新型コロナ~“影響を受けない人はいない”初めて経験する災禍
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月3日放送)に慶応義塾大学教授の松井孝治が出演。新型コロナウイルスの現状について解説した。
新型コロナの感染者、世界で100万人を突破 都内では新たに97人が感染
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、新型コロナウイルス感染者が2日、世界全体で100万人を突破したことがわかった。国内に目を移すと、東京都は2日、都内で97人の新型コロナウイルス感染者を確認したと発表している。1日あたりの感染者数最多を更新し、都内の感染者は合わせて684人となった。また、2日に国内で新たに確認された感染者数も270人を超え、1日あたりの最多人数を更新した。
飯田)このところ言われていますが、若い人の感染が増えて来ているということです。ここまで世界中で蔓延すると、生活そのものが変わってしまいますよね。
松井)本当にそうですね。若い人たちは元気で、それなりに免疫力もあるのかもしれませんが、それだけにウイルスをキャリーしてしまいます。これは疾病の特徴なのでしょう。大学も新学期が始まるところですが、各大学もどうするか試行錯誤しています。私どもの大学も当面、ネット授業で対応することを決めました。
大学はネットを使っての授業で対応
飯田)特に松井さんがいらっしゃる総合政策学部は、ディスカッションなどが中心ですよね。
松井)グループワークやディスカッションが中心なので、いまはいろいろなツールがありますが、本当に代替できるかということについては、教員もチャレンジですね。
飯田)カリキュラムや教材も考えなければいけないということですか?
松井)そうですね。だから、どうしても試行錯誤にならざるを得ないのですよ。
飯田)ネットを使って専門的にやっている、例えばN高等学校などがありますが、ITリテラシーが人によっても違うし、学生さんによっても違うので、なかなか揃えるのは難しいですよね。
松井)対面してみんなで議論してもらって、我々がコメントしながら議論をつなぐというのが、僕らの教育の1つの特徴なものですから、ネットを使ってどのようなことができるのか。これは教育に限りません。お医者さんの診療も、患者さんの顔色を見ながら微妙な判断をします。そういう部分を、これからどう対処するか。感染症対策もあるし、実際問題、病院の待合室で二次感染が起こることもあります。試行錯誤を含めていろいろな問題があると思うのですが、やって行かざるを得ないですよね。
“影響を受けない人はいない”という災禍は初めての経験
飯田)東日本大震災から間もなく10年ですが、あのときのような社会の大きなインパクトとか、考え方そのものが変わるパラダイムシフトが起こるのではないかと思います。
松井)本当にそうですね。全国的に影響があるような豪雨災害などもありますが、災害の場合は局所的なものを、被害を受けなかった他の人たちがどう支えるかという発想が、従来の災害対策でした。しかし、これほどまでに国民生活、産業活動、あるいは芸術、すべてにわたって影響を受けない人がいないという災禍は、初めてなのかも知れません。過去の歴史的な疫病の流行を、人類はいろいろな形で乗り越えたのかも知れませんが、これだけ複雑な現代社会がそれに直面するのは、初めてのことではないでしょうか。
最後のよりどころとなる宅配便や公共交通機関をどう維持するか
飯田)番組をやっていると、ツイッターやメールでいろいろなご意見をいただきます。そのなかにあったのが、日本人は上から言われて動くことに慣れているから、みんなが直面して、みんなで知恵を出さなければならないという局面が苦手なのかも知れない、という指摘がありました。
松井)まさに、お上の指令を受けてみんなが動くということ自体も、考え直さなければいけないのではないかと思います。公共的なものを担う人たちが、いま大変なことになっているという報道もありましたが、公共とは役人だけではありません。人々が出歩かなくなると、宅配便の配達員の方などが最後のよりどころになるわけです。そうすると、配達員の健康はどのように維持するのだということです。同じように、公共交通機関などをどう維持するのかということは、民間の鉄道会社なども含めて、いろいろな局面で出て来ると思います。
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