鳩レースの競技者・及川茂~海外では家族で楽しむ鳩レース
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に鳩レース競技者・及川茂が出演。海外と日本でのレース鳩の存在の違いについて語った。
黒木)今週のゲストは鳩レースの競技者、及川茂さんです。鳩レースは日本だけのものではないのですよね?
及川)本場はベルギーです。ヨーロッパが盛んです。
黒木)血統のいい鳩を買うには、ヨーロッパの鳩がいいのですか?
及川)向こうでは、大きいレースのチャンピオン鳩になると、1羽2000万とか3000万とかします。バルセロナからベルギーに帰して1位になった鳥は、高いと3000万くらいします。先日ネットで、1羽1億5000万というものも見かけました。
黒木)鳩レースが海外ではブームで、日本でもやっているということを知りませんでした。知らない人も多いのではないですか?
及川)知らない人が多いですね。だからこうして、なるべくマスコミには出るようにして、面白さをアピールしています。アニメで流してくれるといいのですが。将棋でもサッカーでも、アニメから入る子どもが多いですよ。協会がアニメにして夕方に放送してくれないかなと思っています。子どもを引き込まないと、廃れてしまいます。鳩レースは感動して、ドキドキワクワクして、本当に楽しいのですよ。自分で育てた鳩が優勝したら、本当に感動します。
黒木)うちの猫があるとき飛び出してしまって、3日くらいして帰って来たのですが、それだけでも嬉しかったです。レースで帰って来るなんて、もっと嬉しいですよね。
及川)自分で「こういう鳩が生まれるのではないか」と計画して、実際にレースで帰って来たら、嬉しいですよ。春に産まれた鳩が秋に初めてのレースに出るときは楽しくて、前の日はごはんもあまり食べることができず、なかなか眠れないです。本当に子どもの運動会と一緒です。
黒木)及川さんの後継者はいらっしゃるのですか?
及川)いないのですよ。海外ではお子様がみんな継ぐのですが、日本では授賞式にも家族は来ません。海外は家族で楽しんでいるのですけれどね。
黒木)鳩は誰にでも育てられるものですか?
及川)育てられるけれど、住宅環境が難しいです。自分の持ち家でないとなかなか。自分の家の屋上や屋根につくらなくてはならないから。東京では難しいですね。
黒木)場所によっては、風向きとか、海沿いだと大変だとかありますよね。そういう意味では、スカイツリーの目の前に及川さんの家はありますものね。
及川)スカイツリーができたから、もうダメだと思いました。だから木更津に台湾の有名な人が土地を持っているというので、ゴルフ場の横に一緒につくったのです。でもそれができてからも、自宅から飛ばして何度も日本一になっているので、心配していたほど場所は関係ないのかも知れません。
及川茂(おいかわ・しげる)/鳩レース競技者・及川茂鳩舎
■1949年8月4日生まれ。生まれも育ちも墨田区業平。
■10歳から鳩を飼い始め、17歳のときに若大将号で1000キロのレースで初優勝。一躍、鳩界のプリンスとして名前を知られるようになる。
■その後、愛鳩・若大将号を舎外で亡くしたことを機に、「若大将系」をつくることを決意。両親、直子等を集め、近親系統にすることで大成功を収める。
■21世紀に入ってからは、21世紀を代表する系統「及川シャンテリー系」を確立。また「コンピューター系」という系統もつくり、数々のレースを制して来た。
【鳩レースとは……】
■同じ場所からスタートし、飼い主の厩舎に戻るまでのタイムを計るレース。
※北海道からスタートしたなら、千葉の人は千葉、東京の人は東京がゴールとなる。
※そのため、距離のハンデや地理のハンデがある。北海道からスタートしたら、東北地方では北西の風を受けるため海側が有利。関東地方では千葉県に厩舎を持つ人がいちばん有利。東京の多摩の方は逆風で不利。
※鳩レースをやるために引っ越す人もいるほど。
■距離を時間で割って、1分あたりの「分速」で勝敗を決める。
■鳩の足にはICチップが付いていて、GPSで飛行距離や時間がわかるようになっている。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