1日1個しか売れない…コロナ禍で駅弁業界も奮闘 キーワードは「地元密着」「お取り寄せ」

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上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)に、駅弁ライターの望月崇史さんが出演。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、観光産業ではその根幹となる人の移動が激減。駅弁業界も大きな打撃を受けた。何とか回復を成し遂げようとする各社の工夫や、冷凍でお取り寄せできる注目の駅弁についても紹介した。

1日1個しか売れない…コロナ禍で駅弁業界も奮闘 キーワードは「地元密着」「お取り寄せ」

望月さんはラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上で、およそ5000個。放送の合間にひたすら鉄道に乗り、駅弁を食し、温泉に入る生活を送っており「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。

■駅弁業界にもコロナ恐慌が直撃

上柳:2020年からずっと、新型コロナウイルスの影響があって、GoToトラベルという政策もあったわけですが、駅弁業界はどうだったのでしょうか?

望月:駅弁はちょうど、去年が135年の節目だったのですが、「この135年の歴史の中で一番厳しい年だったんじゃないか」と言うお店が結構いらっしゃいました。

上柳:そうですかぁ……。

望月:そもそもお客様がいらっしゃらない、鉄道に誰も乗ってない、みたいな。あるお店では昨年比1/20まで落ちて、そこまで厳しかったそうです。

上柳:じゃあ、一生懸命作ったとしても1日に数個売れれば、みたいなお店がいっぱいあるわけですね。

望月:絞りに絞って1日5個作り、売れたのが1個だけですとか、そういうお店も……。

上柳:それは、大丈夫なんですか? みなさん、どんな工夫をされているんですかね。

望月:2つパターンがあって、1つは、とことん地元密着するお弁当屋さんが多いです。

1日1個しか売れない…コロナ禍で駅弁業界も奮闘 キーワードは「地元密着」「お取り寄せ」

■対策1:地元の人に売る

上柳:旅人ではなく、テイクアウトして夕飯で食べてくださいね、と。

望月:一番典型的なのは、駅弁屋さんがドライブスルーを始めたり。

上柳:なるほど! 鉄道はダメでも、道には車が多少は走っていると。

望月:最初、姫路のお店さんが大型連休で始めて、それから各社「いいね!」という話で広まりました。だから昨年は、ちょっと連休があった時は、結構各社さんドライブスルーのブースを作り、お弁当を売っていました。

上柳:例えば、トラックドライバーさんがサッと寄って、大きな車も止められて食べられたらいいですよね。

■対策2:通信販売をして全国展開

望月:そして、もう1つは通信販売です。いわゆるお取り寄せ駅弁ですが、駅弁は生ものなので各社さん苦労されていて。

上柳:お弁当に“なるべく早く召し上がってください”って書いてありますからねぇ。

望月:そうなんです。それでもいろいろと試行錯誤されて、日持ちするお弁当だけ宅配したり、例えば去年の大型連休から始めた加賀温泉のお店は冷凍にして通販でも買えるようにしたところ、とても好評だったそうです。

上柳:お取り寄せも可能になったし、旅に行けないという方も自宅で旅気分になれますね。

望月:あと、記念日にお値段のいい弁当を取り寄せるのもお勧めです。私も母の日に、松阪牛のお弁当を届けて凄く喜ばれました。

上柳:最近の冷凍技術は凄いですからね。

望月:流水で解凍して、のどぐろの棒寿しを食べたことがあります。

上柳:え!? それはどこのお弁当ですか?

1日1個しか売れない…コロナ禍で駅弁業界も奮闘 キーワードは「地元密着」「お取り寄せ」

■駅弁ライターも注目のお弁当「炙りのどぐろ棒寿し」「えんがわ押し寿司」

望月:加賀温泉で新しく開発された「炙りのどぐろ棒寿し」(石川県・高野商店)です。去年、結構新聞でも取り上げられました。

上柳:ああ、私もどこかで見ましたね……。(資料を見ながら――)2020年10月17日(土)の日本経済新聞の“何でもランキング”で駅弁の特集がありますね。そこに望月さんも参加されて、相撲のように番付して、「炙りのどぐろ棒寿し」もランキングに入っていますね。これはまた、おいしそうですね!

望月:のどぐろですから脂が乗っていて、解凍しても非常においしくいただけます。

上柳:シンプルなお弁当ですね。酢飯の上に押し寿司としてのどくろが乗って。炙った感じがいい色合いで、おいしそうですね。ちなみに東の1位が、「えんがわ押し寿司」(新潟県・神尾弁当)。

望月:これもおいしい!

上柳:カレイのえんがわですか?

望月:そうです。

上柳:カレイのえんがわのみが乗っていますね!

望月:新潟の新津駅のお弁当屋さんです。

上柳:笹の上に酢飯、そしてその上にえんがわが真っ白に乗っていますね。

望月:これは時々、東京駅にも置いてあって。

上柳:東京駅にも来ているんですか!

望月:人気に火がついたのも、東京駅に置かれたことがきっかけです。

上柳:東京駅は全国のお弁当を売っている場所がありますからね。

■日本の駅弁が海外進出!

上柳:2010年代には駅弁が海外に進出し、パリ・リヨンで駅弁大会をやったそうですね。

望月:1か月間だけですけど。

上柳:1か月もやったんですか!

望月:日本の駅弁店5社、東京、大船、岩手、秋田、神戸のお店が協力して1か月売っていました。

上柳:東京からは何のお弁当が行ったんですか?

望月:幕の内で、フランスの方が好みそうなバージョンを。

上柳:やっぱりちょっと、フランスに合わせたわけですね。

望月:使える食材とか、こちらから持っていけるものも限られていたそうで。

上柳:フランスの方の反応はどうだったんですかね?

望月:彩りに凄く興味を持たれて。じっくり眺められるお客さんが多かったそうですよ。そのフェアの後、秋田・大館市の「鶏めし弁当」の店(花善)がパリに常設店を開設しました。やはりパリ仕様に、ちょっとおしゃれにして販売して。

上柳:これは食べてないでしょ?

望月:大館市に行きまして、“パリバージョン”を販売した時期があったのでいただきました(笑)

1000円前後の箱の中に、その土地ならではの食材や名物、伝統の味がつまった駅弁。最近は気兼ねなく旅行ができない状況ではあるが、近くの駅弁を手に取って改めて地元の味を感じたり、訪れたい場所のものを取り寄せたりして、自宅でのんびりと旅気分を味わうのも、いい気分転換になるかもしれない。

駅弁ライターの望月崇史さんと上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。

番組情報

食は生きる力 今朝も元気にいただきます

毎週月曜・金曜 5:25頃

番組HP

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/

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