海外からの帰国者~帰国からその後の対応の難しさ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月17日放送)に慶応義塾大学教授の神保謙が出演。新型コロナウイルスによる海外帰国者の自己隔離について解説した。
自己隔離
3月末にタイから帰国後、2週間の自己隔離をしていたコメンテーターの神保謙。海外帰国者が自己隔離することについて訊いた。
飯田)研究でずっとタイにいらしたということです。
神保)1年間の在外研究という形で、タイのバンコクのタマサート大学で客員研究員をしていました。
飯田)1年間の任期が終わり、3月に帰国というところでコロナがあった。帰国も大変でしたか?
神保)タイの情勢は、1月~3月上旬くらいまでは店も通常営業していて、社会的危機感もありませんでした。しかし上旬に感染者が増えた後、急にお店の営業停止や外出自粛命令、外国人の入国禁止、それに伴う飛行機の減便がわずか1週間~10日の間に起きて、どうやって帰国すればいいのかという脱出プランのようなものを考えなければいけない状況になりました。帰国時期をできるだけ早めて飛行機を探し、何とかたどり着きました。
日本帰国時の様子~どのような水際対策の強化がされているのか
飯田)タイからもメールをいただくのですが、バンコクの“バンコク番長”さん。「4月3日からは夜間の外出禁止命令が出ました。3月の半ばに商業施設の閉鎖を命じられて、オフィスは在宅勤務。ソンクラーンという水かけ祭りが3月13日~15日にあるのですが、これも中止になりました」と。日本に帰って来てからも自己隔離をされていたということですが、何か行政的な手続きはあったのですか?
神保)日本政府が水際措置の強化と言っていますが、海外から帰国する方の感染者が目立っていることからも、しっかりと2週間の自宅待機をしてくださいという書類を機内で渡されます。それに署名して、私の時期はまだPCR検査がなかったのですが、公共交通機関を使ってはいけないので電車、タクシー、その他を空港からは使えませんと言われます。私の場合は同僚がワンボックスカーを持っていたので、電話して引っ越しの荷物も全部載せてもらって、自宅まで帰りました。その後は自宅に巣籠りする生活をして、ようやく今週の初めにそれがあけたところです。
飯田)自己隔離で2週間。ご飯や買い物はどうしていたのですか?
神保)できるところまでネットで買って、あとはデリバリーを利用してカロリーの高い生活をしていました。健康的にはまったくよくないです。
飯田)生鮮品や野菜はスーパーへ行かないと売っていませんからね。
神保)どうしてもごみ出しでごみ収集所へ行かなければいけないのですが、それでもマンションに住んでいると「隔離している人が外へ出ているのか」と言われる可能性もありますから、必要最低限以上は出ないということにならざるを得ませんよね。
飯田)家のなかでも、触ったものは消毒しなければいけないとか。隔離する人と普通の生活をしている人がいると、動線を分けなければなりませんね。
神保)特に単身赴任で海外から帰って来て、お子さんもいらっしゃる家庭は相当に気を遣い、食事や寝るときも距離をとるなどのことを実践されているのではないでしょうか。
飯田)天井からシーツを下げて、部屋を2つに割るだけでも違うということが新聞に掲載されていました。そんなに部屋がたくさんある家はないですものね。
神保)マンションで家族の数も多ければ、なかなか自己隔離は難しいと思います。
各国から日本への帰国が難しい~飛行機の便数が激減
飯田)川口市の“ポッポちゃん”、76歳の女性からメールをいただきました。「バンコクへ行っていた娘から、先ほど『羽田に到着した』と電話があり、主人が車で迎えに行きました。いまはコロナの影響で、検疫対象国からの帰国者は公共の乗り物には乗れないため、検疫の時間が終わるのを見計らって出かけました。本当は先月帰国の予定だったのですが、航空会社のフライトのキャンセルが続き、やっとチケットが押さえられて帰国できました。ほっとしています」と。急にキャンセルということも起こるわけですね。
神保)東京のタイ大使館によると、バンコクは人気の場所なので、コロナ前だと日本とタイの東京や地方都市を含めた直行便は、1日23便くらいあったのです。しかし、5月の運行計画を見ると、全日空が1日1便。JALに関しては週2便です。タイ航空は全便欠航で、当然LCCも飛んでいません。出国すること自体がすごく大変です。しかもバンコクはハブ空港なので、国境が閉じている他の国、ベトナムやラオスからどうやって帰国するのかということも含めて、飛行機を探すのは非常に難しい作業になっていることは間違いありません。
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