『チィファの手紙』岩井俊二監督が手がけた、もうひとつの『ラストレター』

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第900回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、9月11日に公開された『チィファの手紙』をご紹介します。

『チィファの手紙』

すれ違いの“文通”が奇跡を生み出す……

岩井俊二監督が松たか子、福山雅治、広瀬すず、森七菜らをキャストに迎えて製作した映画『ラストレター』。『ラストレター』同様、自らが著した同名小説を原作とする映画がもう1作あることをご存知でしょうか。

それが、岩井監督にとって初となる中国映画『チィファの手紙』。この秋、もうひとつの感動が日本列島を包み込みます。

『チィファの手紙』

『チィファの手紙』のあらすじ

姉のチィナンが死んだ。そのことを伝えようと、姉に届いていた案内状を手に同窓会へと出かけた妹・チィファ。しかし姉に間違えられた挙句、スピーチまでするはめになってしまう。

同窓会にはチィファが憧れていたイン・チャンも出席していた。チャンに呼び止められたチィファは、自分が姉ではないことを言い出せずに連絡先を交換してしまう。

ところが、チャンから送られて来たメッセージのスマホ通知を見たチィファの夫・ウェンタオが大激怒。チィファのスマホを破壊してしまう。仕方なくチィファは、住所を明かさないまま、一方通行の手紙をチャンに送ることに。

こうして始まった“文通”は、思いもかけない出来事を巻き起こし……。

『チィファの手紙』

『チィファの手紙』のみどころ

本作の出発点となったのは、岩井俊二監督がペ・ドゥナ主演で韓国にて撮影した『チャンオクの手紙』というショートムービー。

この作品を長編にしたらどうなるか……という想定から企画開発が始まり、日本、中国、韓国の3ヵ国でそれぞれ別の作品として製作するというアイデアへと発展して行ったとのこと。

中国版である本作には、映画監督としてのみならずプロデューサーとしても数々の成功を収めているピーター・チャンが参加。

キャストには中国4大女優に数えられるジョウ・シュン、『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』にも出演したチョウ・シュンをはじめ豪華な顔ぶれが集結し、過去と現在、2つの世代に通じたラブストーリーが紡がれて行きます。

『チィファの手紙』

小説「ラストレター」と映画『ラストレター』の持ち味が異なるように、日本版『ラストレター』とはまた違った独自の芳醇な味わいを持つ『チィファの手紙』。

作品のローカライズを徹底し、中国人にとっての“リアル”を追求して行った結果、日本版にはない過去と現在の“距離感”が得も言われぬ風情を生み出し、しみじみとした温もりが伝わって来る作品となりました。

何よりも、細かな設定や国・習慣・環境が違うだけで、同じストーリーがこれほどまでに違ったものになることに、新鮮な驚きを感じずにはいられません。

『ラストレター』と『チィファの手紙』、それぞれの作品から垣間見える岩井俊二監督の作家性に、ぜひ注目してみて。

『チィファの手紙』

<作品情報>

『チィファの手紙』

2020年9月11日(金)から新宿バルト9ほか全国ロードショー
原作・脚本・監督:岩井俊二
プロデュース:ピーター・チャン(陳可辛)、岩井俊二
音楽:岩井俊二、ikire
撮影:神戸千木
出演:ジョウ・シュン(周迅)、チン・ハオ(秦昊 )、ドゥー・ジアン(杜江)、チャン・ツィフォン(张子枫)、ダン・アンシー(邓恩熙)、ビィン・ティンヤン(边天扬)、ウー・ヤンシュ(吴彦姝)、タン・ジュオ(譚卓)、フー・ゴー(胡歌)
原題:你好、之華
英題:Last Letter
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公式サイト https://last-letter-c.com/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/


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