住民の高齢化により変化して来た自衛隊の支援行動~豪雨被災地
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月20日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。熊本の豪雨災害における自衛隊の支援活動の実態について、防衛問題研究家・桜林美佐を電話ゲストに迎えて解説した。
豪雨被災地~暑さのなか片付け作業本格化
熊本県南部を中心に77人が死亡、7人が行方不明となっている豪雨から2週間となった週末(18~19日)、被災地には多くのボランティアが駆け付け、晴れて厳しい暑さのなか、住宅の泥のかき出しや片付けを手伝った。
飯田)ボランティアの募集は県内在住者に限定されています。ここにも新型コロナウイルスの影響が出ているのですが、人がなかなか集まらないようですね。
須田)そうなると、自衛隊の方々に対する依存度が高まって来ますよね。
飯田)その辺りの現地での支援活動の様子について、防衛問題研究家・桜林美佐さんに伺います。よろしくお願いします。いま自衛隊のメインの支援はどのようになっていますか?
桜林)大分、道路の啓開も終わりまして、球磨川流域の徒歩で行くしかなかったようなところも、車両で入れるようになっています。ですが、まだ孤立地域にいらっしゃる方もいますので、希望する方はヘリコプターで運び出しているようです
飯田)そうすると、段々と生活を支援して行く方向に変わって来ているということですか?
自衛隊の支援~高齢者が多く、マンパワーが期待される作業も
桜林)はい。ボランティアの来援を県外から期待することができないということもありますし、住民の方も高齢者が多くいらっしゃいます。今後の生活支援や、高齢の方だと畳が濡れてしまって重くて運べないということがありますので、それを運び出すという、本来の自衛隊であれば機械を使う作業がメインになるはずですが、マンパワーを期待されるような作業をしている面があります。
飯田)予備自衛官も招集したということが報道されています。
難しい即応予備自衛官の立場
桜林)今回は即応予備自衛官という、もともと予備自衛官だった人と、そうではなく希望して予備自衛官になった人がいるのですけれども、2つのケースで数百人規模の招集をかけています。即応予備自衛官は、普段は企業やお店で働いている人なので、休みを取るという形で活躍してくれています。
飯田)そうすると、働いている企業の理解のもとでの活動になるのですね。
桜林)そうです。会社を休まなくてはならないので、なかなか成り手が少ないのです。予備自衛官になりたいという人は多いのですけれども、いちばん大変なレベルになると、年間30日以上の訓練に参加しなくてはいけないことになります。経営者側も、手当は支給されているとはいえ、それで足りるかどうかということもあります。ですので、予備自衛官になりたくて職を転々とする人もいるということも聞きます。
2万人態勢という数のあり方と自衛隊の活動範囲
須田)今回、予備自衛官の方も含めて2万人態勢という話ですけれど、このレベルの災害に2万人というのは、多いのでしょうか。もう1つは、自衛隊の方々の救助活動には、「ここまでが自衛隊の活動」という限定があるのでしょうか?
桜林)まず数ですけれども、東日本大震災のときに10万人態勢ということが言われて以降、どうしても先に数ありきのような空気ができてしまっていることは否めないと思います。2万人態勢というのは、私も若干多いかなという気はしました。もちろん2万人全員が活動しているというわけではなく、活動に関わっている人を含めての数です。それから、自衛隊は災害派遣の3要件を持っていまして、「公共性、緊急性、非代替性」と言われてはいるのですが、最近は、この3要件に見合わないような要請も若干出て来ています。そうなると、先ほど申しましたように、「本当に自衛隊でなければいけないのか」ということを、いつも検討しなければなりません。しかし、被災地の住民が高齢化していて、どうしても高齢の方にはできないということになると、その辺りの条件自体も変化する可能性があるのではないでしょうか。今回は防衛大臣が「長くだらだらやらない」ということを徹底されていて、期間を区切って撤収させるということをやっていますので、そこは以前までとは違うという感じを受けています。
日々の国防任務に速やかに戻らなくてはならない
飯田)なるほど。18日に中国との間の緊張が伝えられましたが、日々の防衛についても疎かにできないということもあるわけですよね。
桜林)そうですね。コロナ以降、中国の軍事圧力は強まっていますので、コロナを気にしながら警戒監視にあたる活動をしなければいけません。速やかに国防の任務に戻らなくてはいけない人たちもいますので、そこは配慮が必要だと思います。
飯田)なるほど、わかりました。ありがとうございました。見えるところで、被災地での活動がクローズアップされていますけれども、日々の任務はまた別で並行しているわけですものね。
須田)自衛隊の体制や人員が充足しているのかどうか、それはこの際、検証すべきではないかと思います。
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