医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が2020年12月8日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。食べ物や唾液などが誤って気管に入ってしまうことから発症する、誤嚥性(ごえんせい)肺炎について解説した。
飯田浩司アナウンサー)誤嚥性肺炎は、高齢者の疾患としてよく聞く病気ですが、高齢者の方に多いのはどういった理由なのでしょうか?
森田)喉の辺りには、吸った空気が通る気管と、食べ物が通る食道という、2本の管があります。この太い2つの管ですが、入り口は同じで、いわゆる口(口腔)です。通常食べたり飲んだりすると、自動的に気管が閉じて、食道と胃に入ることになります。もしも食べ物や飲み物が気管に入ってしまうと、普通は反射的にむせて吐き出しますよね。吐き出すことによって肺へ入らないよう防いでいるのです。若い方はむせる力があるのでいいのですが、年齢とともにむせる力が衰えて来ると、誤嚥性肺炎になりやすくなります。
また、例えば口腔内が細菌などで侵されている場合、すなわち虫歯の治療をしていない状態ですと、それが食べ物や飲み物に混ざって、気管や肺に入ってしまいます。また年配の方ですと、唾液だけを飲み込んで、それが気管に入ってしまい、肺炎の原因になると言われています。むせる力だけでなく、食べたり飲んだりしたもの、または唾液などが食道や胃に入るために必要な飲み込む力というものも、年齢とともに衰えて来るのです。
飯田)年齢とともにということですが、どのぐらいの年齢から気をつければいいのでしょうか?
森田)大体40歳ごろから衰えると言われています。そこで、自身の飲み込む力を簡単にチェックできる方法として、池袋大谷クリニックの院長である大谷義夫先生が考案された「ゴックンテスト」というものがあります。30秒でわかる簡単なチェック方法なのですが、まず始める前に、お水を一口飲んで口を湿らせてください。そして30秒間、ゴックンゴックンと唾液を繰り返し飲み込んでいただきます。30秒間で何回できたかを数えてください。20代ですと、10回以上できていれば喉年齢的には問題ありません。30代の方は、9回できれば大丈夫です。80代であれば、4回はできたほうがいいです。
飯田)10代刻みで、少しずつ数字が減って行くのですね。
森田)やはり回数が少なければ少ないほど、喉が老化しつつあるということになりますね。あと、途中で唾液が少なくなって飲み込みづらくなることがありますが、それも危ないのかも知れません。唾液の分泌も口のなかをきれいにすることに関係しますので、唾液が少なくなると飲み込みテストでもうまくいかず、喉の老化につながると考えられています。喉の老化を放っておくと、将来は誤嚥性肺炎などによる肺炎を起こして、命を落とすこともあるというデータもあります。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます