ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月23日放送)にジャーナリストの末延吉正が出演。GoToキャンペーンの政府の姿勢や対応やについて解説した。
アクセルとブレーキ、性能が一緒でないといけない
菅総理が重要喚起策GoToキャンペーンの見直しを表明してから一夜明けた11月22日、西村康稔経済再生担当大臣はテレビ番組のなかで、GoToトラベルの予約済み旅行のキャンセル料について早急に取り扱いを検討する考えを示した。また、一部報道では北海道札幌をGoToトラベルから除外する方針を固めたということである。
飯田)キャンセル料についてというのが問題になっていて、23日読売が一面トップ、東京の最終版ですが、『GoTo札幌除外へ』という記事を出しております。これ、週末急に動きましたね。
末延)ただ、菅さんがポスト安倍で一気に出てくるきっかけがこれです。安倍さんの側近の今井さんたちがやっていたと言われるこのGoToキャンペーンが行き詰ったと、丸投げじゃないかと。これを各担当省庁分けて、一気にこれを使って出てきたのが当時の菅官房長官・菅さんですよ。そういう意味では菅さんの肝いりだから、全体の空気が、いくときは前のめりでしたが、ストップについては専門家会議で言われたからちょっと仕方なく、という感じが伝わってくるので。
飯田)23日毎日新聞一面トップ『GoTo重い腰』という見出しですね。
末延)重かったですよ。3連休の初日の土曜日に慌てて少しだけ対策会議をやって、という。だから中身が詰まっていない。東京大阪など感染拡大の地域に行くのは禁止ですが、そこから地方に行くのは全然触れていないですよね。いま予算と補正予算をつくっているときで、起爆剤として期限そのものを伸ばしていこうと。それはそれでわかるのですが、その思いがあってブレーキの方は考えていなかったという感じがありますね。25日の、1日しかないけれども、国会の審議、野党が自分が目立とうとするより国がガイドラインをきちんとつくる為の論戦をやらないと、例えば菅さんとあまり仲良くないと言われた都知事の小池さん、「こんなの国がやるものでしょう」とまた言っているじゃないですか。国は国で、僕は酷いと思った。西村さんが「GoToを使うかどうかは国民が考えてください」と。国は肝心なところになると逃げてしまう。
飯田)そこで自己責任はないだろうと。
末延)唐突に出てきて、これはキャンセル料の話は詰めないと、きちんと効果がないので詰めて欲しいけれど、どうもブレーキの方がゆるゆるですね。車はアクセルとブレーキが両方性能が一緒でないとよろしくないですよね。
ポピュリズムに陥らない努力が必要
飯田)旅行そのものではあまり感染は拡大しないのではないかと専門家の方々も一時は言ってはいましたよね。
末延)言っていました。それも菅さんが踏み切るときの理由だと言われていますね。ただ会見でね、会食中にマスクをとありましたが、あれはどうかと思いました。そういう問題じゃなくて、むしろもっと大きく捉えれば、このコロナはインフルエンザみたいにゼロにならないのです。ということは我々はずっと共存しながらやっていくので、どうハンドリングするかというときにガイドラインとか、誰の権限かという、この問題が緩いまま、決めないままここにきているじゃないですか。この辺をすっきりさせないとね、責任のなすりつけ合いになるし、特にね、東京・大阪・名古屋など大都市圏のトップはタレント系が多いのです。こう言ってはタレントさんに悪いですが、つまりは人気取りに走らないで欲しいのです。
飯田)ここは実直に対策をしてほしい。
末延)都知事選のときを思い出してくださいよ。すごかったじゃないですか。選挙のあとアナウンス全然なくなって。重症者数の発表、東京都は集中治療室に入っている数を外して発表するじゃないですか、記者会見。これは批判されているでしょう。その辺も含めてね、ポピュリズムに陥らない努力がトップは必要ですよ。
飯田)確かにいまは空気みたいなものでなんとなく行動が制限されていくという感じになっているけれども、ここはきちんと権限をはっきりさせないと空気が暴走していったらけっこうまずいことになる。
末延)アメリカでね、トランプ支持者の人はトランプさんがあんなものただの風邪だと言ったじゃないですか。選挙の不正と合わせて、あれただの風邪だと信じている人がいっぱいいるわけですよ。そういう風にトップに立つ人の言葉というのは、いまメディアが世論をつくるというよりはインターネットで動く時代です。だから相当注意深く人気取りをしないと。政府と各都道府県自治体、ちゃんとお互いに協力してやるという、そのくらいのこと見せてもらわないとね、ちょっと不安ですよね。
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