第2次補正案において懸念される2つのポイント

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月15日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。今国会が延長されず、17日に会期末を迎えるというニュースついて解説した。

2020年6月12日、会見する安倍総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202006/12bura.html)

通常国会延長せず17日閉会へ

新型コロナウイルス感染拡大や、それに伴う経済危機を受けて、2つの大規模補正予算を含め予算が合計4回成立した異例の今国会は17日に会期末を迎える。野党は新たな感染拡大に不断の備えが必要だとして会期延長を求めているが、政府・与党は応じない方針。

飯田)考えてみれば、確かに4回予算が成立。12日に2次補正も成立しましたが、いよいよ会期末です。

須田)これから次の臨時国会ということを考えると、スケジュール的に9月以降ということになります。そうすると新型コロナウイルス対策をやって行く上で、新たな政策や施策を打つためには、裏付けとなる予算措置が必要ですから、法整備、予算措置を含めてやっていなくて、国会閉会中は大丈夫なのかなと心配な部分はあります。ただそれに対する備えとして、例の第2次補正で10兆円の予備費。予備費という言い方はぴんと来ないかも知れませんが、基金、ファンドという意識で考えてもらえばいいと思います。そういう形で予算を確保したのだから、国会を閉会しても十分だということなのですけれども。

衆院本会議で令和2年度第2次補正予算案が賛成多数で可決し一礼する安倍晋三首相(右)。中央は麻生太郎副総理兼財務相=2020年6月10日午後、国会 写真提供:産経新聞社

第2次補正における2つのポイント~予備費が10兆円では足りない

須田)2つポイントがあると思います。1つは金額ベースにして、予備費10兆円で本当に足りるのかということ。これから懸念しなければならない景気の大きな落ち込みですよね。企業の生産活動も回復して来ないでしょうし、なかでもGDPの6割弱を占める個人消費が、どのような形で回復するかの見通しが立たない。そんななかで期待できるのは、政府支出、公的な支出というところしかありません。そういうセンテンスで考えると、10兆円では足りないのではないでしょうか。

【新型コロナウイルス関連】「東京アラート」が発動された翌日、新橋駅周辺で営業する居酒屋=2020年6月3日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

今後どの業種、産業が厳しくなるのかの見極めができていない

須田)そして、これから厳しい状況に置かれるのはどのような人たち、どのような業種、どのような産業なのかというところの見極めができていない。それが徐々に明らかになったとき、重点的にそれを対処して行かなければならない。そうすると、法整備プラス予算措置ということが必要になって来ます。そのときに、「国会を閉会している場合ではないでしょう」というところなのだろうと思います。

令和2年度補正予算案が全会一致で可決した参院予算委員会=2020年4月30日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

疑惑追及の場になってしまい、純粋な予算審議がされていない~国会審議とは何なのか

須田)そうすると野党の言っていることが正しいように見えるかも知れませんが、この第2次補正予算の審議のなかで、予算委員会、純粋な予算審議にどの程度の時間が割かれたのか。どのくらい議論されたのかというと、ほとんどされていないのです。むしろ疑惑追及の場になってしまった。今回の場合は、確かに広い意味では予算措置の話かも知れませんが、仕組み上の、持続化給付金の問題、ここ1点に絞られてしまったような感も無きにしも非ずです。深堀して一体どういう人たちが、どういう業種や産業が困っているのか、予算措置が必要なのかというところまで議論が深まっていません。国会審議を見ていると、そのあたりがスルーされたなかで第2次補正予算が成立してしまったように思えてならないのです。だとすると本当に国会審議をやる必要性があるのかどうかというところは、疑問もあると思います。

飯田)広く言うと、何でも予算の件と言えば予算の件になってしまうのですけれども、中身の審議、経済対策については国民民主党などいろいろな党が政策を提案したのですが、それをぶつけ合うということにはならなかったですね。

須田)国会審議の未熟というか、成熟していない部分が、すべて物語っているのではないかと思います。建設的な議論がないというところが、1つ問題点として挙げられるかな。「国会審議とは何なのか」ということを、もう1度考え直すべきなのではないかと思います。

飯田)こういうことを議論すると、「野党はちゃんと対案を出して、組み替え動議を出していたではないか」と言う向きもあるかも知れないのですけれども、かつて、それこそ随分前の話ですが金融国会のときは、野党の民主党が出して来たものを与党が丸呑みしてという、中身を詰めて「これならば貰える」というものが、お互いにあった。それだけ野党側の提案する予算や政策も詰められたものが出ていたから、それができたわけですよね。これが国会のあるべき姿なのではないかと思うのですが。

須田)そうですね。その議論があるからこそ、その政策が広く認識されて深みを増して行く。つまりそれをやることによって、野党は政権担当能力があるということを国民にアピールできるのです。ともすると、いまの国会は与党、内閣の支持率を下げることだけに焦点が立ち、野党の目的となってしまっています。本来野党の果たすべき役割というものが、きちんと果たせていません。これでは野党支持率は上がって行きませんよ。

飯田)政権担当能力というのは、大きいキーワードのような気がします。かつて民主党が伸びて行ったとき、対案を出せていたときは霞ヶ関の官僚も、与党に持って行ってもしがらみで通らないものを、あえて野党に持って行って議論してもらおうとしていた時期があったようなのですけれども。いまは官僚叩きに野党も走ってしまっているから、そういうものを持って行こうなんてまったくないですよね。

須田)しかも非常に勉強不足で、野党の国会議員のなかには「時代はクラウドですよ」などと、とんちんかんな発言をする人もいます。疑惑追及に力を割くのであれば、きちんとそのあたりも理解した上で国会論戦に臨んで欲しいと思います。

飯田)見出しが取れるような単語だけ並べてもダメなのですよね。

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