることができます。いま足りないと言われているマスクや防護服、あるいは食品等についても、ある程度の統制ができるようになりますから、医療現場としてはかなり違うと思います。それと、もう1つは人の移動です。このウイルスは人を介して感染が拡大するものですから、原則として人の移動を2週間止めれば、収束するに決まっているのです。でも、実際にはヨーロッパのように外出禁止の強制力はありませんし、罰則はありません。飲食店の休業にも強制力はありません。あくまでも要請をして、従えない場合にはもう1度指示できるということです。指示ができると言っても罰則規定はないので、強制力はありません。しかし総理や知事が外出自粛を強く要請すれば、かなり危機意識は違いますし、お店を休んでもらえば人の移動は止まります。その代わり、休んでもらうためには休業補償を合わせてやらないと、なかなかお店も休むことができません。ヨーロッパのように休業補償とセットで、お店に休んでもらう必要があると思います。
特措法の範囲外は別建てでつくる政治判断が必要
須田)7日に閣議で決定される緊急経済対策のなかには、休業補償の部分も盛り込まれると聞いているのですが、いま国会で議論されている中身によると、接待を伴う飲食業などは対象外だというものが出ています。その線引きは行われるのでしょうか?
佐藤)いま言われた接待業というのは、雇用調整助成金だと思います。いわゆる小口の融資や、1世帯30万円というものとは別の話だと思いますが、今回の経済対策については、これから自民党でも政府の説明を受けて議論します。ポイントは休業補償と、今回の緊急事態宣言で休んでくださいという、施設の使用制限とのマッチングだと思うのです。100%のマッチングはしていませんから、そうなると法律に基づかない予算措置でやらなければいけません。まさにこれは政治判断です。
飯田)線引きによっては、困っているけれども対象にならないお店や人が出ることが考えられますが、一律に配るということは政治判断としてできないのでしょうか?
佐藤)そうすると、かなりの予算措置が必要になります。いまの特措法では、休業補償については言及していません。施設の使用制限について要請指示があっても、その補償の部分がないのです。例えば病院をつくるために、土地の収用や施設を借り上げることについての補償は書いてあります。つまり、非常に中途半端な法律なのです。その部分は政治判断の予算措置で、休業補償を別建てでつくらなければいけませんし、法律が古いために政令も古いのですよ。例えばパチンコ店や風俗、カラオケボックスは政令上、制限の対象になっていません。でも、質屋さんはなっています。キャバレーも書いてありますが、いまはキャバレーなんてありませんからね。政令と条例も合わせて見直さなければいけないと思っています。
須田)でも、そこを見直していると間に合わなくなるので、やはり政治判断で措置を取ることが必要だと思うのですが、どうも政府が消極的なように思えます。
果たすべき与党の責任
佐藤)それは我々与党にも責任があって、我々は国民の意見を政府にぶつけなければいけません。我々は官邸の下請けではありませんから、国民の方を向いて国民の声を政府にぶつける。それが役目です。
須田)政府はそれに答えてくれるでしょうか?
佐藤)やらないと、与党の意味がないのです。今回の30万円についても、線引きをするのであれば第2弾については一律で制限なく、みんなに配ってもらうという担保を取るのも、我々与党の仕事だと思います。
飯田)「予算も逼迫している」と言って、お金を出したくないのかな、と私たちは思ってしまいますが。
宣言が出せないのは休業補償への躊躇から
佐藤)休業補償の部分が、宣言を出すときにいちばん躊躇する点だと思います。一部には宣言を出すと、東京から多くの人が地方へ行ってしまい、感染が拡大してしまうから躊躇しているという意見もあります。しかし、それ以上に休業補償の部分が大きいと思います。このままずるずると出さずに過ぎれば、フランスなどの方が早めに収束して、経済の回復が進む可能性があります。どちらがいいのか、メリットとデメリットがありますが、感染拡大防止や収束が最大の景気対策だと思うことが大事だと思います。
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