新型インフルエンザ特措法は改正すべきである
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月27日放送)に中央大学法科大学院教授の野村修也が出演。新型インフルエンザ等対策特別措置法改正の必要性について解説した。
感染拡大の夜の街に保健所も調査
政府は7月26日、新型コロナウイルスの感染が拡大している東京都などの接待を伴う「夜の街」関連の飲食店を対象に、食品衛生法に基づく保健所職員による調査を行う方針を固めた。現行法を総動員してクラスターを潰す構えである。
飯田)25日、西村経済再生担当大臣は、建築物衛生法に基づいて立ち入り検査をするのだということを言っています。いろいろな法律が出て来ましたね。
野村)感染予防がきちんと行われているかということが、いちばん大事なポイントです。ただ、「やっている」と言っていても、本当にやっているのか確認する術がないので、こういうさまざまな法律を使ってなかに入ろうとしているのです。
つまみ食い的な立ち入り検査ではなく、きちんとした法整備が必要
飯田)法律によって、それぞれ着目点が違ったりするのでしょうか?
野村)そうなのです。それぞれの法律にはそれぞれの目的があるので、店のなかに入ることはできますが、厳格に法律を適応しようと思ったら、その法律で見ることができるところは限られているのです。建築物衛生法を使おうと思えば、本来は換気について見に行くことになるのです。それ以外は見ることができないはずなのだけれども、「アクリル板はあるか」など、そういうものが「たまたま見えてしまいました」という建て付けです。これは、行政法規のあり方としてどうなのかというところはあります。勝手に人のところに入って行くわけだから、法律に基づいているかどうかということを考えると、こうしたつまみ食い的な立ち入り検査ではなく、きちんとした法整備が必要なのだと思います。
飯田)確かに、法律の解釈を拡大して権限を拡大するということは、一歩間違うと自由が脅かされることになりかねない。警察国家になるかも知れません。
特措法の改正をしなければならない~権利は守りながらも、公衆衛生も守るということをどう実現して行くか
野村)まさにその通りです。そこは心配しなくてはならないところですが、逆にいまの新型インフルエンザ等対策特別措置法は、どちらかというと人権への配慮の方が大き過ぎて、何もできない法律になっているのです。
飯田)ほとんど罰則規定もない。本当に一部だけですよね。
野村)つくったときには想定外だったということもあると思いますが、これだけの経験を積んだ上で、「何ができるか、何が必要なのか」ということを再考するべきです。日本の議論は世界と比べると、抑制的過ぎるという面が出ています。頭でっかちで現実性がない。「何となく権利を守りましょう」という方向に傾いていますが、大事な権利は守りながらも、みんなの公衆衛生も守るということを、どうやって実現して行くのか。やはり特措法自体の改正をしなければならないということだと思います。
飯田)有事の際などは権限を強めるなり、罰則をつけるということが、ある程度は必要になる。
野村)戦争に対して安全保障というものがあるではないですか。安全保障は、戦争が起こるかも知れないということを念頭に置いて備えることが大事なのだけれども、「戦争を起こさない」ということが「戦争は起こらない」の話になってしまって、何も整えないという方向に向かってしまうのです。
飯田)また、整えようとすると、「戦争をしたいのか」となってしまう。
野村)そうです。そうなると結局、ものすごく弱い国になるのです。今回の感染症対策も同じで、「それをやれば結局は人権侵害になるだろう」という声が多かったために、何も備えをして来なかった結果が、いろいろなところに出てしまっているのです。これは日本の弱さだと思うので、議論の仕方をもう一度組み替えなければいけないと思います。
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