ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月17日放送)にジャーナリストの有本香が出演。アメリカ大統領選に向けた民主党の候補者レースについて解説した。
バイデン候補「副大統領に女性」と明言
11月のアメリカ大統領選挙に向けた野党・民主党の第11回候補者テレビ討論会が16日に行われ、民主党の候補者レースでトップのバイデン前副大統領は自分が選ばれた場合、女性を副大統領候補に起用する考えを明らかにした。
“女性”副大統領候補~カマラ・ハリス氏の可能性も
飯田)バーニー・サンダース氏と1対1で討論会が行われましたが、サンダース氏の方も女性を指名するのかどうか聞かれて、「十中八九そうするだろう」と答えたということです。特にバイデンさんの場合、誰がというところです。
有本)先だって、このレースを降りた女性が1人います。カマラ・ハリスさんというカリフォルニアの上院議員ですが、女性でありバイデンさんよりは大分若いですよね。
飯田)55歳ということです。
有本)インド系であり、ジャマイカとインドの血を引いているのでしたか。そういう意味でも、バイデンさんにないものをすべて持っているのです。カマラ・ハリスさんが撤退してからバイデンさんと会う機会があったとき、笑顔でお互いの顔を見つめ合っていて、ハリスさんも「あなたのことをいままでも応援していました」とおっしゃっていたのを見ると、副大統領候補に秋波を送っているかというくらいの雰囲気だったのです。ですから、この人はあり得ると思っています。
飯田)他にも、女性とは誰かということが言われています。憶測でいろいろと言われているなかに、オバマ氏の奥さんであるミシェル・オバマさんの名前が挙がっていますが、これはニューヨーク・ポストというゴシップ紙に近いようなところが言っています。ですが、そのくらいまだ割れているということでしょうか。
有本)願望のようなものも乱れ飛んでいるわけですが、もともと言われていたのがバイデンさんは高齢であることと、ときどき発言が気になります。ですから、副大統領は役割が大きくなるのではないかと言われているのです。
飯田)ちゃんと実務をやらなければいけないのですね。
大統領選候補者争いで見えた民主党の課題~人材の不足
有本)その意味ではシャキシャキした人を指名するということと、将来に向けてということです。その人がもしかしたら、次の大統領になるかも知れませんから。今回、民主党側はとても大きな課題を残したと思います。やはり人材がいないということです。ある程度中道的な人たちを糾合して、大統領候補になり得る人材がいなかったということです。
飯田)結局、バイデンさんは前副大統領だからキャリアの長い人だし、サンダースさんだってそうです。
サンダース氏の残したもの
有本)ただ、ウクライナの問題等々、いろいろと出て来ました。でも、結局はこの人に落ち着かざるを得ませんでした。それから、バーニー・サンダースさんが前回の大統領選挙と今回とで残したものは、非常に大きいと思うのです。それは若いリベラル層からの支持です。私も実際に向こうの大学生と話したのですが、本当にバーニー人気は高いです。中流以上の家庭の大学生でも、自分たちの気持ちをすくい上げてくれるのはバーニー・サンダースさんだと思っている学生の層が厚い。よく中道、中道と言われるのですが、ジョー・バイデンさんにしても、オバマ氏にしても、金持ちやウォール街の代理人と見られる人を極端に嫌う層がいるのです。
飯田)特にそれが若年層と一致するということですね。
有本)それと、世界的に人の行き来が増えているではないですか。SNSを使って、他国の同世代の若者と話をする。そうすると、アメリカという国はかなり特殊な国だということがわかって来るのです。国民皆保険がないことについて言うアメリカ人は増えましたよね。
飯田)いままでだったら「それが自己責任ではないか、アメリカンドリームだ」と言っていたはずが。
有本)そうではなく、「そんなものすらないのは問題だ」と言う人も増えて来て、「日本はいいよね」という意見をよく聞きます。そういう意味で、サンダースさんのような左派、どちらかというと社会主義者に近いような人が、かなりの草の根的な支持を得る。今回もお金で集めた人ではなく、自分からボランティアをしたいと言う人が、前回に引き続きサンダース陣営を支えていたのです。これは大きなことですよね。
飯田)草の根のボランティアや、寄付が集まってここまで選挙戦が続いて来ている。
有本)すごいですよ。アメリカにおける左派も割れて来て、それが便宜上、同じ民主党のなかにいるということの矛盾が出ましたよね。
インターネットの普及により、アメリカの特殊性がわかって来た若者
飯田)アメリカの人たちは、海外に出たことが1回でもある人は、せいぜい2割~3割しかいないと言われています。いままでは外の世界を見ずに過ごして来た人が、ネットの進化で横の比較をするようになったのは、ある意味で変わって来ていますね。
有本)アメリカの野球だって、自分たちの国内チャンピオン決定戦を「ワールドシリーズ」と言うくらいですからね。ミシシッピ川を渡ったか渡らないかが、彼らにとっての世界だとずいぶん言われて来ましたが、それは大袈裟だとしても、アメリカの持っていた特殊性に対して根源的な疑問を感じる人たちも増えて来ました。その意味で、バーニー・サンダースさんが残したものは大きいのだけれど、一方で支持されなかったのは中道の人たちが多いこともあるし、そうは言ってもアメリカは世界の超大国なのですよね。だから、安全保障の政策を語らない人が大統領になるのは許されない部分もあります。結局、今後アメリカのリベラルはどこに行くのかという話です。ポリコレに走り過ぎて、実際の政策という点で何がリベラルなのかわからなくなってしまって、人が出せなくなってしまっているのかと。
飯田)これを継ぐ若い人たちがいないというのは、そういうところに問題があるのですね。
有本)そして、過去アメリカには大統領はもちろん、女性の副大統領もいないのです。
飯田)候補はいましたが、本選で勝つことはできませんでした。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。