アメリカ大統領選~カマラ・ハリス氏が副大統領候補になり民主党に生れた結束

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月14日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。シンガポールとのビジネス関係の出入国制限を9月から緩和することに合意したニュースを受け、アジアの安全保障、さらにはアメリカ大統領選についてまで解説した。

シンガポールとのビジネス関係の出入国制限、9月から緩和で合意

茂木外務大臣は8月13日、訪問先のシンガポールでバラクリシュナン外相と会談し、新型コロナウイルスの影響で制限されているビジネス目的での往来や、長期滞在者の出入国を9月から緩和することで合意した。出入国制限の緩和はベトナム、タイ両国とすでに始めているが、ビジネス目的の往来再開は新型コロナの感染拡大後、シンガポールが初めてである。

飯田)基本的に海外から日本に来ると、14日間の自宅待機などということになるのですが、ビジネス関係者は行動範囲を限定しての活動が可能になるそうです。

宮家)シンガポールには在留邦人も多いし、アジアのビジネスの中心の一つなので、とてもいいことだと思うのですが、考えてみたら日本の外務大臣がようやく8月になって外国で仕事ができるようになりました。イギリスにも行きましたよね。

飯田)この間、イギリスに行きました。

宮家)外務大臣は外に出てなんぼですからね。

【新型コロナウイルス関連】欠航が相次ぎ、閑散とする羽田空港国際線ターミナル=2020年4月5日、東京都大田区 写真提供:産経新聞社

イギリスでは中国関係の話も

飯田)今回の会談では、中国関係の話もしたということです。

宮家)南シナ海の話もしたし、やるべきことはやっています。本来はこれが毎日続かなくてはいけないのですが、新型コロナの影響で、少しずつならし運転をしなければならないということです。しかし、この調子だと、いまのような状態が長く続くかも知れませんね。

飯田)今回、イギリスに行ったのもEU離脱を前にして、もう不要不急ではなく、「いま行かなくてはならない」という状況でした。

宮家)そうですね。重要な国から行くということでいいのだろうと思いますが、外交には相手もいますから、なかなか難しいと思います。

飯田)アメリカには行かないのかと思ったのですが。

宮家)アメリカは、いまは行けないでしょう。2週間隔離されてしまったらどうするのですか。

飯田)確かに、その後が。サミットも、8月の末だと言われていたのが延びました。

宮家)大統領選挙の後だと言っています。

飯田)そうですね。11月の大統領選の後と。

英中部マンチェスターでの与党保守党大会で演説するジョンソン首相=2019年10月2日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

トランプ大統領にとってカマラ・ハリス氏は手ごわい相手

宮家)つまり、今年はないという可能性もあるということです。

飯田)これはやはり、トランプさんが大統領選に注力したいということですか?

宮家)民主党の副大統領候補がカマラ・ハリスさんになりました。こうなると民主党は、かなり結束したと言っていいのではないでしょうか。

飯田)党内がまとまって来たと。

宮家)トランプさんにとっては、いちばん嫌な相手ではないでしょうか。まずバイデンさんが大統領候補になることを嫌がっていましたし、カマラ・ハリスさんも手強いですよ。

共和党の1950年代のアメリカか、民主党の2020年代のアメリカか

飯田)川崎市麻生区の“けんぞう”さん、54歳の方からメールをいただきました。「民主党の副大統領候補に起用されたカマラ・ハリスさん。バイデンさんとタッグを組んで始動しましたが、宮家さんはどう評価されていますか?」

