【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第958回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、12月25日から公開の『ジョゼと虎と魚たち』をご紹介します。
青春恋愛小説の金字塔が、ついに劇場アニメーションに……
芥川賞作家・田辺聖子の名編で、2003年に妻夫木聡・池脇千鶴主演で実写映画化もされた『ジョゼと虎と魚たち』が、劇場アニメーションとなりました。
恒夫とジョゼ。出会うべくして出会った2人の、恋愛のときめき、そして人生のきらめきが、新たにスクリーンを彩ります。
『ジョゼと虎と魚たち』のあらすじ
大学で海洋生物学を専攻する鈴川恒夫は、メキシコにしか生息しない幻の魚の群れを見るという夢を追いかけながら、バイトに明け暮れる勤労学生。
ある日、彼は坂道を転げ落ちそうになっていた車椅子の女性を助ける。彼女の名は、ジョゼ。幼少時から車椅子生活を送り、趣味の絵と本と想像のなかで、自分の世界を生きる日々。家のなかにいることがほとんどで、外の世界に強い憧れを抱いていた。
恒夫はジョゼの祖母・チヅから、彼女の相手をするアルバイトを持ちかけられ、引き受けることになる。しかし、ひねくれていて口が悪いジョゼは、恒夫に辛辣に当たるばかり。そして恒夫も、ジョゼに遠慮することなく、まっすぐに彼女にぶつかって行く。
そのうちに、ふたりの心の距離も縮まって行き……。
『ジョゼと虎と魚たち』のみどころ
鈴川恒夫を演じるのは、映画・ドラマへの出演が絶えない中川大志。そしてジョゼ役には、目覚ましい活躍をみせる清原果耶。
共に、国内長編アニメーションで主演声優を務めるのは、本作が初。互いへの理解を深めながら前に進んで行く恒夫とジョゼを、ナチュラルに体現しています。
また、3年連続でM-1グランプリ決勝進出となったお笑いコンビ“見取り図”が、声優に初挑戦。ツッコミ担当・盛山晋太郎が主人公のバイト先の店長役を、ボケ担当・リリーが駅員役を熱演しているのにも注目です。
恒夫との出会いをきっかけに、海に出かけ、観覧車に乗り、図書館で本を借りる……。いろいろな“初めて”を経験するなかで、生きる喜びに満ち溢れて行くジョゼ。
彼女を通して見る景色はとてもカラフルで、その輝きに心が洗われる人も多いことでしょう。
ひたむきに夢を追いかけること、そして誰かの夢を応援することの素晴らしさに改めて気付かせてくれる1作です。
<作品情報>
『ジョゼと虎と魚たち』
2020年12月25日(金)から全国ロードショー
声の出演:中川大志、清原果耶、宮本侑芽、興津和幸、Lynn、松寺千恵美、盛山晋太郎(見取り図)、リリー(見取り図)
原作:田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫刊)
監督:タムラコータロー
脚本:桑村さや香
キャラクター原案・コミカライズ:絵本奈央
キャラクターデザイン・総作画監督:飯塚晴子
コンセプトデザイン:loundraw(FLAT STUDIO)
劇中画:松田奈那子
プロダクションデザイン:平澤晃弘、片貝文洋、中村章子
画面設計:川元利浩
美術監督:金子雄司
色彩設計:梅崎ひろこ
撮影監督:神林剛
3DCG監督:三宅拓馬
編集:坂本久美子
音楽:Evan Call
音響監督:若林和弘
音響製作:ソニルード
アニメーション制作:ボンズ
主題歌・挿入歌:Eve「蒼のワルツ」/「心海」(TOY’S FACTORY)
配給:松竹/KADOKAWA
(C)2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project
公式サイト https://joseetora.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/