難しく考える必要はない「教科書のデジタル化」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月7日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。教科書のデジタル化について解説した。
教科書のデジタル化は難しく考える必要はない
平井デジタル改革担当大臣は10月6日、小学校、中学校で使用する教科書を、原則としてデジタル化するよう、萩生田文部科学大臣に提案したことを明らかにした。すべての小・中学生が、1人1台のパソコンやタブレット端末を使える環境を整えることを前提に、教育分野のデジタル化を加速したい考えである。
新行市佳アナウンサー)いろいろご意見もいただいています。“マヤ”さんから、「教科書はデジタルでいいけれど、ノートは手書きで。字を覚えないし、漢字を読めなくて、書けなくなっちゃいます」。そして、“ズニヤ”さん、「デジタル教科書だと、教科書に書き込みをどうするか考えなければいけない。いまの教科書は演習問題などが教科書にあって、直接書いているからな」というご意見もいただきました。
佐々木)これは難しく考える必要はありません。デジタル教科書というと「双方向性がなければいけない」などと、ややこしいことを言う人がいます。教科書をアプリケーション化しなくてはいけないイメージなのです。そうすると、ITのスキルがない先生はどうするのかという話になります。しかし、教科書はKindleと同じようなものでもいいわけです。Kindleは双方向性もなく、傍線を引くと保存される機能があるくらいです。書き込みということですが、私の場合、出版社からの校正刷りはPDFで送られます。それをプリントアウトして赤で書き込む場合もありますが、タブレットに表示して、アップルペンシルで赤で書き込んで保存すると、向こうに赤の入ったものを送ることができます。そういう方式もあります。書くのならタブレットにアップルペンシルのようなものがあれば、それほど環境は変わらないと思います。
デジタル教科書を導入している自治体は14.7%
佐々木)デジタル教科書は相変わらず普及していません。教科書はデジタル化されたものが用意されているのですが、導入している学校が少ないのです。小学校のデジタル教科書は紙の90%以上が導入可能なのですが、実際に導入している自治体は2020年で14.7%です。これは費用助成がないからです。義務教育の場合、紙の教科書は国費で無料でもらえますが、デジタル教科書だと自分で買わなければなりません。子どもによっては買えない子もいます。そこで文部科学省が、中長期的には国が負担するという方針でやっています。
カバンの重さ~小学生高学年では6.6キロ
佐々木)一方でカバンが重いという問題があります。
新行)私のときは、学校に教科書を置いて帰ることが禁止だったので、持って帰らなければいけませんでした。
佐々木)重すぎますよ。ある記事のデータで名古屋市がアンケートで調査してみたら、小学校低学年で4.7キロです。ペットボトル1本が2キロなので、2.5本分くらいあります。中学年3~4年生で5.9キロ、高学年5~6年生で6.6キロです。さらに中学生は平均10.7キロだそうです。私は登山をするのですが、テント泊でも荷物は10キロくらいです。先日、東北の朝日連峰を2泊3日で縦走して来たのですが、行く前に水抜きで重さを量ったら10.5キロでした。中学生のカバンの重さくらいです。
新行)登山するときくらいの装備ということですよね。
佐々木)そうです。タブレットとかだと、ものにもよりますが、1キロくらいです。そのなかに何千冊の本が入るので、タブレットを配り、それだけ持って来るようにすれば1キロで済みます。
新行)メモを取りたければノートを持って行けばいいですね。
佐々木)よく「電子書籍は非人間的だ」と怒る人もいますが、老眼にも優しく、お年寄りには意外にいいという話があります。
新行)拡大できるからですか?
佐々木)そうです。眼鏡を忘れても拡大して読むことができます。子どもでも弱視の子などもいらっしゃるし、色弱でカラーの教科書が読みにくい子もいるので、そういうことにも対応できるため、ユニバーサルでいいのです。
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