川辺川ダムがつくられなかった理由~7月豪雨が激甚災害に指定

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月26日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。7月豪雨を含む一連の大雨被害が激甚災害に指定されたニュースについて解説した。

川辺川ダムがつくられなかった理由~7月豪雨が激甚災害に指定

【熊本豪雨】家屋に甚大な被害が出た球磨川流域。左上は相良橋=2020年8月3日午前、熊本県球磨村 写真提供:産経新聞社

政府が7月豪雨を含む一連の大雨被害を激甚災害に指定

政府は8月25日に行われた閣議で、九州など広い範囲に被害をもたらした7月豪雨を含む一連の大雨被害を、激甚災害に指定することを決めた。これにより復旧にかかる費用などについて、国の補助率が引き上げられる。

飯田)指定の政令は28日にも施行されます。九州だけでなく岐阜や長野、山形なども含めてということです。

川辺川ダムがつくられなかった理由~7月豪雨が激甚災害に指定

「熊本豪雨」今日から自衛隊による災害ごみの撤去が球磨村渡で始まり、雨の中黙々とごみを運ぶ自衛隊員の姿が見られた=2020年7月16日午後3時28分、熊本県球磨村 写真提供:産経新聞社

なぜ川辺川ダムをつくらなかったのか

高橋)すごい雨でしたよね。これで思い出すのは、川辺川ダムです。私は10年以上前に、八ッ場ダムと川辺川ダムについての決定は間違いだ、という内容の本を書いています。

飯田)ダムの建設計画があったのを止めてしまった、というものですね。

高橋)止めたのが間違いだということです。2つのダムを調べたときに、7割ほどできていたので、あと2000億円くらい出せばダムが完成したのです。そのメリットを計算すると、5000~6000億円です。今回のこのような災害は、何十年かに1回起きるという前提を置いて、その被害を織り込むということです。何十年に1回ということで、今回、たまたま来てしまったわけですが、かけるコストを考えたらそれを上回るメリットがあるのに、なぜ中止したのかということを、経済学の「サンクコスト理論」の応用問題として書いたことがあります。やはり、熊本県知事がダムをつくらなかったことがいけなかった。他に何かするのであれば別ですが。

飯田)あの当時は、コンクリートから人へと言われたころですよね。ダムをつくらない代わりに、流域の護岸工事をやるというような計画はありましたが、いつまで経っても話が折り合わなかった。

川辺川ダムがつくられなかった理由~7月豪雨が激甚災害に指定

熊本豪雨。再び雨に見舞われる人吉市内の中心地にはまだ被災した家具などが山積みになっている=2020年7月6日午前8時29分、熊本県人吉市 写真提供:産経新聞社

割引率が高く、過少投資になっている日本の公共投資

高橋)他の措置は、お金も時間もかかるのです。だからダムをつくるのが普通の答えです。他の工事と比べると、お金も時間もかかりません。なぜやめたのでしょう。国交省も悪いのですが、公共投資を適正に行うために、B/C(費用便益比)という言葉があります。ベネフィットとコストの比で決めるということです。ベネフィットは将来の利益ですから、現在の価値に戻して、社会的割引率を使って計算します。しかし日本の場合、割引率4%という高い数字を使って国交省が計算しているので、ベネフィットがすごく小さく出てしまい、過小投資になっています。いま、4%などという高い金利はないでしょう。

飯田)そんな利回りはありませんね。

高橋)そこがおかしいと、ずっと国交省に言っていたら、最近ようやく「検討する」と言い出しました。この4%という数字を、15年間も使い続けています。激甚災害に指定するのは当然ですが、割引率もきちんと計算して公共事業をやることが重要です。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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