日本政府がするべきことは習近平主席の国賓招待ではなく、厳重抗議である

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月1日放送)に元航空自衛官・評論家の潮匡人が出演。日中外務次官が電話協議を実施したニュースについて解説した。

日中首脳会談=2019年12月23日 写真提供:時事通信

日中外務次官が電話協議

日中両政府は4月30日、外務次官による電話協議を実施し、新型コロナウイルス感染症をめぐる双方の国内状況について情報共有を図った。感染拡大への対応が一段落した後の外交日程を睨み、意思疎通を図ったとみられている。

飯田)一段落した後の外交日程ということは、習近平氏の国賓来日はあるのでしょうか?

集団感染が発生したソウルのオフィスビルで新型コロナウイルスの検査(PCR検査)を行う医療従事者=2020(令和2)年3月10日、韓国・ソウル NNA/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

新型コロナによって世界中が苦しんだにもかかわらず、習近平氏の来日はいかがなものか

潮)そういうことなのでしょうね。これ以上に重要な外交日程が日中間にあるとも思えませんので、確実にその話題にはなるのでしょう。しかし、それをさらに延期するための意思疎通ならともかく、そうではないのだとすると日本政府や外務省は、今回の事態で何も学んでいないと落胆を禁じ得ないです。今回の政府の対応が、なぜ最初の段階で間違えたのかと言えば、その時点で2020年春に中国の国家主席を国賓として招待するという外交日程が決まっていたからです。私が当時主張していた、中国全土からの入国に制限をかけるというような、短期決戦で初動に全力を傾注するという措置を取れなかったことが、いちばん大きな原因であり理由だと思います。さすがに政府も、もちろん日本国民も、比較的中国に好意的な新聞も含めて、それは無理だということになりました。今回の一連の世界を揺るがす事態で、いちばん悪いのは中国に決まっているわけで、みんなわかって来たにもかかわらず、まだ諦めていない人が日本にいるのかと。しかもそれが外交当局だとすると、今回の緊急事態宣言が延期されるというニュースと絡めて、多くの日本国民を落胆させる、まさに政治不信を招くポピュリズムを呼ぶ非常に悪い政策だと思います。絶対に考え直していただきたいですね。

飯田)武漢からコロナウイルスが始まったということは、世界中の人が知っているにもかかわらず、少し前まで中国はアメリカ軍が入れたということまで言っていて、いまや我々が克服して世界を主導して行くのだ、みたいなことを平気で言いますよね。

「中国ウイルス」を正当化 2020年3月17日、米ワシントンのホワイトハウスで記者会見するトランプ大統領(中央)(UPI=共同) 写真提供:共同通信社

習近平氏来日~米はどのような態度に出るか

潮)しかし残念ながら、確かに中国の方が新型コロナの封じ込めに成功しているではないか、という見方もあります。欧米のなかでも、こういう危機的な事態では民主主義の体制よりも強権的、全体主義的な体制の方がより効果的に対処できるのだという指摘があり、一面の真理ではありますので、中国の空いばりに終わらない可能性も今後出て来るのだろうと思います。しかし日本としてはそうではない、自由、人権、法の支配、デモクラシーという普遍的な価値を尊ぶアメリカやヨーロッパの国と連携する立場を崩してはいけないのだと思います。今後、アメリカはかなり中国に対する敵視を強めて行くでしょう。そのなかで、日本はまた中国と仲よくしようとするのかと。そうなれば、2020年1月の段階で「そんなことをするのか」というアメリカから受けていた冷たい視線が、もっと冷たいものになりますので、国際的な立ち位置からしても間違っていると思います。

飯田)在韓米軍の予算の積み増しについて、韓国が合意したとトランプ大統領が明らかにしたニュースが出ています。「日本、わかっているのか?」と言われてもおかしくないわけですよね。

中国、全国で新型コロナの哀悼活動 北京駅で黙祷をささげる人たち=2020年4月4日午前10時 写真提供:産経新聞社

コロナ感染で米軍空母を欠く日本の安全保障の現実~中国にとって攻め込むチャンス

潮)もちろんお金のこともさることながら、その根本にある「日米安保は不公平だ、アンフェアだ」と言うトランプ大統領の一貫した主張が、より強硬に日本に来るでしょう。そういう圧力に屈して、日本がフルスペックの集団的自衛権を行使するなら、私にとっては望ましい外圧だとも思います。しかし、軍事安全保障の現実にいま起きていることを見ると、新型コロナの感染拡大でアメリカの空母をこの地域に展開できない状態になって、力の空白が生まれている。この機に乗じて中国の空母を含めた艦船が、沖縄と宮古の間を出たり入ったりしています。このような状況のなかで、中国の国家主席を再び日本の国賓として招こうという政策を、本当に政府内で検討しているのであれば、私は常識を疑うと感じざるを得ませんね。

飯田)「遼寧」をはじめとする6隻で来ていて、空母打撃群のようなものですよね。しかも通るだけでなく台湾の南、南東の海洋で演習しています。あのインパクトは相当大きいですか?

潮)もちろん、ある意味で中国が台湾を攻略する、あるいは日本の尖閣諸島に上陸するのならば、まさに米軍の力の空白が生まれているいまが絶好のチャンスであり、「我々はその能力を持っている」と彼らが誇示しているわけです。本当であれば、この動きはもっと大きく報道されて、中国に対する警戒を我々が抱くべきなのですが、マスコミも新型コロナウイルス報道に追われています。しかし、その裏で起きていることの1つ1つが、まさに大事だと思いますね。

20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に出席するため来日した、中国の習近平国家主席(中央)=2019年6月27日午後、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

中国の南シナ海をはじめとする現状変更の動きに国賓招待ではなく、強く抗議をするべき

飯田)中国は南シナ海でも、スプラトリーやパラセルなどの行政区、彼らが言うところの南沙区や西沙区のようなものですが、そもそも岩であったものを島だと言い、いまや行政をやっているとまで言っています。これは国際秩序の現状変更ですよね。

潮)そういうことです。本来、日本政府は力強く抗議をしなくてはいけないのです。中国がそういうことを言い始めたとき、口先だけの抗議や懸念に終わったがために、実効支配を強めている。そしてアメリカ軍の力の空白に乗じて、中国はいまこういうことを仕掛けているのですから、国賓招待ではなく、強く抗議をすることが日本政府の中国へ取るべき姿勢だと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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