酒税の税率改正~トータルで見ると税収が下がるワケ
公開: 更新:
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月1日放送)に経済アナリストの森永康平が出演。10月1日からの酒税の税率改正について解説した。
10月1日にビールなどの税率が改正
10月1日から酒税の税率改正で第3のビールやワインは増税となり、価格の値上がりが見込まれ、ビールや日本酒は減税となり、値下げが期待される。
飯田)全体を見てどうですか?
森永)酒税による課税額は1994年をピークにずっと落ちて来ています。人口が減っているということもありますし、若者のアルコール離れということもあると思いますが、国民の生活が豊かにならないなか、高いビールより安い第3のビールやチューハイを買う、という行動変容が起きたのです。そこに対して、ここの税収を取るために、安い方を引き上げ、高いビールを引き下げるというのは、国民目線ではありません。
第3のビールもビールもシェアを失う~据え置かれるチューハイやカクテルに行く
森永)いまは複雑なのですが、今回を含めて3回の酒税変更をかけて、酒税が一本化されます。それは企業から見るとウェルカムだし、ビール企業からすると、「ビールでもう1度シェアを取り戻すチャンスだ」ということで意気込んでいます。ただ、いまの状況を考えると、第3のビールが値上がったから、安くなった方のビールを買うかというと、そちらには行かないのではないかと思います。結局、据え置かれるチューハイやカクテルに行ってしまい、結果的に「第3のビールもビールもシェアを失ってしまう」という可能性があります。
コロナの影響でカクテル、チューハイの売り上げが伸びている~トータルで見れば税収が下がる可能性も
森永)家計調査を見ていると、コロナの影響で外での飲酒ができなくなってしまったので、外の飲酒代は落ちていますが、反比例する形で、まさにカクテル、チューハイが伸びているのです。
飯田)「家飲みしよう」ということですよね。
森永)若い子とかはZoomをつないで。
飯田)Zoom飲みとかですね。
森永)それが行動変容として、明らかに経済指標からも見えます。そうすると、今回の税率改正がカクテル、チューハイ側にさらなる追い風になる可能性はあります。
飯田)それで他のお酒の消費が鈍って行くということが、果たして日本経済にとっていいのかどうかということですよね。
森永)トータルで見ると、「税収下がっているのではないか」という話になるので、考えて欲しいですね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。