『二人ノ世界』永瀬正敏も惚れ込んだ幻の作品が公開!
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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第864回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、7月10日に公開された『二人ノ世界』をご紹介します。
体の自由を失った男と盲目の女、究極のラブストーリー
「第10回日本シナリオ大賞」の佳作受賞作を映画化した『二人ノ世界』。
本作は、「私立探偵 濱マイク」シリーズなどで知られる映画監督・林海象氏がプロデュース。メガホンを取った藤本啓太監督をはじめ、京都芸術⼤学で学んでいた20代のスタッフたちと、俳優ら少数のプロフェッショナルがひとつになって製作された作品です。
撮影から6年。幻の名作が、ついに劇場公開となりました。
『二人ノ世界』のあらすじ
京都、西陣。バイク事故による頸椎損傷のため、36歳という若さで首から下の自由を失った俊作。ある日、彼の元に盲目の女性・華恵がヘルパーとしてやって来る。
心を閉ざし、暴言を吐いては悪態をつく俊作に、苛立ちを募らせる華恵。そして彼女もまた、他人には言えない大きな喪失感を抱えていた。
2人はぶつかり合いながらも、介護生活のなかで、お互いの存在を意識するようになって行く……。
『二人ノ世界』のみどころ
主演を務めたのは、脚本の素晴らしさに惚れ込んで出演を決めたという永瀬正敏。体の自由がきかない主人公の怒りや悲しみ、そして失望。繊細な心の揺れを、表情だけで見事に体現しています。
そして、盲目のヘルパーという難役を体当たりで演じているのが、『赤い玉、』での大胆な演技で注目を集めた土居志央梨。過酷な現実と対峙する、その凛とした美しさと佇まいは格別。スクリーン映えする存在感に、惹きつけられる人も多いことでしょう。
すべてを失ってしまった男と、目の見えない女。“2人だけの世界”は、周囲から見ると危なっかしくて仕方がないけれど、お互いにとっては“かけがえのない世界”。
心に闇を抱えた2人を通じて、「あたりまえとは何か」「生きることとは何か」を、観る者に真正面から問いかけて来る本作。コロナ禍をはじめ、世界中が混沌として大変ないまだからこそ観てほしい1作です。
<作品情報>
『二人ノ世界』
2020年7月10日(金)から公開
監督:藤本啓太
プロデューサー:林海象、岡野彰、片岡大樹、藤本政博
原案:第10回日本シナリオ大賞佳作受賞作「二人ノ世界」
原作・脚本:松下隆一/小説「二人ノ世界」(河出書房新社)
製作:Rocket Punch、NEWTOWN、レスパスビジョン
製作協力:北白川派、京都芸術大学映画学科
出演:永瀬正敏、土居志央梨、牧口元美、近藤和見、重森三果、宮川はるの、木村貴史、ミズモトカナコ、勝谷誠彦、水上竜士、楠見薫 ほか
(C)2020『二人ノ世界』製作プロジェクト
公式サイト https://zounoie.com/2020/06/26/post-891/
ジャンル:人間ドラマ ラブストーリー
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/