松雪泰子、変幻自在の魅力に迫る
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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第812回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
男性からも女性からも高い支持を誇る女優、松雪泰子。「第1回メンズノンノ・ガールフレンド」に選出されたのをきっかけに、芸能活動をスタートし、1991年に女優デビュー。
CM、ドラマ、映画などでめきめき頭角を現し、90年代には人気女優としての地位を確立。40歳を過ぎたいまも、その透明感あふれる美貌は健在です。
そこで今回は、松雪泰子の出演作オススメ4作品をご紹介します。
カッコいい! 可愛い! 色っぽい!! 作品ごとに変化する多彩な魅力
川端康成の不朽の名作小説を現代版として映画化した『古都』。原作では描かれなかった主人公の双子姉妹にスポットを当て、成長した姉妹とそれぞれの娘たちの人生を描いた人間ドラマです。
京都とパリ。2つの古都を舞台に松雪泰子が扮するのは、京都室町で先祖代々続く呉服店の女主人・千重子と、京都のはずれで林業を営んでいる千重子の生き別れの双子の妹・苗子。
繊細で思慮深い千重子と、おおらかでチャーミングな苗子を完璧に演じ分けています。松雪泰子の洗練された美しさが堪能できる1作です。
自らをジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐と名乗って次から次へと女性を騙す、実在の日本人結婚詐欺師の顛末を描いたコメディ映画『クヒオ大佐』。
3人の女性とクヒオ大佐とのやり取りが中心となる本作で、お弁当屋さんを営む永野しのぶ役を演じたのが松雪泰子。
すっかりクヒオ大佐に夢中で、「入籍すれば、米軍から5000万円」「ダイアナ妃のドレスを手がけたデザイナーに、ウェディングドレスを発注する」といったクヒオの言葉をすっかり鵜呑みにしてしまい、社交界へのデビューに備えて英会話のレッスンに励む日々。クヒオ大佐に貢ぐために、会社のお金にも手をつけてしまうという健気で可憐な女性です。
人を愛することで生まれる強さ、そして惚れてしまったがための弱み。繊細な“女心”を巧みに演じる姿は必見ですよ。
カルト的人気を誇る若杉公徳の漫画原作を実写映画化した『デトロイト・メタル・シティ』。
ポップミュージシャンを目指していたのに、なぜかデスメタルバンドのメンバーとなり、カリスマミュージシャンへと昇り詰めてしまう青年の苦悩を、笑いと爆音で描き出したデスメタル・コメディ映画です。
主演の松山ケンイチをはじめ、秋山竜次、細田よしひこなど、豪華な俳優陣のヒートアップした演技合戦が見どころとなる本作。もちろん、レコード会社社長役の松雪泰子も、他の作品では観られないようなハジけっぷりを披露。
原作のキャラクターを忠実に再現したパンクな彼女を是非、チェックして。
そして、松雪泰子の最新主演映画となるのが『甘いお酒でうがい』。
お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうが長年コントで演じてきたキャラクターである、中年OLの川嶋佳子を主人公に、平凡な40代女性の日常や悲哀を日記風に綴った小説を映画化しました。
じろう特有の視点と、メガホンを取った大九明子監督の持つテンポ感が絶妙に合わさった“佳子ワールド”で、あなたの隣にもいそうな“佳子さん”を松雪泰子が生き生きと演じています。
佳子のちょっとした呟きに共感できる女性もきっと多いはず。彼女の“日常”をちょっぴり覗き見してみてはいかが。
<作品情報>
■古都(2016年)
Blu-ray&DVD発売中 デジタル配信中
監督:Yuki Saito
原作:川端康成「古都」(新潮文庫 刊)
エンディング曲:「糸」新山詩織(作詞・作曲:中島みゆき 編曲:笹路正徳)
出演:松雪泰子(一人二役)、橋本愛、成海璃子、蒼れいな、蒼あんな、葉山奨之、栗塚旭、迫田孝也、伊原剛志、奥田瑛二
公式サイト http://koto-movie.jp/
■クヒオ大佐(2009年公開)
DVD発売中 デジタル配信中
監督: 吉田大八
脚本:吉田大八、香川まさひと
原作:吉田和正『結婚詐欺師 クヒオ大佐』
出演:堺雅人、松雪泰子、満島ひかり、中村優子、内野聖陽、新井浩文、児嶋一哉、安藤サクラ
■デトロイト・メタル・シティ(2008年)
DVD発売中 デジタル配信中
監督:李闘士男
脚本:大森美香
原作:若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」(白泉社 刊)
出演:松山ケンイチ、加藤ローサ、秋山竜次、細田よしひこ、松雪泰子
■甘いお酒でうがい
近日公開
監督:大九明子
脚本:じろう(シソンヌ)
原作:川嶋佳子(シソンヌじろう)「甘いお酒でうがい」【KADOKAWA 刊】
音楽:髙野正樹
出演:松雪泰子、黒木華、清水尋也、古舘寛治、前野朋哉、渡辺大知、RG(レイザーラモン)、佐藤貢三、中原和宏、小磯勝弥、坂本慶介、鈴木もぐら(空気階段)
(C)2019吉本興業
公式サイト https://amasake-ugai.official-movie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/