黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」（ニッポン放送）にNPO法人J-Win理事長の内永ゆか子が出演。女性の活躍を阻む「オールド・ボーイズ・ネットワーク」について語った。

NPO法人J-Win理事長　内永ゆか子

黒木）今週のゲストはNPO法人J-Win理事長の内永ゆか子さんです。きょうは女性の活躍を阻む問題の1つである「オールド・ボーイズ・ネットワーク」について伺います。

内永）女性のエグゼクティブを集め、「女性のエグゼクティブを増やすにはどうしたらいいのか」という大会がニューヨークのIBMでありました。女性のエグゼクティブばかりが150人ほど集まって、「何が問題か」ということを議論しました。そこでいちばん最初に出て来たのが「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という言葉だったのです。よくわからなかったので何なのか聞いたら、要するに、成功した組織を引っ張って来た男性たちがつくり上げた、独特の約束やお仕事のやり方、会話の仕方、人との対応の仕方など、さまざまな約束ごとを「オールド・ボーイズ・ネットワーク」と言うのです。これは男の人たちは共有しているのだけれど、女性には教えてもらえない。「これをなくさないとだめなのよ」と言われたのです。

黒木）どのような活動をしていらっしゃいますか？

内永）具体的にはあまりしていません。とても難しいのです。まず「オールド・ボーイズ・ネットワーク」がどういうものなのかをわかってもらうところから始めています。私がどういう失敗をしたのか。例えば、会議があるときに、会議には女性1人しかいないから何か発言しなくてはならない、と思って手を挙げて発言する。たった1人でペーペーですから、余計なことを言ってはいけないと思い、最初に結論を言って、その理由を言います。結論として、「私はあなたの意見に反対です」と言い、「なぜならばこうで」と論理的に説明します。そうすると、100％聞いてもらえないのですね。聞いてもらえず、「次」とやられてしまう。どこで言ってもそうやられるのです。私は女性だからダメなのだと思って、ある日じっと会議を聞いていました。するとわかったことがあって、男の人には、反対意見を言うときに独特のやり方があるのです。「きょうの内容はとても素晴らしかった。大変勉強になりました。ただ、こういう点で考えると、ここが考慮すべき点ではないでしょうか」という言い方をします。みんなそうするのです。それで、私も次の会議で同じことをやりました。「きょうはすごく勉強になりました」と。そうすると、男の人が「なるほど、内永さんの言うことも一理あるよね。ちょっとそれをテイクノートしておいて」となったのです。その後も観察していると、「素晴らしい」と言われて喜んではいけないなど、いろいろなところにそれが潜んでいることがわかりました。ここの部分を解かないと、女性は上に上がって行けないのです。

黒木）何もしていないとはおっしゃっていましたが、そういうものがあるのだと知ってもらうことが大事なのですね。

内永）それで、最近はこれで諦めてはいけないと思い、男性の方々を集めて「オールド・ボーイズ・ネットワーク」をまず認識していただくということを始めました。

内永ゆか子

内永ゆか子（うちなが・ゆかこ）／NPO法人J-Win理事長

■1946年生まれ。東京大学卒業後、日本IBM入社。女性初の取締役に就任。常務取締役、専務執行役員などを経て2007年に退職。
■2008年よりベネッセホールディングス副社長、ベルリッツコーポレーション会長兼社長兼CEO、2013年にベルリッツコーポレーション名誉会長を退任。
■2007年よりNPO法人J-Win理事長として、企業におけるダイバーシティ・マネジメントの支援に尽力。
■2013年に企業に応じた個別のダイバーシティ及び企業戦略に関するコンサルティング業務を行う株式会社GRIを設立。
■社外取締役として、ソニー株式会社、イオン株式会社、HOYA株式会社、そしてDIC株式会社を務める。
■2013年には男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰受賞。

【NPO法人J－Win】
■J-Win＝ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク。
■ダイバーシティ（多様性）マネジメントを推進。社会・企業における女性の活躍推進。
■企業が女性をJ-Winに派遣。合宿や海外研修などを経て、女性リーダーになるためのスキルを身に付ける。
■設立13年。現在110社が会員企業。