まるで中国への宣戦布告~米ブリンケン国務長官の外交演説

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月4日放送)に朝日新聞編集委員で元北京・ワシントン特派員の峯村健司が出演。米ブリンケン国務長官が行った外交演説のニュースを受け、バイデン政権の今後の対中政策について解説した。

北京から世界経済フォーラム(WEF)のオンライン会合に参加する中国の習近平国家主席=WEFのウェブサイトより=2021年1月25日 AFP=時事 写真提供:時事通信

アメリカのブリンケン国務長官が初の外交演説~中国に対抗姿勢

アメリカのブリンケン国務長官は現地3月3日、就任後初となる外交政策に関する主要演説を国務省で行った。ブリンケン氏は「21世紀最大の地政学的な試練である中国との関係をうまく管理しなければいけない」と強調し、同盟国との連携強化を通じて対抗する考えを示している。

飯田)北朝鮮・イランも含めてというところですが、峯村さんは北京にもワシントンにも駐在されていたご経験があります。バイデン政権は当初、親中ではないかと心配されていましたが、今回、このような演説が出たということは、変わって来たということですか?

就任式で宣誓後、手を振るバイデン米新大統領=2021年1月20日、ワシントンの連邦議会議事堂(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

「今世紀の残り80年間は中国とは競争をして行く」という宣戦布告のような演説

峯村)トランプ前政権のいちばんのレガシー、遺産というのは中国をこれまでの「協力しましょう」という関与政策ではなく、戦略的競争相手だと決めたことだと思います。今回のブリンケン国務長官の演説は、それよりも、さらに踏み込んだ内容ですね。

飯田)なるほど。

峯村)トランプ前政権に関して言うと、中国とロシアを戦略的競争相手と言っていたのですが、3日のブリンケン国務長官の演説では、「中国こそが今世紀最大の地政学的な試練である」と言っています。これはロシアよりも中国こそが問題だと言ったわけです。しかも、それは10年~20年ではなく、「今世紀の残り80年間において、中国がいちばんの問題なのだ」と言っています。これは相当踏み込んだ発言ですし、中国と手を握るというよりは、「あと80年間は中国とは競争をして行くのだ」という宣戦布告に近い演説だと見ています。

会談を前に握手するトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2019年6月29日、大阪市(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

オバマ政権の後期から米中新冷戦は始まっている

飯田)第二次世界大戦が終わったあとに米ソ冷戦が始まったように、米中新冷戦が始まるというようなことを言う人もいますけれども、それに近い状態ですか?

峯村)私は遅くても2年前から米中新冷戦に入っていると言っています。これが始まったトランプ政権後期から、もっと言うと、オバマ政権の後期から実は始まっていた動きなのです。それをトランプ政権がうまく具体化させて、それがいま、ブリンケンさんをはじめとするバイデン政権が発展させて行くという流れだと思います。

19日、米デラウェア州で記者会見するバイデン前副大統領(ゲッティ=共同)=2020年11月19日 写真提供:共同通信社

バイデン政権の外交は対中強硬の流れを受け継ぐ

飯田)そうすると、今後は融和するということはほぼなく、対峙する関係で続いて行くということですか?

峯村)ワシントンに居たときに、ブリンケン国務長官にインタビューしたことがあります。その際、興味深かったのは、トランプ政権についてどう思いますかとインタビューしたところ、「ひどい、メチャクチャだ。何をやっているのかわからない」と散々批判をしたあとに、ただ一言だけ「彼を誉めることができるとすれば、我々オバマ政権のアジア政策に関しては、しっかり引き継いでいた」と言っていたことです。オバマ政権の外交をつくっていたのはブリンケンさんでした。

飯田)引き継いでいると。

峯村)対北朝鮮政策や、中国に対して厳しい経済制裁を科すというような政策はトランプ政権もしっかりやっていると。そのブリンケンさんが今回、バイデン政権の外交の柱になるということは、このオバマ政権後期からの流れ、対中強硬の流れというのを、「しっかり受け継いで行く」というメッセージだと見ていいと思います。

バイデン次期米大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席=2020年12月2日 写真提供:共同通信社

「中国は競争相手だ」と政権として意思を統一~トランプ政権最大のレガシー

飯田)そのオバマ政権の後期は、確かに航行の自由作戦などで、南シナ海に対して中国にカウンターを当てようという動きはもちろんあったのですが、それがどこまで踏み込んでやっているのかということで、ホワイトハウスのなかでも、それを止める人たちもいたようですが。

峯村)いました。私も、誰が止めていたのかを目の前でよく見ていましたが、そういう意味でも、定まっていなかったのです。ただ何となく、「中国はまずいよね、危ないよね」という認識は共有されていたのですが、どうもバラバラなところがあった。それをしっかりと「中国は競争相手だ」と政権として意思を統一したのがトランプ政権です。それが最大のレガシー。そのコンセプトをバイデン政権が引き継ぎつつ、さらに対中政策を発展させて行くのではないでしょうか。

ウィルミントンで、報道陣の質問に答えるバイデン前副大統領(アメリカ・デラウェア州)=2020年11月16日 AFP=時事 写真提供:時事通信

同盟国とはより協調して行くバイデン政権

飯田)そこに同盟国も巻き込む形でやって行くということですか?

峯村)そうですね。トランプ政権の対中政策は評価しますが、失敗した点は、日本との関係はうまくできたのですが、それ以外のEUや韓国などの同盟国に対しても、中国にしたように制裁を科すということをしたことです。その点、バイデン政権は同盟国との協調という動きが強まると思います。

飯田)逆に言うと、日本に対してアイデアを求めることもあるということですか?

峯村)アイデアだけでなく、行動も求めて来ると思います。

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