宮家)彼女の一昨日のスピーチを読んで思ったのですが、11月の大統領選挙の結果についてはあれこれ言いませんけれど、今回の大統領選挙というのは、「1950年代のアメリカか、2020年代のアメリカか」の選択になりそうだということです。1950年代のアメリカ、つまり白人の男性が圧倒的に、人種差別的で、優位に立っていた豊かな時代、その時代はもう終わってしまい、白人のマジョリティもいずれはマイノリティになって行く。一方、アメリカは移民の国ですから多様性があって、今や白人中心ではなく非白人の、しかも女性もが国政の中枢に入る。いまの民主党には、2020年のアメリカをある意味で象徴するような2人の候補がいるのです。それに対して、いまの共和党というのは、よきにつけ悪きにつけ、1950年代のアメリカです。「どちらが本当のアメリカなのか」というところが問われるのではないかと思います。勝敗はわかりませんが、かなりいい勝負になるのではないでしょうか。

2月11日、米サウスカロライナ州の集会で演説するバイデン前副大統領(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

「トランプ氏を負かすことができるのだったら、仕方ない」と民主党の左派もバイデン支持になる可能性が

飯田)なるほど。先ほど「民主党はこれで団結して行くだろう」とおっしゃいました。民主党の大統領候補の指名争いを見ていると、バーニー・サンダースさんなど左派の強い人たちが目立っていて、その人たちが本当にバイデン支持に回るかどうかと言われていますが。

宮家)イデオロギー的にはバイデン支持にはならないです。しかし、「トランプ氏だけは絶対に嫌だ」というドライブがかかるので、「今回はバイデンでも仕方ない」と。「トランプ氏を負かすことができるのだったら、仕方ない」となる可能性があるのです。そのためには、大統領候補が、党内を結束させるような良い副大統領候補を選ぶ必要があった。もちろんパーフェクトな人はいないのだけれども、カマラ・ハリスさんは地域的にもカリフォルニア出身だし、女性だし、強硬リベラルでもないから全体としてのバランスはいいと思います。少なくとも「これはダメだ」という感じではありません。バイデンさんを評価していないわけではないのですが、彼はワシントンでの政治活動が長いですから、いろいろな意味で問題があります。しかし、今回の副大統領候補の選び方については間違っていないと思いますよ。

バイデン氏が勝てばスーザン・ライス氏が国務長官になることも~変化して進化することが求められる

飯田)下馬評でいろいろな名前が出ているなか、ハリスさんは筆頭と言われていました。一方で、オバマ政権時代に大統領の安全保障補佐官をやったスーザン・ライスさんが来ると、日本にとっても具合が悪いと言われていましたが。

宮家)確かにそれはありますね。しかし、仮にバイデン氏が勝てば、スーザン・ライスさんが国務長官になるということは十分あり得ます。

飯田)外交を司ると。

宮家)ええ。それがいいのかという意見はもちろんあって、私も決して両手をあげて大歓迎ではないかも知れませんが、彼女が国連大使や安全保障担当の補佐官をやった時代のアメリカと、そのときの中国観と、いまの中国がやっていることに対しアメリカの反発、懸念が高まっているという現実は大きく違います。もし彼女が国務長官になったとしても、バイデン政権での国務長官の考え方や仕事の仕方は当然変わるべきであり、進化するべきであると私は思います。そうでなくては、政治家ではありませんね。

飯田)トランプ大統領の個性で、中国とバチバチやっているというファクターもあると思いますが、それだけではないと。

宮家)それだけではないと思いますね。アメリカの7月末の世論調査を見ると、中国に対して親しみを感じないアメリカ人が73%です。数字的には日本と非常に近い。議会もビジネスも国民も、多くの人たちが中国に対する懸念を持っているときに、ライスさんがオバマ政権の1期目のようなやり方で対中外交をやれるかということです。そういう状況ではありません。そのようなやり方をすれば、今のワシントンではコテンパンにやられますよ。今回の大統領選ではトランプさんが中国をバンバン叩いて、その一方で「バイデン氏は中国に優しい」と言うわけですから、バイデンさんは200%反中の姿勢を示さなくてはならないところがあるのです。そういう状況を考えると、スーザン・ライスさんが仮に国務長官になったからと言って、昔と同じような中国に優しい姿勢を取り続けるとは思えません。

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