カルロス・ゴーン逃亡事件に見る「グローバル企業の問題点」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月3日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。カルロス・ゴーン被告の逃亡を手助けした米親子が逮捕されたニュースについて解説した。
カルロス・ゴーン被告逃亡支援の米親子逮捕
東京地検特捜部は日産自動車元会長であるカルロス・ゴーン被告のレバノンへの逃亡を手助けしたとして、米国側から身柄の引き渡しを受けた米陸軍特殊部隊グリーンベレー元隊員、マイケル・テイラー容疑者とその息子のピーター容疑者を逮捕した。
飯田)カルロス・ゴーン被告を逃亡させたアメリカ人の親子2人が日本へ移送されて来たというニュースです。この逃亡劇もスパイ映画のようです。
佐々木)しばらく前にある記事で読みましたが、ゴーン被告は試算すると、推定100億円くらいの資産を持っていたそうです。日本を出て1年くらい経ちますよね。
飯田)逃げ出したのが一昨年(2019年)の12月です。
佐々木)その資産が1年少しで70億円くらいになり、30億円ほど減っているようです。弁護士費用などもあるのだと思いますが、そんなペースでお金を使ったら3年くらいでスッカラカンになるのではないでしょうか。私が心配しても仕方ないですが。海外に逃亡して資産も日本国内にまったくないとなると、日本の裁判所はどうしようもないです。
飯田)日本の主権が及ばないところになる。
グローバル企業の問題点を象徴した事件
佐々木)今回はゴーン氏個人の話ですが、この事件は、ある意味でグローバル企業の問題点を象徴している感じがします。いくら日本がGAFAのような企業側を攻せめようとしても、「やりたくないのなら、うちは手を引くだけですよ」というようなことになるのではないか。オーストラリアが、グーグルやフェイスブックが勝手に地元メディアのコンテンツを利用しても、国内のニュース発行者にお金が回らないのはおかしいということで、使用料を義務付けようとしたら、フェイスブックは、オーストラリアのニュースフィードでのニュースコンテンツの共有を制限するとしました。グローバル企業は全世界どこへでも、下手をすると本社をタックスヘイブンに移してでも生き延びられるのだけれど、そうなったときに、領域国民国家は「グローバル企業に対して何ができるのか」という非常に難しい問題につながっている感じがします。
飯田)グローバル企業、あるいはカルロス・ゴーン氏のような人は、容易に国境を飛び越えられますが、ミドルクラス以下、中産階級以下の人たちは、当然ながら国家に縛られているから、そこで生活しなければいけません。本当にそうですよね。
佐々木)トマ・ピケティさんというフランスの経済学者が、「国際社会で協調してグローバル企業から徴税する仕組みをつくるしかない」と言っていましたが、それも現実は難しいと思います。
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