【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第944回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、11月27日に公開された『君は彼方』をご紹介します。
漫画とアニメーションの地・豊島区、池袋が全面バックアップで描く青春ファンタジー
いま、池袋がアニメ・漫画の聖地として注目されていることをご存知でしょうか。
池袋は、1950年代から1960年代初め、椎名町(現豊島区南長崎)に木造2階建てアパート「トキワ荘」があったことでも知られている街。手塚治虫をはじめ、マンガの新たな時代を切り拓いた巨匠たちが青春時代を過ごしていました。
そのトキワ荘から始まったマンガ文化の源流は、現在のアニメ文化へとつながっており、日本を代表するポップカルチャーの街として人気を集めています。
そんな池袋を舞台にした劇場版アニメーション『君は彼方』が公開となりました。
『君は彼方』のあらすじ
学校の授業は適度に手を抜き、宿題も後回し。放課後は幼馴染の新(あらた)や親友の円佳と池袋で遊んでは、それなりに楽しく生きている高校2年生の澪。
実は新のことが気になっているのだが、気持ちを伝えることができず、微妙な関係を続けていた。
ある日、友人の些細な言葉をきっかけに、澪は新とケンカをしてしまう。自分の気持ちから逃げてばかりだったことに気づいた澪は仲直りをしようと、雨のなか新の元に向かう。
しかしその途中、澪は交通事故に遭ってしまう。一命は取り留め、意識を取り戻した澪だったが、目の前には、見たこともない不思議な世界が広がっていた……。
『君は彼方』のみどころ
主人公の澪を演じたのは、アニメーション映画では本作が初主演となる松本穂香。自分の気持ちを素直に伝えることができない女の子が成長して行く様子を、感情豊かに体現しています。
そして幼馴染の新役には、話題作への出演が続く注目の若手俳優、瀬戸利樹。声優初挑戦とは思えない、存在感のある演技を披露しています。
また不思議な世界に迷い込む主人公を助ける謎の少女・菊ちゃん役は早見沙織、現実世界で澪の友人である円佳役は小倉唯が担当。さらに夏木マリ、竹中直人、土屋アンナ、仙道敦子など日本を代表する豪華な俳優陣が作品に華を添えています。
豊島区の全面協力のもと、劇中には池袋の待ち合わせスポットとして知られる「いけふくろう」など、実在の街並みが登場。その臨場感あふれる映像に、めまぐるしく変化し続ける街の活気と、どこか懐かしさを思わせるレトロ感を覚える人も多いことでしょう。
澪や新はもちろん、各々のキャラクターたちが胸に秘めている思いは、きっとどこか共感できる部分があるはず。大切な人や好きなものと向き合うなかで変化して行く主人公の姿を、是非、スクリーンで楽しんで。
<作品紹介>
『君は彼方』
2020年11月27日(金)から全国ロードショー
監督・原作・脚本:瀬名快伸(KADOKAWA ファンタジア文庫刊「君は彼方」)
キャラクター原案:はぁおん
キャラクターデザイン:阿部智之
総作画監督:阿部智之
アニメーション演出:浅見隆司
美術監督:片平真司
色彩設計:山田瑞穂
撮影監督:長牛豊
編集:後藤正浩
音響監督:瀬名快伸
音楽:斎木達彦
音楽プロデューサー:桑波田景信
効果:今野康之
主題歌:saji「瞬間ドラマチック」
声の出演:松本穂香、瀬戸利樹、土屋アンナ、早見沙織、山寺宏一、大谷育江、木本武宏(TKO)、瀬名快伸、小倉唯、仙道敦子、竹中直人、夏木マリ
制作会社:デジタルネットワークアニメーション
企画:CUCURI
配給:ラビットハウス、エレファントハウス
(C)「君は彼方」製作委員会
公式サイト https://www.kimikana.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/